5月に見たオペラ「ヴォツイック」の救いようのない陰鬱さに興味を持ち、原作を読んでみたいと思い手に取りました。作者のビューヒナーはドイツの自然科学者であり劇作家ですが、1837年に23歳の若さで亡くなっています。
本書には、オペラの原作となった戯曲に加え、フランス革命の中心人物ダントンが死刑に処せられるまでを描いた戯曲「ダントンの死」と精神分裂症的症状のあったドイツの作家レンツを描く短編小説「レンツ」の計3編が収められています。
「ヴォイツェク」は殆どオペラと同じでしたので、オペラが原作に忠実に作られていることが分かりました。読み物として一番興味深かったのは、「ダントンの死」でしょうか。シェイクスピアを思わせるテンポの良さや含蓄ある台詞が楽しめます。レンツはちょっとくどいかな。ただ、これらの三作が20代前半に書かれていることには驚きを隠せません。
「ダントンの死」は一度お芝居で見てみたいです。