元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「アイ・アム・レジェンド」

2007-12-21 06:50:07 | 映画の感想(あ行)

 (原題:I AM LEGEND )どうしようもない映画である。こんなのが一応“正月映画の目玉”ということになっているのだから、いかにこの冬休みシーズンが不作なのか分かろうというものだ(爆)。

 ガンを制圧する画期的な治療法を開発する過程で新種のウイルスが発生。人類のほとんとが短期間で死に絶え、わずかに生き残った連中は“ダーク・シーカー”と呼ばれるゾンビと化している。幸いに免疫を持っていた主人公の男が、一人で誰もいないニューヨークで愛犬とサバイバルしており・・・・という設定自体、画面からはまったく説得力が感じられない。

 アウトブレイクからわずか数年で山のような犠牲者が出たのなら、街中に死体あるいはその残骸がゴロゴロしているはずだが、まったく見当たらないのはどういうわけだ? いったい誰が死体(およびゾンビが食い散らかした後)を片付けたのか。だいたい彼が生活する上で必要な上下水道や電力などの生活インフラの整備主体も分からない。

 また、中盤にゾンビどもが彼を罠に嵌めるシークエンスがあるが、これほどの知性がありながら、ラスト近くまで主人公の居場所ひとつ突き止められないとは噴飯ものだ。また、日没前後におけるゾンビとの絡みで直射日光に弱いことは示されるが、ならば曇天や雨の日には動き回れてもおかしくはない・・・・という解釈も成り立つが(笑)、もちろんそのあたりの詳しい説明も無し。そもそもCGで描かれるゾンビの造型はチャラチャラとしていて見苦しいではないか(^^;)。

 フランシス・ローレンスの演出は凡庸の極みで、山も谷もない話が延々と続く。特に主人公が何度も回想する妻子との別れの場面は十分に盛り上がってしかるべきだが、これが同じシーンの繰り返しで、しかも“結末”が尻切れトンボになっており、大いに脱力した。主人公が別の生き残りの人間とめぐり会う後半からの展開に至っては、すでに映画作りを放棄したかのような腑抜けぶり。ラストシーンなど、あまりのバカバカしさに“カネ返せ!”と叫びたくなった。

 リチャード・マチスンによる原作の前回の映画化であるチャールトン・ヘストン主演の「オメガマン」の方がよっぽど筋が通っていたし、SFゾンビもの(?)としても「プラネット・テラー in グラインドハウス」の足元にも及ばない。ウィル・スミスの大根演技も願い下げで、これは本年度のワーストワン有力候補である。
コメント
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