元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「トワイライト 初恋」

2009-04-18 06:50:09 | 映画の感想(た行)

 (原題:TWILIGHT)観ていて気分を害した。なぜなら、ヒロイン役のクリステン・スチュワートがまったく可愛くないからだ(激爆)。妙に顔が長く、おまけにアゴがしゃくれ気味。到底美少女とは呼べないルックスで、どうしてこんなのが画面の真ん中に鎮座しているのか、理解に苦しむ。相手役のロバート・パティンソンは(観る者によって好き嫌いはあろうが)噂通りの二枚目だ。こういう耽美系ファンタジーの登場人物として申し分ない。

 もちろん、フツーの女の子が常人離れした見栄えの良い男子と付き合うといった設定ならば、ヒロイン側が飛び抜けた容姿を持っている必要もないのかもしれないが、本作のケースはそれ以前の問題だ。観る者に愉快ならざる印象を持たせてしまうほどの外見では話にならないのである。少なくとも同様のネタをヨーロッパやアジアで映画化したならば、スチュワートよりも百倍は可愛い女優を持ってくることだろう。まったく、ハリウッド人種の女優に対する審美眼は世界でも異質と言うしかない。

 自分の殻に閉じこもりがちで転校先の高校にもなじめずにいた女生徒が、寡黙で近寄りがたいハンサム男子に交通事故に遭いそうなところを助けられる。常人離れしたパワーと冷たい肌を持つ彼は、実は永遠に年を取らないヴァンパイアだった。とはいっても、彼は人間を襲うような凶暴さは持ち合わせておらず、動物の血で命脈を保っている穏健派に属している。

 ハッキリ言ってこれは、この映画が想定している観客である年若い女子にとって理想のキャラクターだ。ルックスが良くて、運動神経抜群で、しかも礼儀正しい。ちゃんとした品格を持ち合わせ、安易に淫らな行為に走ることもないし(笑)、まさに付き合うにはもってこいの相手である。ただし“生物学的”には別個の“種”であるために決して結ばれることはない。障害が大きいほどラヴ・ストーリーは盛り上がるのだが、本作の設定はその定石を踏襲するものだ。

 ストーリー展開も観客層を意識してか、とりわけ凝ったところは見られない。淡々とスムーズに進むのみだ。敵役として従来通りのモンスター然とした性格の連中も登場し、そいつらとの確執も描かれるのだが、ことさら大仰に取り上げていない代わりにケレン味たっぷりの残虐シーンも見当たらない。観る側に緊張を強いるようなモチーフは皆無に近く、画面に向き合っていて実に楽なのだ。キャサリン・ハードウィックの薄味な演出は作品のカラーによく合っている。

 そして、舞台となるワシントン州の自然の風景が素晴らしく美しい。ヴァンパイアにとって住みやすい“晴天の日が少ない土地柄”で、ゴシック風味的な暗鬱さも感じさせて出色だ。ヒロインの見た目のマイナス要因をカバーできるほど・・・・だとは思わないが(笑)、この映像美だけでも観る価値はあるかもしれない。
コメント
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