最高の五月晴れのなか、NHKホール近辺で開催された「タイ・フェスティバル」の大混雑をかき分け開演10分前にやっと着席。C定期はロペス・コボスさんのスペイン系プログラムです。
前半の2曲、後半の「三角帽子」、其々特徴の異なる音楽でとっても楽しめました。冒頭の「第1旋法によるティエントと皇帝の戦い」は1986年作曲の現代曲で初めて聴きましたが、構成が明確で、音楽も聴きやすいものでした。映画音楽のように、聴いているだけで映像が目に浮かぶような音楽でした。
2曲目は、ラロのチェロ協奏曲。ラロ自身はフランス人ですが、有名な「スペイン交響曲」を創っていますし、この曲も「スペイン風の民族色を混成」(プログラムより)になっています。ソリストのヨハネス・モーザーさんのチェロの音色に魅了されました。音がはっきりした輪郭を持った明瞭な音。民族色を押し出すことなく、むしろ理知的な音楽に聴こえましたが、かといって冷たさや硬さを感じるわけでなく、聴く者をチェロが紡ぐ音に集中させます。アンコールのJ.S.バッハの無伴奏チェロ組曲第一番の「サラバンド」も実に聴き応えありました。
休憩後は、ファリャ/バレエ音楽「三角帽子」。組曲番は聴いたことがありますが、バレエバージョンは初めてです。ロペス・コボスさんの本領発揮というところでしょうか。暗譜でオケに一つ一つしっかりと指示を出しながら創られる音楽は、多彩で、活発でありながら、形は崩れません。事前に一度だけ、ユーチューブにアップされていたバレエを視聴する機会がありましたが、そのバレエシーン一つ一つが想起される演奏です。ただ、N響の個性といえば個性なのでしょうが、この音楽やバレエが持つ(であろう)能天気な明るさ、弾け方は足りなかった。重厚さが残り、足に重りをつけてダンスを踊っているような感じを受けたのは事実です。(ただ、ツイッターで重さがあったところが良かったとコメントされていた方も居ましたので、受け止めは個人差なのでしょう。)
何といっても、私にとってのこの日一番の収穫は、ロペス・コボスさんでした。70歳を超えるベテランですが、背筋がぴしっと伸びて足取り軽快、指揮姿は威厳と言っても良い風格に溢れています。やろうとしていることが明確に伝わりますし、プログラムもメッセージがあるし、いつもと少し違ったN響コンサートを十分に楽しませてもらいました。N響を振るのは初めてということですが、相性も良さそうなので、このCプロだけなのは実にもったいない。是非、次の機会を作って欲しいです。
≪この奥は更に凄い人・人・人≫
第1782回 定期公演 Cプログラム
2014年5月17日(土) 開場 2:00pm 開演 3:00pm
NHKホール
クリストバル・アルフテル/第1旋法によるティエントと皇帝の戦い(1986)
ラロ/チェロ協奏曲 ニ短調
ファリャ/バレエ音楽「三角帽子」*
指揮:ヘスス・ロペス・コボス
チェロ:ヨハネス・モーザー
メゾ・ソプラノ*:林 美智子
No.1782 Subscription (Program C)
Saturday, May 17, 2014 3:00p.m.
NHK Hall
Cristóbal Halffter / Tiento del primer tono y batalla imperial (1986)
Lalo / Cello Concerto d minor
Falla / “El sombrero de tres picos”, ballet *
Jesús López-Cobos, conductor
Johannes Moser, cello
Michiko Hayashi, mezzo soprano*
今回は静かに楽しく聞けました。
ラロのチェロ協奏曲は初めてでした。ヴァイオリン協奏曲の印象があったのでラロにしては静かに感じました。ヨハネス・モーザーはうまかったですね。アンコールもよく聞いていますが、さすがでした。
音が落ち着いて聞こえたのはグァルネリだったからかなと・・・最前列で聞いたら違ったでしょうね。
レスが遅くなり、スイマセンでした。sonyさんもいらしたのですね。Aプロよりずいぶんと良かったですね。私はロペス・コボスさんの指揮ぶりがとっても好きになりました。音の違いは、楽器が原因かもしれないのですね。
N響については、なんだかんだ言われることが多いですが、奏者の力量がある(であろう)こと、NHKホールの収容力(直前でも席がたいていある)、指揮者・ソリストに有名人が来る、値段も安めに聴けることから、一番足を運んでますね。
Miklosさんのレビューを楽しみにしてます!