元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

新製品のスピーカーを試聴してみた。

2011-10-02 06:46:15 | プア・オーディオへの招待
 市内のオーディオショップで新しいスピーカーをまとめて試聴できたので、リポートしたい。

 今回主に聴いたのはデンマークのDynaudio社の製品である。同社は77年に発足。スピーカーシステムだけではなく、ユニットも供給する専門メーカーだ。日本に本格的に紹介されたのは90年代からである。扱っている店は限られるが、独自のポリシーで固定ファンを掴んでいる。私も一目置いているブランドのひとつだ。

 まず聴いたのはコンパクト型のFocus160。実はこれを聴くちょっと前に量販店で英国B&W社の新作PM1を試聴しているのだが、正直言って聴感上のレンジの広がりがそれほどでもないPM1と比べて、実売価格はあまり変わらないFocus160の方が好印象である(まあ、駆動していたアンプはそれぞれ違うので、一概には言えないが ^^;)。シルキーで滑らかな中高域と、目立たないけど「出るべきところはちゃんと出ている」低音。このクラスでは音場展開も大きく、何より清涼かつ適度な温度感を伴った音色は、いくら聴いても疲れない。

 次に聴いたのがディーラー大絶賛の高級コンパクト型スピーカーのConfidence C1 Signature。私も大いに期待していたのだが・・・・。ハッキリ言って音が薄い。確かにFocus160に比べれば音場は(聴感上では)2倍ほどに広がった印象を持ったが、どうにも音像の掴み出し方が単調で甘い。たとえば同じ定価100万円程度のコンパクト型である米国JOSEPH AUDIO社のPULSARAUDIO MACHINA社のCRMなどと比べても、アピール度は低い。



 また、Confidence C1 Signatureは前面の寸法は大したことはないが奥行きがかなりある。しかもバスレフダクト(低音が出てくる穴)が後方に空いており、壁から相当離さないと正常な低域再現性は望めない。最低10畳、生活居住空間を考えると出来れば20畳以上のリスニングルームが必要で、この製品を導入できる家庭は限られるだろう(それ以前に高価格で、一般ピープルにはなかなか手が出ない)。

 しかしながら、以前同じDynaudioのSapphireというフロアスタンディング型の高級スピーカー(定価約200万円)が入荷当初の試聴では最悪だったのに、それから約1年経過した再度の試聴では見違えるように磨かれた音になったように、このConfidence C1 Signatureもエージング(鳴らし込み)が進めば素晴らしい音になるのかもしれない。

 フロアスタンディング型のFocus340も聴いてみた。キャビネットが大きい分低域の再現性に優れ、特に管弦楽曲なんかを聴くとコンパクト型とは一線を画した優位性を見出せる。しかも、量感だけの低音ではなく、締まりもスピード感も確保されている。中高域もスムーズそのもので透明感が高く、多ユニット構成ながら定位感も悪くない。

 斯様にFocus340は誰にでも良さが分かるスピーカーだが、66万円という定価を考えると、他社製品にも良いものがありそうである。このクラスのスピーカーの購入を検討している者は、徹底した試聴・比較が必要になるだろう(まあ、当たり前のことであるが ^^;)。

 最後に聴いたのは独ELAC社の小型スピーカー、310 INDIES BLACKである。高さが20cm程度の、今回試聴したスピーカーの中では一番コンパクトで、かつ最も安価なモデルである(とはいっても本体だけで約20万円。専用スタンドとセットになると25万円ぐらいになるが ^^;)。



 このサイズが信じられないほどの低音の広がり、そしてELACらしい伸びやかな中高域が楽しめる上質なモデルだ。見た目は他のELAC製品と比べてもかなり無骨で、好き嫌いがハッキリと分かれるだろう。しかし、あまり広くないスペースで十分な音場を確保したいユーザーにはもってこいの製品だ。能率も高くて繋ぐアンプをあまり選ばないのも有利な点である。

 オーディオ用スピーカーのブランドは多い。国内メーカーは撤退したところが多いが、その分欧米からヴァラエティに富んだ製品が入ってくるようになった。今回接することの出来たスピーカーは、今年発売される製品のごく一部である。私自身、次回スピーカーを買い換えるのがいつになるか分からないが、あれこれ聴いて更改の計画を練っているときが実は一番面白かったりする(笑)。オーディオの醍醐味のひとつであろう。
コメント
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