チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
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第94話 花 火

2007年07月28日 | チエちゃん
 今年、関東・甲信・北陸・東北地方は、まだ梅雨が明けていないようですが、蒸し暑い日が続いています。

    暑中お見舞い申し上げます


 あの頃は、夏休みに入る頃には大抵梅雨が明け、もくもくと入道雲が湧き上がった夏空が広がっていたものでした。チエちゃん家の辺りでは、毎日30℃を超す暑さの中にも、裏山の林を抜けてくる風はどことなく涼やかで、扇風機だけで十分過ごすことができたのでした。

 宿題を広げてみるも中々進まず、テレビを見たり、お昼寝をしたり、ダラダラとした日中をやり過ごした夕食時に、お父さんが言い出します。

 よし、今夜は花火でもやっか?

 うん、花火、花火

 家族中で夕涼みがてら庭に出たところで、チエちゃんとたかひろ君が1本ずつ持った花火にお父さんがマッチで火を点けてくれます。

 シュッ、シュッ、シュッ、パチ、パチ、パチ・・・

たくさんあった花火はたちまち燃えかすになっていきます。
サイダー瓶に差したロケット花火はヒューンと上がって消え、期待のわりに一瞬で終わってしまうのでした。

 チエちゃんは一番最後にする線香花火が好きでした。
紙縒りの先の火玉から小さな雷のようにチャッ、チャッ、と火花が散るのを眺めながら、楽しいことはアッという間に終わってしまうものだなあと思うのでした。


ここ福島も、今夜は花火大会です。