昨夜はお客様方と一緒に届いたばかりのこの新譜を何度も聴きました。
『GOING BACK HOME/WILKO JOHNSON&ROGER DALTREY』
リリースの一報を聴いた時は「へえ、ウィルコとロジャーって付き合いあるんだ…あたりまえか」。こんな感じでした。病により時間がないウィルコだけにウィルコジョンソンバンド名義の新作を聴きたかった気もしますが。限られた貴重な時間を使って無理に新しい曲を書くよりも、これで良かったのかもしれません。なによりこれまでの彼の活動自体がどんどん新しい楽曲を発表してゆくというよりは楽曲、演奏を深化させてゆくというタイプのものだったから良い選択だと思います。
収録曲にはウィルコクラシックスがズラリ。演奏はウィルコ&ノーマン・ワットロイ!!&ディラン・ハウの現ウィルコジョンソンバンド。+ミック・タルボット+スティーヴ・ウェストン。そしてボーカルがロジャー。なんとレーベルはチェスレコード!
冒頭のタイトル曲でのギターの音でいきなり体温が上がります!そして初期のTHE WHOを思いださせるような熱唱を聴かせるロジャー。真っ当でストレートなボーカリスト、熱い男です。タイトなバンドサウンドにもグイっと噛んでて良い感じ。フーではアクの強いメンバーに囲まれ損をしていた感のある彼ですが、この男臭さと歌唱力はやはり素晴らしいと思いました。
でも聴けば聴くほどこのアルバムはウィルコのアルバムという印象が強い。意識的にウィルコのギターを中心としたサウンドを指向しているとしたらロジャー相当に良いヤツです(事実そんな感じのする作りです)。
そして一聴して気づくのは音が、録音が良い!
流石ユニヴァーサル、流石ザ・フーといったところです。若干チープなウィルコのソロアルバムの音に慣れていた耳には違和感さえありそうな音質(あの音を愛する気持ちは強いですが)。でもウィルコらしさが失われているわけではなく、指弾きのギターサウンドの質感、弾力、切れ味が豊かに感じられて素晴らしい。素晴らしく音の良いライヴ会場でのギターサウンドのようです。本人はこの音に満足しているはずだと思います。
満足のできる音質で、しっかりとしたボーカリストを従えギタープレイに専念するウィルコの演奏を堪能できる幸せがじわじわと広がってきます。ロジャーの直情的な男歌の後ろで響くマシンガンギター!リー・ブリローと演奏していた頃を彷彿とさせつつ、当時よりふくよかさを増したビート。
あの愛すべき歌声こそ聴かれないものの、ウィルコのギタープレイを愛する者には至福の時間がたっぷり(収録時間は35分とシャープでシンプル!ですが)。
「企画モノかぁ」と思っている方、後悔します!是非お早めの購入を!!
ただウィルコが最も共演したいのはディランだよな~ 誰か!!