元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

朝日新聞の“おとぼけ社説”(^^;)。

2007-12-14 07:22:45 | 時事ネタ
 12年9日(日)付の朝日新聞の社説には笑わせてもらった。お題は「希望社会への提言(7) 消費増税なしに安心は買えぬ」といったもの。

(引用開始)
福祉水準を維持していくと、国と地方を合わせた財政負担が、25年度には06年度より20兆円前後も増えるだろうと大まかに試算できる。(中略)歳出削減で借金漬けの財政を立て直し、国債がこれ以上増えないようにするのは難事業だ。できるだけ経済の成長力を高めて税収を増やしても、福祉の「安心勘定」へ回せる財源は多くを期待できまい。将来を見通せば、増税による負担増は避けられない。そう覚悟を決め、あえて大胆に発想を転換しないことには、社会保障の基盤を固めて希望社会への道筋を描いていくことはできないだろう。(中略)いずれは消費税が10%台になることを覚悟するしかあるまい。
(引用終了)

 この文章のおかしな点は、まず“経済成長による増収を福祉財源に回せるはずもない”と頭から決めてかかっていることだ。回すか回さないのかは朝日新聞が決めることではない。国会で議論して方向性を確定すればいい話であり、何をこの新聞は思い上がったことを書いているのか(爆)。それ以前に、経済成長による税収の伸びを過小評価していることが問題だ。

 国家財政を企業の財務状態に喩えるとすると、朝日新聞はちょうど“資金繰りが苦しければ、商品(またはサービス)を値上げすればいい”と言い切っているのと同じ事だ。どんな無能な経営者でも、自分のとこの会社が左前だった場合、真っ先に値上げを考えることはあり得ない。では何を一番に実行しなければならないか。それは“売り上げを伸ばすこと”に決まっている。では、どうやってセールス高をアップさせるか。それは魅力的な商品(またはサービス)を開発したり、人材を育成あるいは投入したり、キャンペーンを張るなどの積極的なマーケティングが必須である。いずれにしても“元手”が必要で、それ相応の予算を投入しなければならない。

 これを国の財政に置き換えると、売り上げ(税収)を伸ばすには、積極的なマーケティング等の営業努力(景気対策)が必要だと言うことだ。営業努力を怠ったままスグに値上げ(税率アップ)に踏み切っても、顧客は逃げて行って売り上げはズンドコになる。

 朝日新聞は橋本政権の失敗を知らないのだろうか。96年6月、景気が浮上の傾向を見せていたとき、財政健全化とやらを目指した橋本政権は消費税率を5%にアップさせた。その結果株価は急落。国家財政が好転した気配はなかった。これもさらなる営業努力(景気対策)なしに安易に値上げ(税率アップ)に踏み切った結果だったのではないか。単純に考えれば分かる話で、税率が上がって可処分資金が減れば、消費がダウンするのが当たり前ではないか。どこの誰が“消費税率が上がって日本の将来も安心。だから消費や投資を増やそう”と考えるのか(笑)。

 まあ、実を言うと新聞社をはじめとする大手マスコミが“消費税を上げろ!”と主張する理由はおおよそ察しが付く。我が国の税制には“輸出戻し税”なるものがある。この“輸出戻し税”とは、輸出品を作っている企業が商品を作るための材料などにかかった消費税は、その企業が申請すれば、国が返してくれるというシロモノだ。要するに消費税率がアップするほど“輸出戻し税”がその分上昇し、輸出関連大企業の幹部は儲かるってことだ。その輸出関連大企業およびその取引先になっている他の多くの大企業は、大手マスコミのスポンサーである。だからマスコミはスポンサーの思惑通りのことしか言わない・・・・と、こういう図式かもしれないな。

 とにかく「○○が安心・好転するためには、国民にはこういう痛み(負担増加)が必要」という筋書きは、少なくとも我が国においては成り立たない。何しろ赤字なのは「役所の帳簿」だけであり、日本全体としては黒字なのだ。それを無視して「痛みに耐えて何とやら」というくだらない精神論もどきを吹き込む朝日新聞は、嘘っぱちの大本営発表を垂れ流していた戦時中とまったく体質が変わらない。この新聞は何かというと“日本は(先の戦争に対する)反省が足りない”と主張するが、当の自分達はまったく“戦時中の反省”をしていないのだ(暗然)。
コメント
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