気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人9月号 同人のうた その3

2010-09-13 21:19:20 | 短歌人同人のうた
日もすがら水琴窟の音を聴くいつ最高の私を出会う
(武藤ゆかり)

沈丁花匂わば止まる家族より呼びかけられし者の如くに
(渡部洋兒)

ワンピース、ツウピースと数えつつタイの若者鮨握りおり
(岡崎宏子)

びわの木に登れば樹上は子らの天下(くに)飽くなく頬ばり種子飛ばしけり
(石川昭子)

カタカタと鳴るはゴッホの絵ノ具函麦秋の空青澄み透る
(新谷統)

父母逝きて夫も逝きたるわれのこと身軽と言へり鴎が誘ふ
(檜垣宏子)

花札や博打に似合う風体と元より思い力士見て来ぬ
(林悠子)

鉄橋で二人の会話は途切れたり水も草生も夏のきらめき
(木崎洋子)

気が弱くなっているのだ手のひらに食後の薬たしかめながら
(吉岡生夫 吉の字は土の下に口)

山水画にうねりのぼれる径あれば小さき人の歩みが見ゆる
(斎藤典子)

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短歌人同人1欄から。

すっきりとわかりやすい歌が好きだ。