たぶん時事問題に少しは興味を持っているネットワーカーの中には少なからぬ「愛読者」がいるに違いないオピニオン・サイト「週刊アカシック・レコード」の主宰者でジャーナリストの佐々木敏による長編デビュー作。
テロリストグループがジュネーブのWHOビルを急襲したことに始まる新手の伝染病のアウトブレイクと、そのナゾに挑む日本人科学者、そして暗躍する国際陰謀組織を描くポリティカル・サスペンスだ。処女作だけに人物描写に慣れていない部分もあるが、真実味を帯びた国際問題の提起と、それをフォローする膨大な作者の知識に圧倒される一編である。
特に面白かったのは「生物兵器の効果的な使用方法」について描かれた部分である。これが実に説得力がある。この背景に、一部の支配層による「選民思想」の話が加わると、いかにも実際ありそうな話でスリリングだ。しかも「生物兵器を適度に使うこと」が「日本にとって都合がよい結果」になることにも思い当たり、慄然としてしまった。佐々木の主張を鵜呑みにする必要はないが、この機会にアメリカの支配階級の行動原理について考えてみるのも一興であろう。読む価値はある。
テロリストグループがジュネーブのWHOビルを急襲したことに始まる新手の伝染病のアウトブレイクと、そのナゾに挑む日本人科学者、そして暗躍する国際陰謀組織を描くポリティカル・サスペンスだ。処女作だけに人物描写に慣れていない部分もあるが、真実味を帯びた国際問題の提起と、それをフォローする膨大な作者の知識に圧倒される一編である。
特に面白かったのは「生物兵器の効果的な使用方法」について描かれた部分である。これが実に説得力がある。この背景に、一部の支配層による「選民思想」の話が加わると、いかにも実際ありそうな話でスリリングだ。しかも「生物兵器を適度に使うこと」が「日本にとって都合がよい結果」になることにも思い当たり、慄然としてしまった。佐々木の主張を鵜呑みにする必要はないが、この機会にアメリカの支配階級の行動原理について考えてみるのも一興であろう。読む価値はある。