デビュー50周年、71歳通算35 作目となるオリジナルアルバムだそうです。「いいぞ!」との評判は聞いていたのですが、少し経って運転中にラジオで聴き即購入。
アコースティックスウィング?ラグタイム?オールドアメリカン云々とのウワサでしたが、冒頭の曲以外はあたりまえにボブ・ディラン。だけどあたりまえにとどまらない濃厚でハイクオリティな楽曲が(近年顕著な)別人のようにしわがれた声で奏でられる。バンドメンバーほぼ固定でプロデュースがJack Frost(ボブの変名)というもう誰も手が出せない孤高の充実作。
結局何をやってもボブ・ディラン。軟弱にも駄目になったりもしない。うーんこの人、なんとも自由だ。かないません。
だってなにをどうやってもロック!してるのだ。ロックの権化。どんなに頑張っても頑張れば頑張るほどロック的じゃない、底を見せてしまう諸々のミュージシャンからすると理解不能のロック度数。
思えば東京で初めて観たLIVEがディランとハートブレイカーズの武道館でした。長~いイントロをステージ奥でキーボードを弾いて過ごしていたディランがおもむろにストラトを手に取りマイクに向かい歩き出し、ドン&デューイの『ジャスティン』を歌いだした時のロックンロール具合!あまりの濃厚さで田舎育ちの19歳には理解不能でした。そんな19歳が46歳になるほどの時間が経ってもいまだロックの塊。この人ムチャクチャです。
巷ではジョン・レノンに捧げられた曲が収録されたことが話題になってます。なんと、数年前ボブはリバプールのジョンの生家などを巡るバスツアーに16ドル払い一般客に混じって参加したとのこと。エージェントから参加を告げられ困惑していた?主催者側だったものの、ツアーの他の参加観光客は誰もボブ・ディランだと気づかなかったそうです。まぁそりゃそうだ!!!
とにかく訳のわからないくらいに濃厚な歌の力にひれ伏してしまう強力盤です。70代で新曲並べてこんなアルバム作るなんて凄いのひと言。近年の彼の作品でも屈指の出来ではないでしょうか。
…「ロックしてる」ってどういうことだよ!という質問には答えられないね。