その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

3年ぶりのイギリス訪問 (5) 《ウィリアム・ホガース巡り》

2015-08-26 07:25:52 | 旅行 イギリス
 今回のロンドン訪問では高橋裕子さんの『イギリス美術史』(岩波新書)で紹介されていたウィリアム・ホガースの油彩を見ることも「やりたいこと」の一つでした。有名な版画「ジン横丁」「ビール通り」は大英博物館所蔵(ただこの2枚はどこかで観た記憶はあるのですが、大英博物館で見た覚えはありません)ですが、まずはこれまで足を運んだことが無かったサー・ジョン・ソーン博物館がターゲット。


《ジン横丁 これは大英博物館》

 同博物館は大英博物館の近くにある邸宅博物館です(ホルボーン駅から徒歩7分ぐらい)。「イギリスの建築家ジョン・ソーンの旧邸宅を用いた美術館、博物館であり、ソーンの個人的な趣味により収集された美術品コレクションを展示」(Wikiより引用)しています。さほど広いとは言えない邸宅に美術品や工芸品が所狭しと展示(というより設置)してあります。写真不可だったので、イメージはHPをご覧ください。


《うっかりすると通り過ぎてしまうサー・ジョン・ソーン博物館》

 ここには、ホガースの有名な風刺画の連作「放蕩息子一代記」(タイトルの和訳は色々あるようです)と「選挙」があります。どちらも1階の奥まった部屋にあります。人が5,6名も入れば触れ合う10畳程度の大きさです。「放蕩息子一代記」の8枚は部屋に入って左手にある開き扉の内側に隠されているので注意してください。扉が閉まっている場合は、部屋管理のおじさんが居ますので、開いてもらうようにお願いしましょう。私が部屋に入った時は、たまたま先客のために扉が開いていました。「選挙」は、その開き扉の外側と反対側の壁に掛けてあります。一枚一枚、パーツパーツの意味などを類推しながら当時の様子を想像するのは楽しい時間です。


《放蕩息子一代記の一枚》


《選挙の一枚》

(サー・ジョン・ソーン博物館には、これ以外にも大英博物館にありそうな古代の石の棺桶とか、個人の趣味とは言えここまでやるのかという品々がいろいろあります。入館無料ですから、覗くだけでも価値ありです)

 ホガースの絵はナショナル・ギャラリーにもあります。これまで有名な「グラハム家の子供たち」は見ていましたが、六連作の「当世結婚事情」はあまりじっくり見てなかったので、混みこみのギャラリーの中、この連作だけはじっくり鑑賞しました。絵そのものよりも、このユーモアセンスが良いですね。現代の漫画や新聞・雑誌にある風刺イラストと通じるものがある上に、当時の風俗が伺い知れて興味深いです。

 
《当世結婚事情の一枚》


 これ以上書くと、ホガースを勉強されたブログ仲間の守屋さんに笑われそうなので、この辺にしておきます。

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2 コメント

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Unknown (守屋)
2015-08-27 01:13:00
こんにちは。ご指名いただき、3連続失礼します。

 僕がホガースの学んだのはモラトリアムの結果でロンドンに来るのがあの頃に判っていたら、もっと深く学んでおけばと。

 かんとくさんが書かれているように、ホガースの絵が伝える風刺は現代にも通じるものがあり、新聞でも現代風にアレンジされてよく使われます。イギリスの市井の人々の暮らしの歴史を知りたい人には、ホガースの作品の背景を知るのは有意義だと思います。
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Unknown (かんとく)
2015-08-27 22:43:30
守屋さん
引っ張り出してすいません。ただ私にとっては、ようやくホガースの面白さに気づきはじめたのは、かなり嬉しい発見です。時間が許せば、もう少し深堀したいですね。
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