田舎町の旧家の結婚騒動に巻き込まれた仮釈放中の若い女詐欺師を描く韓国製コメディ。こういう映画を観ると、大多数の韓国映画のセールスポイントとは、結局“出演俳優の魅力”でしかないのだということがつくづく分かる。
設定こそプレストン・スタージェスの往年の作品と似ているが、中身は古色蒼然とした人情ドラマで、各モチーフも手垢にまみれている。展開はモタモタしており、ギャグは泥臭く、終盤“泣かせ”に走るあたりはどうしようもなく臭い。監督のペ・ヒョンジュンはこれがデビュー作だというが、若いのにこんなオヤジ入った作風でどうするのだと心配したくなる。
だが、困ったことに(?)主演二人にはダサい作りのドラマを2時間引っ張れるだけの存在感があったりするのだ。大きな目をむいて不条理な境遇に陥った自らを嘆くカン・ドンウォンの熱演ぶりも楽しいが、ヒロイン役のキム・ハヌルの頑張りには頭が下がる。今やアジアを代表する若手コメディエンヌだ(笑)。
しかし逆に言えば、主演二人に“華”がなかったら、観られたものじゃないのである。国家が助成しているか何だか知らないが、基本的なドラマツルギーは手を抜いてあとは俳優たちに“丸投げ”しているようでは、韓国映画の未来は限りなく暗いと言って良いだろう。というか、最初から“このレベル”だったのかもしれないけどね(脱力)。