82年東映作品。それまで「日本の首領(ドン)」以来ヤクザ映画から4年ほど遠ざかっていた東映が満を持して放った大作だが、今ではこの作品の存在自体を覚えている人も少ないであろう。それだけ他のヤクザ映画と比較しても本作のヴォルテージは低いのだ。
原作は志茂田景樹のノンフィクションで、日本最大の暴力団組織(当然、モデルは山口組)の親分の死去に伴う壮絶な跡目争いを、幹部の家族の側から描こうとしている。つまりは従来型の“実録もの”の切迫感とホームドラマとを合体させようという試みだ。しかし、このコンセプトで“大作”に仕上げるというのは無理があったのではないか。
製作費は9億円だという。なんとそのうち2億円が出演者のギャラである。三船敏郎、岡田茉莉子、名高達郎、中井貴恵、秋吉久美子、丹波哲郎、小池朝雄、小林旭、若山富三郎、岸田森、そして鶴田浩二までが顔を揃える豪華30大スターの競演だ。逆に言えば、これだけの顔ぶれを揃えたものだからそれぞれに一つの見せ場を振っておかなくてはならず、結果として非常に散漫な総花的な作りになってしまった。もっとテーマを絞ってじっくり撮った方がよかったのではないか。
たとえば、ドンの妻であった岡田茉莉子の苦悩、名高達郎演じる新聞記者がドンの娘を恋人にしてしまったゆえの葛藤などをディテールを精査しながら描けばけっこうまとまったシャシンになったのではないだろうか。中島貞夫の演出キレがなく、鳴り物入りで公開されたにもかかわらず興行的にもさっぱりだったのも当然と思わせる出来である。
原作は志茂田景樹のノンフィクションで、日本最大の暴力団組織(当然、モデルは山口組)の親分の死去に伴う壮絶な跡目争いを、幹部の家族の側から描こうとしている。つまりは従来型の“実録もの”の切迫感とホームドラマとを合体させようという試みだ。しかし、このコンセプトで“大作”に仕上げるというのは無理があったのではないか。
製作費は9億円だという。なんとそのうち2億円が出演者のギャラである。三船敏郎、岡田茉莉子、名高達郎、中井貴恵、秋吉久美子、丹波哲郎、小池朝雄、小林旭、若山富三郎、岸田森、そして鶴田浩二までが顔を揃える豪華30大スターの競演だ。逆に言えば、これだけの顔ぶれを揃えたものだからそれぞれに一つの見せ場を振っておかなくてはならず、結果として非常に散漫な総花的な作りになってしまった。もっとテーマを絞ってじっくり撮った方がよかったのではないか。
たとえば、ドンの妻であった岡田茉莉子の苦悩、名高達郎演じる新聞記者がドンの娘を恋人にしてしまったゆえの葛藤などをディテールを精査しながら描けばけっこうまとまったシャシンになったのではないだろうか。中島貞夫の演出キレがなく、鳴り物入りで公開されたにもかかわらず興行的にもさっぱりだったのも当然と思わせる出来である。