(原題:Battle:Los Angeles)絵に描いたようなアメリカ製の国威発揚大作である。もっとも、昔のように対戦相手を旧東側諸国やアラブ人に設定することは都合上出来ない(笑)。だから、ここは“誰も感情移入が出来ない敵”である異星人を侵略者に据え、それに対するアメリカ軍の勇猛果敢ぶりを大々的にアピールさせようという作戦である。
ナゾの流星群が各大陸の都市部の沿岸に降り注ぐという異常事態が発生。軍はこれを非常時と捉え、各拠点に戦力を集中させる。部下を死地に追いやったトラウマにより退役届を出したばかりの海兵隊の二等軍曹マイケル・ナンツ(アーロン・エッカート)もロスアンジェルスの基地に招集されるが、そこでこの未確認物体の飛来はエイリアンの侵略であることを知る。前線に取り残された民間人を救うため、彼の属する小隊は敵に制圧された地区に乗り込むが、待ちかまえていた異星人達と交戦状態に突入。激烈な地上戦が展開する。
描き方はリアリティ重視で、ユーモアの挿入やホッと息をつける箇所はほとんどない。全編これドンパチの連続だ。しかも、当初は圧倒的な科学力・軍事力を持つ相手に対して敗走を続けるが、やがて弱点を知って反撃に出るという筋書きは「インデペンデンス・デイ」の二番煎じであり、要するに実に愛想のない映画だと言えるだろう。
ならば観る価値はないのかというと、そうでもない。こういう単純明快なバトル編は、観客(特に野郎)の琴線に触れることも多々あるのだ。まるでシューティング型のゲームをやるような、一面をクリアしたら難度が少し上がったもう一段上位の面に次々と移っていくみたいな、そういうカタルシスを味わう映画だと思う。
もっとも、アメリカ人が観れば“絶対に退却しない、頼りになる海兵隊”のイメージを強く印象付けられるのだろう。異星人の目的が水資源であり、現実に世界各地で展開している(戦争の火種にもなる)水争いの暗喩であることも感じさせるが、それは必要以上に表には出ない。
ジョナサン・リーベスマンの演出は才気走ったところは無いが、腕力だけはあるようで、戦闘シーンを途中ダレずに見せきっている。なお、本作は東日本大震災を配給側が考慮して、当初4月に公開されるはずが約半年延期されたものである。理由は“津波の場面”が短時間挿入されているからとか。大して印象に残っていないし、それだけで公開一時取りやめにするほどのことかと思ってしまう。