その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

こいつは凄い、ヨーロッパかぶれも降参! 国宝興福寺仏頭展@東京藝術大学大学美術館

2013-11-23 23:23:54 | 美術展(2012.8~)


 東京藝術大学大学美術館で開催中の興福寺仏頭展に会期終了日前日に駆け込んだ。開館時刻10:00に到着した際には既に長い列が。それでも20分弱の待ち時間で入館出来た。

 息をのんだ、見とれた、そして痺れた。素晴らしい展示品の数々だった。 

 厚さ3センチの板に彫られた「板彫十二神将像」。表情豊かで今にも板から飛び出してきそう。今は彩色が落ちているが、頭の中で色を塗ってみたりする。

 更に十二神将像を立体化させた「木造十二神将立像」。板彫よりもさらに躍動感が増す。各将それぞれに決まった姿勢、凛々しい体格、指先まで作り手の魂の宿りを感じる作り、本当に動き出すのではないかと思わせる。そして、頭部に着けた干支の動物が何とも可愛く、神将たちの険しい顔つきとのコントラストが楽しい。

 そして、ポスターにもなっている「銅造仏頭」。神将達の躍動感と対照的な、「白鳳の貴公子」と言われるらしいが、悟りを開いた人ならではの静溢な表情。自分の中に溜まった日々のいろんな澱が見ているだけで洗い流されるような気持ちになれる。

 その奥には、調布市の深大寺所蔵の重要文化財「銅造釈迦如来倚像」が陳列してあった。サイズも表情も「銅造仏頭」よりは親しみやすい銅像である。深大寺は何回も行っているが、こんな素晴らしい平安時代の重要文化財があったなんて知らなかった。

 これらの目玉展示のほかにも、興福寺所蔵の平安から室町時代にかけての絵画や書跡も展示してありどれも興味深い。

 会場は多くの人で賑わっていたが、入場数をコントロールしているせいか、混雑の割には落ち着いて、じっくりと鑑賞できて良かった。興福寺ではどのように展示してあるのか知らないが、京都の寺社に行くと、仏像なども暗くて遠くにあって良く見えないことも多いのだが、今回はかなり間近で、360度の角度で、スポットライト付きで見ることができるのはなんともありがたかった。

 日頃、欧州文化に触れる機会のが多く、家族からは「西洋かぶれ」と揶揄される私だが、日本文化の神髄に触れ、「参りました」と思いながら美術館を出た。
コメント (4)
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