気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人 同人のうた その2

2014-05-09 18:48:58 | 短歌人同人のうた
きーんと晴れて三月の空かなしみが錘をつけて身の内にあり
(松圭子)

健康といふもの知らぬわが頭上万能細胞のごとき雲ゆく
(洞口千恵)

喪主のこころおもへば我より若き人の葬儀にむかふにためらひのあり
(蒔田さくら子)

雨霧にスカイツリーの脚消えて暗くやさしい夜川を渡る
(谷村はるか)

畳なし障子なしにもありなれて一躯の果てをおもふたまゆら
(三井ゆき)

鳩サブレーの由来を語るガイド嬢まはりを歩く鳩もききをり
(岡田幸)

あたらしき春の並木へそのさきへ急ぎゆく子よふり向くなゆめ
(春畑茜)

「忙しい」愚痴のふりいて自慢する心なりけり病なりけり
(大橋弘志)

潮鳴りがペンの先から聞こえ出す海、海、海、と書いているから
(森谷彰)

さしあたり今日を生きおりひと雨ののちに明るむ枯芝をふみ
(佐藤慶子)

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短歌人5月号、同人1欄より。