気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

鯵のひらき

2006-09-10 21:24:34 | つれづれ
死に場所のなお決まらざる蝉ありて差し出せばわが指につかまる

手にとって鯵のひらきを折りたたみ子に見せており夕餉の前に

キリトリ線で切り取るごとく丁寧に告げられている全員の解雇

人質のごとく差し出す履歴書の写真の顔は天井を向く

携帯電話持たざるわけを問われたり持たざることにのみわけが要る

(松村正直 やさしい鮫)

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作者独特のものの把握が表れていて面白いと思ったうた。
鯵のひらきをわざわざ折りたたむって、変だがやってみたくなった。
今の世の中で携帯電話を持っていないことは、どこか社会に適応していないことなのだろうか。私も持っていない。子供を保育園や学校に行かせていたら、持っていないと困るんだろうな。