高額な機器ばかりが並ぶと金銭感覚も麻痺してしまいそうだが(笑)、犯罪的な価格設定ではないものにも注目すべき製品はあった。そのひとつがフィンランドのPENAUDIO社のCENYAである。
高さが30cm足らずのミニサイズの製品ながら、高級家具等に使われるという北欧産の木材を丁寧に重ね上げた筐体は高級感がある。しかも、中低音ユニットは加工が難しいマグネシウムを用い、内部配線にはハイエンドのケーブルで知られるJorma Design社のワイヤーを使用。価格はペア58万円弱と決して安くはないが、この部材の凝りようならばプライスもリーズナブルかもしれない。

音は清澄そのものだ。色に例えればライトブルーである。音場の表現力も万全で、特に横方向の広がりには瞠目させられた。小型スピーカーなので低音は控えめだが、美しい中高音の印象度で低域不足をカバーしてしまおうという作戦らしい。接続していたアンプはデンマークのVitus Audio社のもの。中域重視の鮮明な解像度が特長のモデルのようでPENAUDIOとのマッチングも良好だが、アキュレートな持ち味のアンプであれば他社製品でも十分駆動できると思う。
ドイツのQUADRAL社のスピーカーは毎回好印象だが、今回は下位クラスのMEGAN VIIIが出品されていた。価格は約28万円で、一般ピープルが何とか手が届きそうなプライスタグが付いている。高音部には同社スピーカーの特徴であるリボントゥイーターを搭載。仕上げはピアノブラックで、けっこう高級感がある。
音はかなり良い。明るく爽やか。特に中高音の伸びは素晴らしい。音場はびっくりするほど広くはないが、適度な大きさの音空間に各音像が絶妙の距離感で配置される感じだ。ヴォーカルの再生は特筆もので、滑らかな艶が声の美しさを引き立てる。これは欲しいと思った。
聴き応えのある音に出会える一方、期待はずれのサウンドに遭遇してしまうのもフェアには付きものだ。ドイツのELAC社のハイエンド機FS 509 VX-JETがそれに当たる。新開発のリボントゥイーターをフィーチャーした4ウェイの大きめのモデルだが、レンジは広いものの音自体にコクがない。あっさりしすぎて無愛想なのだ。音場にも大きな展開は見られない。

高音部のポジションが調節可能という機構も持つが、あまり意味があるとは思えない。過去にELACの大型モデルは何度か試聴したが、どれもあまり良い印象は持てないままだ。コンパクト型ならば素晴らしいパフォーマンスの製品をいくつもリリースしている会社だが、大きな筐体では音が煮詰められていない感じがする。
デンマークのDALI社の新しいフラッグシップ・シリーズの一つであるEPICON 6もあまり良くなかった。もっとも、それはスピーカー自体に問題があるのではなく、駆動しているアンプとの相性が悪かったからだ。接続されていたのはDENONの最上級機PMA-SXである。しかし、中低域に圧迫感があり高域は伸びないDENONのアンプでは、DALIの美音は活かせない。寸詰まりで見通しの悪い音場が横たわるだけという、まとこに気勢の上がらない結果になってしまった。
DENONはDALIの輸入代理店であり、当然イベント等の際は同社のアンプでドライヴされることが多いのだが、満足に鳴っている現場には遭遇したことがない。DALIのスピーカーは、フラット志向でキレの良い音調のアンプの方が合っている。具体的にはONKYOやACCUPHASEなどだ。いずれにしても、マッチングに問題のある機器に接続することを優先せざるを得ない状況は、DALI社側としても不本意なことだろう。
(この項つづく)
高さが30cm足らずのミニサイズの製品ながら、高級家具等に使われるという北欧産の木材を丁寧に重ね上げた筐体は高級感がある。しかも、中低音ユニットは加工が難しいマグネシウムを用い、内部配線にはハイエンドのケーブルで知られるJorma Design社のワイヤーを使用。価格はペア58万円弱と決して安くはないが、この部材の凝りようならばプライスもリーズナブルかもしれない。

音は清澄そのものだ。色に例えればライトブルーである。音場の表現力も万全で、特に横方向の広がりには瞠目させられた。小型スピーカーなので低音は控えめだが、美しい中高音の印象度で低域不足をカバーしてしまおうという作戦らしい。接続していたアンプはデンマークのVitus Audio社のもの。中域重視の鮮明な解像度が特長のモデルのようでPENAUDIOとのマッチングも良好だが、アキュレートな持ち味のアンプであれば他社製品でも十分駆動できると思う。
ドイツのQUADRAL社のスピーカーは毎回好印象だが、今回は下位クラスのMEGAN VIIIが出品されていた。価格は約28万円で、一般ピープルが何とか手が届きそうなプライスタグが付いている。高音部には同社スピーカーの特徴であるリボントゥイーターを搭載。仕上げはピアノブラックで、けっこう高級感がある。
音はかなり良い。明るく爽やか。特に中高音の伸びは素晴らしい。音場はびっくりするほど広くはないが、適度な大きさの音空間に各音像が絶妙の距離感で配置される感じだ。ヴォーカルの再生は特筆もので、滑らかな艶が声の美しさを引き立てる。これは欲しいと思った。
聴き応えのある音に出会える一方、期待はずれのサウンドに遭遇してしまうのもフェアには付きものだ。ドイツのELAC社のハイエンド機FS 509 VX-JETがそれに当たる。新開発のリボントゥイーターをフィーチャーした4ウェイの大きめのモデルだが、レンジは広いものの音自体にコクがない。あっさりしすぎて無愛想なのだ。音場にも大きな展開は見られない。

高音部のポジションが調節可能という機構も持つが、あまり意味があるとは思えない。過去にELACの大型モデルは何度か試聴したが、どれもあまり良い印象は持てないままだ。コンパクト型ならば素晴らしいパフォーマンスの製品をいくつもリリースしている会社だが、大きな筐体では音が煮詰められていない感じがする。
デンマークのDALI社の新しいフラッグシップ・シリーズの一つであるEPICON 6もあまり良くなかった。もっとも、それはスピーカー自体に問題があるのではなく、駆動しているアンプとの相性が悪かったからだ。接続されていたのはDENONの最上級機PMA-SXである。しかし、中低域に圧迫感があり高域は伸びないDENONのアンプでは、DALIの美音は活かせない。寸詰まりで見通しの悪い音場が横たわるだけという、まとこに気勢の上がらない結果になってしまった。
DENONはDALIの輸入代理店であり、当然イベント等の際は同社のアンプでドライヴされることが多いのだが、満足に鳴っている現場には遭遇したことがない。DALIのスピーカーは、フラット志向でキレの良い音調のアンプの方が合っている。具体的にはONKYOやACCUPHASEなどだ。いずれにしても、マッチングに問題のある機器に接続することを優先せざるを得ない状況は、DALI社側としても不本意なことだろう。
(この項つづく)