気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2014-05-26 19:16:07 | 朝日歌壇
陽炎の中から遍路あらはれてまた陽炎に白衣溶けゆく
(東京都 大村森美)

昼過ぎの検査室棟静かなり蟬時雨さへ届かぬところ
(塩釜市 佐藤龍二)

わが伯母は戦死の公報さしおきてわが子孤島に住まうと思いき
(奈良市 直木孝次郎)

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一首目。幻想的な歌。二句目に遍路がでているので、結句は白衣でその意味がわかる。しかし、遍路という存在そのものが一時的なものだから、まぼろしでいい。まぼろしがいい。
二首目。検査室は無菌室のようなところだろうか。昼過ぎで明るいのに音がない。蝉時雨さえない静けさに憧れる。
三首目。わが子から連絡がないのなら、生きていても死んでいても同じようなもの。孤島に住むと思っている方がやすらぐならそれもいいと思う。