元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「カンナさん大成功です!」

2007-12-25 06:35:44 | 映画の感想(か行)

 (英題:200 Pounds Beauty )映画祭出品作品を除いて、今年唯一映画館で観た韓国映画。そもそもなぜ本作を観る気になったのか、それは原作が鈴木由美子による同名漫画だからだ。もちろん原作は読んでいないが、日本発のネタをどう料理するかほんの少し興味があったからである。だが、結果は相変わらずの田舎芝居ぶり。思わず苦笑してしまった。

 人気歌手の“吹き替え役”に甘んじていた百貫デブのヒロインが、全身整形によってスリムな美人に変身。想いを寄せていたハンサムな音楽プロデューサーに猛チャージを掛ける。彼女が整形をカミングアウトできずにあたふたと悩む様子や、周囲が美人扱いしてくれるにもかかわらず本人の内面はブスの頃のままだというギャップを、監督(脚本も担当)のキム・ヨンファはこれ以上ない程に泥臭いお笑いで塗りたくる。

 その臭さはかつての香港映画も顔負けだ。こんなにベタなギャグじゃないと韓国の観客は満足しないのかと、ほとほと呆れてしまった。それにしても、かくも整形ネタを大々的に打ち出すとは、整形が常識の韓国芸能界にあっては一種の“自爆テロ”ではないかと思い至った。おそらく作っている側もヤケクソ気味だったのだろう(爆笑)。

 劇中で主人公が自らの整形のリクエストとしてイ・ヨンエとかコ・ソヨン、シム・ウナなどの名前を持ち出す場面があるが、よく考えると韓国映画界には彼女たちの後にはロクな女優が育っていないことを意味するのではないかと思ってしまった。たとえばこの映画の主演女優のキム・アジュンはスタイルこそ良いが大して魅力がない。あえて言ってしまえばあまり品がないのである。共演(歌手役)のソ・ユンもヒドい。日本映画界ならば脇役としても使ってもらえない・・・・とは言い過ぎか(笑)。

 唯一の見所は冒頭のコンサートシーン。大きな会場を借り切ってのエキストラ大量動員による盛り上がりはなかなかのもの。途中で吹き替え役の主人公が体重のため抜けた床に落ち込み、そのためヴォーカルが出せなくなり、場を保たせるためプロデューサーが目にも止まらぬ速さで舞台効果を連発するシーンは大いに笑った。このペースで全編行って欲しかったのだが・・・・。
コメント
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