去る11月12日(金)~14日(日)に北九州市小倉北区のJR小倉駅の近くにあるKMMビルで開催されていたオーディオ&ヴィジュアルフェアに、今年も足を運んでみた。なお、主催者は春に福岡市で行われている九州ハイエンドオーディオフェアと同じショップである。私の住む福岡市から小倉までは近いようで、いざ行くとなると億劫になる。時間と交通費もけっこう掛かるのだ。もちろん新幹線を利用すればスグに着くのだが、経済的には腰が引ける(笑)。
それでもあえて行こうと思ったのは、春のフェアと同じくオーディオ評論家の福田雅光による講演会が開催されたからである。主眼は今回も電源ケーブルをはじめとするオーディオアクセサリーの“試聴会”であるが、御膳立てがいつもと少し違っている。それは、アンプ類に付属している電源ケーブルと市販品の電源ケーブルとの“聴き比べ”からレクチャーが始まった点だ。
電源ケーブルは重要なオーディオアクセサリーであるが、反面いまだその効果を認めないオーディオファンも多いらしい。前回までの福田の講演会は最初から市販のケーブルを付け替えて聴き比べていたため、そもそも“市販のケーブルを用意する必要があるのか”という根本的な命題にはコミットしていなかった。しかし今回は機器付属のケーブルから試聴を開始しているため、より幅広いリスナーにアピール出来たと思う。
さらに、ここで使われていたアンプとCDプレーヤーはACCUPHASEの製品で、スピーカーはPIONEERの高級ブランドTADのモニタースピーカーである。正直言ってTADのスピーカーの音は無味乾燥で好きではない。ただし“聴き比べ”というイベントの主旨には合致している。少なくとも前回までのDENONのアンプ類とDALIのスピーカーという独特の色付けを持ったシステムよりも、遙かにフラットでクセがない。これならばアクセサリーの試聴にはピッタリである。
まずは付属のケーブルから市販のケーブルに付け替えてみると、結果は明白で完全に音が違う。最初に実装したケーブルは2万円程度のローエンド品であるにもかかわらず、付属ケーブルを付けたままの時とは解像度・情報量とも大幅にアップした。そして、CDプレーヤーから始まってプリアンプ、メインアンプと各コンポーネントの電源ケーブルを一つずつ付け替えていったため、各段階でのケーブル実装効果が手に取るように分かる。これはなかなか段取りがよろしい。
結果的に全部で10種類程度の電源ケーブルを“試聴”した。具体的にどのケーブルがどういう音だったかということは省略するが、とにかく市販電源ケーブルの導入はオーディオシステムを組み上げる際の必須事項になった感がある。今後も市場に出るケーブルの種類は多くなっていくのだろう。
他に興味を引かれた製品として、ACOUSTIC REVIVE社のACスタビライザーRAS-14が挙げられる。これは電源ノイズを除去するアタッチメントで、壁コンセントと電源ケーブルあるいは電源タップとの間に装着するものだ。特殊な電磁波吸収剤なるものが入っているらしいが、同社の製品にはオカルティックなものも目立ち、実装してみるまでは信用していなかった。ところが、いざ取り付けてみるとこれが効果抜群。音場の見通しが良くなって歪み感が減った。まったく、この世界は何が効果が上がるか分からない。だからこそ面白いとも言えるのだが。
(この項つづく)