元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「第6回九州ハイエンドオーディオフェア」リポート(その4)

2009-04-24 06:29:53 | プア・オーディオへの招待

 このフェアにはホームシアターのデモも用意されている。前回までは120インチのスクリーンにDLPプロジェクターで映写するという方式がスタンダードだったが、今回のスクリーンは135インチに拡大している。それも多くのハリウッドの娯楽作品に採用されているシネマスコープ・サイズだ。これならばより映画館気分が味わえる。

 使用されていたソフトの中で一番印象に残ったのが、1961年製作のアメリカ映画「西部開拓史」である。本作はシネマスコープよりも広いシネラマ・サイズの画面で撮られている。当時は3台の映写機で上映されていたが、今回のデジタル・リマスター処理されたブルーレイディスクには画面を3等分するフィルムの切れ目も正確に再現されていたのには参った。いくらDLPだろうと画質面でフィルム映写に敵うはずもないのだが、このような往年の作品についてはリアルタイムでの上映よりも鮮明な画像再生が可能になっていると思われる。古くからの映画ファンもこれならば納得だろう。

 さて、このイベント全般に対する要望は去年と一緒だ。つまりは以下の通り。

(1)交通アクセスの良い場所でやって欲しい。
(2)ハイエンド機器ばかり並べないで普及品もプッシュして欲しい(フェアの性格上無理だが ^^;)。

 以上二点に加えて今回は・・・・

(3)デモンストレーションには、もっとポピュラーなソースを使って欲しい。

・・・・というのを挙げたい。どのブースに行っても、鳴っているのは多くがクラシックかジャズだ。それも演奏内容よりも録音の優秀さが先行している。前述の“電源ケーブルの聴き比べ大会”でも最初流れていたのはマリンバの前衛的な独奏だ。あんなのを聴く人間が沢山いるとは思えない。誰でも知っている曲ではダメなのだろうか。J-POPでも演歌でも良いではないか。ピュア・オーディオがクラシックやジャズをかしこまって聴く者だけの趣味であると思われては、業界全体にとってマイナスである。

 あと気付いたことだが、身だしなみに難のある入場客が多い(激爆)。もちろん、休みの日にどんな恰好をしようと自由なのだが、汚いジャージにサンダル履きで百万円単位の商談をしているであろう客を見ると“何だかな~”と思ってしまうのだ。服装に気を遣わないくせにバカ高い機械だけは平気で買う人間は、さぞや家庭では煙たがられているのだろう。

 ハイエンドユーザーを想定したこのようなイベントに関して言うのも何だが、オーディオ業界全体としては従来からの“わずかな音質向上のために、惜しげもなく資金を投入するマニア”はリセットしてしまわないと将来性はないと思う。出口の見えない不景気の中では高級オーディオ機器を購入できる層は薄くなり、退職金をもらって多少なりとも金回りの良い団塊世代は(まことに失礼ながら)これから耳が遠くなる一方である。若年層を中心とした新しい顧客を掘り起こさないとジリ貧になるのは必定。その意味でも“ハイエンドオーディオフェア”より“ローエンドオーディオフェア”の方が開催する価値は大いにある(笑)。

 なお、このフェアは北九州市でも11月初頭に行われる。わざわざこのイベントのためだけに遠出しようとは思わないが、北九州市には仕事などで時折出掛けるし、タイミングが合えば覗いてみるのも良いだろう。

(この項おわり)
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