気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2011-02-13 19:38:02 | 朝日歌壇
可愛さも可愛くなさも引き受けて日々少しずつ親になりゆく
(東京都 田中彩子)

鬱鬱と枯葉の始末する我に話を聞くよと寄り来る鶲(ひたき)
(佐伯市 西名靖子)

地ふぶきの荒ぶ尻屋崎(しりや)の寒立馬(かんだちめ)よりあひて草を食む五六頭
(相模原市 松並善光)

**************************************

一首目。母親になって日の浅い作者だろう。赤ちゃんは可愛いときもあれば、手がかかって煩わしく思えるときもある。それは一日中そばに居て世話をする立場でないとわからない。「引き受けて」がまことに言いえていると思った。
二首目。初句の鬱鬱の字画の多さで鬱陶しさが伝わってくる。しかし作者がやらないと誰も助けてはくれない。せめてもの慰めは鳥の声であったことを、詩的に詠っている。
三首目。尻屋崎(しりや)の寒立馬(かんだちめ)は、本州最北東端の地である尻屋崎とそこに生息する馬のこと。「地ふぶき」「荒ぶ」「寒」の字が自然の厳しさを伝えている。「よりあひて」で生き物の温みがわかる。