気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

やさしい鮫 松村正直歌集

2006-09-08 21:21:36 | つれづれ
∞(無限大)の瞳となって風船の最後の点を見つめる子供

幸せを何度も自分に言い聞かす君はさびしい半島である

子の小さき二枚の耳を洗いおりかなしき羽根のような耳たぶ

子が乳を飲まなくなりし寂しさというを聞けどもついにわからず

ようやっと昼寝せる子のかたわらに残る虫食いだらけの時間

(松村正直 やさしい鮫 ながらみ書房)

*************************

松村正直氏の第二歌集。子供さんが生まれた時期の歌が多く、父親として子育てに深くかかわる作者のすがたに感心した。会社で仕事してたら、子供が大きくなっちゃったというどこかのお父さんとは違う。実感が表れている。