気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人2月号 同人のうた

2013-02-14 23:01:56 | 短歌人同人のうた
睫毛濃き人でありしよななそぢの死のおもて少年微睡せる如く
(酒井佑子)

あなたへとなめらかとなる髪とよぶ冷たき束を背に垂らしつつ
(西村美佐子)

大縄におそれもせずにはいりゆく子らの背中に冬日砕ける
(鶴田伊津)

豚まんとぶたのまんぢゆう日本語の深きところに夜の灯ともる
(春畑茜)

美容室のそとには海がにほひをりとりかへしのつかぬことなどあらず
(金沢早苗)

晩秋の落葉松林とお月さま善きことばかりの一世のごとく
(庭野摩里)

檜葉の香のマットの沈む浴槽より介護の森へ入りゆくわれか
(洞口千恵)

暢気な父さんが向うからやってくるぞ そう思わせたらしめたものだ
(宮田長洋)

東京にありてさみしくなりし今日竹山広の歌に縋りぬ
(山寺修象)

空き瓶に薔薇さしてなんのかなしみか最初からゐなかつたカナリア一羽
(橘夏生)

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短歌人2月号、同人1欄より。