元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「さらば愛しの大統領」

2010-11-16 06:31:45 | 映画の感想(さ行)

 まったく面白くない。全然笑えない。(古い表現で恐縮だが ^^;)静まりかえった観客席の間を飛び交うシラケ鳥の大群を前に、いたたまれない気持ちになってくる。一部に“すごく笑える!”との評もあるようだが、感受性というのは人それぞれなのだなァと諦観するしかない。まあ、正直言ってこの映画を観て爆笑の渦に巻き込まれたような人間とは、あまり話すこともないとは思う(呆)。

 大阪府知事選において泡沫候補扱いされていた世界のナベアツが、なぜか当選。調子に乗って独立国家宣言を強行し“大阪合衆国”初代大統領に就任してしまう。ところが暗殺予告が届き、大阪府警随一のアホコンビ・早川刑事(宮川大輔)と番場刑事(ケンドーコバヤシ )が捜査に乗り出す・・・・といったストーリーはあってないようなものだ。全編これ“一発ギャグ”の連続。

 最近は一発芸を売り物にしたお笑い番組が減っていることでも分かるように、大衆マクロの嗜好としてはストーリー性のある話術が芸人には求められているようだ。つまりは“一発ギャグ”の羅列自体が“古い”のだ。

 しかも、ここでギャグのレベルは限りなく低い。テレビの(今はもう終了した)「爆笑レッドカーペット」や「エンタの神様」なんかの方がよっぽどマシだ。同じ吉本系の笑いにしても、よしもと新喜劇の足元にも及ばない。

 吉本芸人の他にも吹石一恵や釈由美子、大杉漣、志賀廣太郎、前田吟、仲村トオルといった“フツーの俳優”も顔を見せているのだが、彼らが気の毒になってくるほどだ。

 監督は柴田大輔とナベアツ自身。ナベアツは演出は初めてとはいえ、放送作家として実績を積んでいるという話だから、この惨状に対しての言い訳は出来ないはずだ。ましてや冒頭での“アホに成り切って観て下さい”との但し書きは、何かの悪い冗談としか言いようがない。アホに成り切らないと観られないのならば、最初から“アホ以外は入場禁止”とでも明言しておけば良かったのだ。

 それにしても、表面上は“大阪を愛している”というポーズを取っていながら、実は大阪を一番バカにしているのはナベアツ自身なのかもしれないという気もする。ちなみに彼は大阪府出身ではない。
コメント
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