バイユー ゲイト 不定期日刊『南風』

ブルース、ソウルにニューオーリンズ!ソウルフルな音楽溢れる東京武蔵野の音楽呑み屋バイユーゲイトにまつわる日々のつれづれを

赤穂亮選手の試合をテレビ観戦。

2021-06-21 | ボクシング
井上尚弥選手のラスベガス防衛戦、中谷選手がロマチェンコと対戦!!とボクシングが熱い日々なので
先日テレビ観戦した6月5日後楽園ホールでの試合の感想を記しておくことにします。
メインの赤穂亮vs杉田ダイスケ戦は赤穂選手の3RKO勝ち。
34歳にして進境著しい赤穂選手に感心したものでした。YouTube番組ですっかり馴染みとなりいつしか、勝利を喜び安堵するようになってしまいました笑
世界再挑戦まで見届けたいと思っています。
セミファイナルの大内淳雅vs岩田翔吉のランカー対決は、まったく緩むところのない文字通りの好ファイト。
両者のボクシング技術を堪能させて頂きました。若い岩田選手が判定勝利を収めたが、35歳の大内選手も無責任ながら、身体に問題がなければまだまだ上を目指せる!と思わせる深みのあるボクシングでした。

久しぶりにホール(後楽園)の匂いを嗅いだような気持ちになりました。行きたいな。

坂井祥紀選手のこれからに注目!

2021-05-13 | ボクシング
4月8日に行われたボクシング日本ウエルター級タイトルマッチ小原佳太vs坂井祥紀 戦をひと月遅れで観た。

フルラウンドを戦い終え、自分としては挑戦者坂井選手に分があったように感じたけれど
結果はチャンピオン小原選手の判定勝ち。

判定結果には正直疑問が残るが、好ファイトだった。

高校卒業後単身メキシコに渡り10年間彼の地でプロキャリアを積んできた坂井選手。
(WBC世界ユース・スーパーライト級王座を獲得している)
昨年帰国して国内ジム所属3戦目で挑んだ日本タイトルを残念ながら奪うことはできなかった。
しかしコロナ禍により試合数が激減している中、日本のボクシングファンに強い印象を残したのではないかと思う。

顔面の前で高くグローブを合わせた固いガードから繰り出すパンチは強さも軌道も魅力十分。
特に強く打ち切る左ジャブはほとんどストレート!で観ていて新鮮だった。
更にインパクトがあったのがガードを高く上げて自らのボディをあまり守らず相手に打たせるところ。ボディを打ってくる相手の顔面に強烈なパンチを返す姿には驚かされた。
抉るようなフックにも鳩尾へのストレートにもたじろぐことのない、まさに鋼鉄のボディ。

坂井選手はメキシコ、アメリカ、ベネズエラで30数戦を戦い、不当な判定で敗れたことも多いとのことでこれまで11の敗戦を経験している。
しかしKO負けはおろか1度のダウンも喫していないという。
その身体的タフネスぶりにも驚かされるが、打たれているように見えて絶妙な身体の使い方で決定打を許さない実戦的なディフェンステクニック?があるように感じた。
わかりやすくテクニカルには見えるわけじゃないけれど巧い!流石ナチョベリスタイン傘下だっただけはあるな、と唸らされた。
そしてメキシコでは必要とされたであろう勇気あるボクシングスタイル。右ストレートもコンビネーションも迫力十分。
なんとも魅力的な選手だと思いました。

終盤激しく打ち合ってコーナーに戻った後に見せた、インターバル中の笑顔には多くのボクシングファンが引き込まれたことでしょう。
俺はすっかりファンになってしまいました。

最初に書いたように判定結果に疑問は残るものの
小原佳太選手ももう一度世界戦線へ打って出るんだという気迫で立ち向かった見応え十分の日本タイトルマッチでした。

というわけで
坂井祥紀選手
覚えておいて損はないです!






アフマダリエフvs岩佐戦を観て粟生隆寛選手を思う。

2021-04-04 | ボクシング
朝からYouTubeで動画を探して観たウズベキスタン/タシケントでのIBF&WBA世界スーパーバンタム級タイトルマッチ、ムロジョン・アフマダリエフvs岩佐亮佑戦。
確かに早過ぎるストップだったけどやはり相手は強くて速かった。流石オリンピック金メダリスト。
そして改めて思うのでした。
粟生隆寛選手がドイツのビタリ・タイベルトからダウンを奪って完勝した試合は日本のボクサーがヨーロッパのオリンピックメダリストに対して世界戦で収めた価値ある勝利としてもっと高い評価を得るべきだと。

マーべラス・マービン・ハグラーが逝ってしまった。

2021-03-15 | ボクシング
一日遅れて今日知った。
偉大なるマーべラス・マービン・ハグラーが突然世を去った。
ショックだ。
彼こそが特別なボクサー。
強い弱いや好き嫌いを超えて問答無用にカッコイイ存在。
その比類なき素晴らしさ、威厳ある姿には敢えて「カッコイイ」なんて軽い表現を使いたくなってしまう。
ボクサーが魅力的と呼ばれるのにはいくつもファクターがある。
まずその強さ。
強さにも強打者やテクニシャン、スピードスターなんてのもある。
そして佇まい。華やかだったり、激しかったり。
更にそのボクシングスタイルが好きだったり、人柄や逸話が好ましかったり、存在そのものが魅力的だったり。
当たり前だけどなかなか全てを兼ね備えるのは難しい。
マーヴェラスな男、マービンハグラーは僕が思うにそのほとんどを持ちあわせた稀有な存在だった。
貧しい母子家庭に育った彼は酒もタバコも甘い物もコーヒーも断つというストイックな生活でボクシングに打ち込んだ。
「金銭問題」で(揉めて)頻繁にマネージャーやトレーナーを変えるのが当たり前のアメリカボクシング界においてハグラーは
デビュー前から世話になったイタリア系白人であるペトロネーリ兄弟とのコンビを引退まで組み続けた。ボクシングファンならわかる。これは極めて稀なることだ。
デビュー戦で50ドルを得た際、兄弟はマネージメント料を要求しなかったという。「それはキミが痛い思いをして得た大事なお金だから大切にしなさい」と言われたという逸話が後年、ハグラーの口から語られている。
強かった。世界ミドル級王者として、まさに無敵の存在だった。
62勝(52KO)3敗2分。強打でKOの山を築いた。しかし荒っぽいファイターではなく優れたテクニシャンで、理詰めのような渋いボクシングを展開もした。リングを跳ね回るタイプではなかったが、俊敏で抜群のハンドスピードを持ち合わせていた。ガードも固くタフファイトにも強かった。サウスポーながら右にスイッチしての戦いも巧みな「両利き」でもあった。
威厳ある寡黙な佇まい、大言壮語はなく、あくまでリング上で拳で語るチャンピオンだった。
タイトルを奪取する前は強すぎると敬遠されチャンスに恵まれなかったが地道にキャリアを重ねた。質実剛健なボクシングスタイルが完成するまでに喫した2敗2分の後は10年間無敗で勝ち続けた。
世界タイトル統括団体と階級が増え、金銭とわかりやすい名声のため
多くのトップボクサーが各団体のベルトコレクターと複数階級制覇に勤しむようになった時代に、ハグラーはミドル級であり続け「統一ミドル級チャンピオン」として積極的にランキング1位選手と戦い12度に渡り挑戦者を撃退した。
インテリジェンス溢れるいぶし銀のテクニックに、ここぞというときの爆発的な攻撃力。リングの上のハグラーは偉大なオーラを纏っていた。
当時はハグラー、レナード、デュラン、ハーンズが凌ぎを削る今や伝説の黄金時代。
ハグラーはまずデュラン、ハーンズを挑戦者として迎え撃退した。特にハーンズとの試合は名勝負中の名勝負!として今も語り継がれている。
そして複数階級制覇と様々なベルトを追い求めた末、引退状態にあったスーパースター、シュガーレイレナードと戦うことになる。
試合前の駆け引きやメデイアの動きも含め、これまでハグラーが歩んできた道とは違う「ボクシングビジネス」の世界。
半引退状態であったレナードを考慮してという大義名分か?リングは逃げ足が使いやすいであろう基準ギリギリの広さの広い物を採用、ハグラーが嫌がっていた12ラウンド制も採用された(15ラウンド制から12ラウンド制への過渡期だった)。
賑やかで華やかな試合だった。
当時海外の試合を観はじめたばかりだった僕は、引退からカムバックしたレナードの華やかさに漠然と「勝つとすごいな」などと間の抜けたことを考えてテレビの前にいた。
試合は僅差の2対1判定でレナード。
間の抜けたガキでさえ少し「?」と思った。
後3ラウンドあったらハグラーのものだったか…。
当然ハグラーは不満だった。でもリング上で派手に怒ったりすることはなかった。悲しそうだったけど威厳を保っていた。
コメントにも威厳があったように感じた(威厳のカケラもないデュランも好きなんですけどねーw)
微妙な採点だったために世間から再戦の声が上がったが(更に大きなマネーを産むからだ!)ハグラーはそのままリングを去った。
現役続行するかどうかを訊ねられて
「心はイエスだが、頭がノーと言っている」とコメントを残していたな。
もうたくさんだと思ったのか、
自分の王座をこれ以上汚したくないと思っているようにも感じられた。
アメリカでが話題性のあるスターボクサーは引退後、カムバックすることが多いけれどハグラーはそのまま表舞台から姿を消した。
しばらく経った後、イタリアに住んで地元で映画俳優をやっていた時に何度かアメリカマスコミの前に現れたが、寡黙で威厳ある姿は現役時代そのままで唸らされたものだった。少し朗らかになっていたのも良かった。
彼がとても気に入って誇りに思っていたニックネーム
『Marvelous(比類なき、奇跡的に素晴らしい、驚くべき)』
ハグラーは公の場でこれをつけずに呼ばれることを不満に思い
1982年、法的な氏名をMarvelous Marvin Haglerに変更した。
頑固で、良い話だと思う。
また不確かな記憶だけど
ハグラーは前述のペトロネーリ兄弟と出会ったばかりの貧しい少年だった頃にサンドイッチをご馳走になったことを、自分に良くしてくれる白人2人を信じられずすぐには手をつけられなかった思い出を雑誌のインタヴューで語っていた。
一度信じた絆を守り通した強いボクサーだった。



彼の偉大な試合の数々を後追いで体験した間抜けな少年(レナード戦をボーッと観ていた)である僕は
もし会える機会があるなら是非サインが欲しいなと
サイン用のポートレイトをずっと持っていたのでした。
嗚呼。

私的思い出の試合『田村知範vs川名祝数』

2021-01-27 | ボクシング
YouTubeスゲェ!
古いボクシングの試合を見ているうちにふと思い出して検索したら…あった!!!ずっともう一度見たいと思っていた『田村知範vs川名祝数』。
当時、偶然目にして何度か見返したこの試合(深夜録画放送だったので録画していた)。いつしか川名選手の顔、表情が目に焼き付いてしまったのでした。
その後も「記憶に残る試合は?」と聞かれるといつも番外編としてこの試合を挙げ続けてきた私。なぜ番外編かというと知らない人がほとんどであろう試合だから。
田村選手は当時は注目されてはいたけれど後世に名を残すことはできなかったし、川名選手はネットでもほとんど情報の出てこないボクサー。しかもタイトルマッチですらない。手元に映像がなく見られなくなって以降、時々ネットで検索するのが癖になってしまっていたのですが〜今日久しぶりに検索したら発見!昨年夏にアップされていました。ありがたや。
30数年の時を経て、僕の記憶も曖昧になり試合展開や細部の印象で違うところも多々ありましたがあの川名選手の表情は記憶と全く同じ強烈さでした。
いわゆる名勝負、とまでは言えないと思いますが
プロボクシングのリアルな姿、ホールの匂いが漂ってくるような映像です(画質は悪いです)。
当時刺激の強い試合を見た後は何日も折にふれその試合の光景、記憶に残ったところを反芻したりしていたものでした。
レコードを漁るひ弱なボクシングオタク道まっしぐらだった頃の諸々が蘇るこの試合。ご興味のある方は是非、と小声でおすすめします。

田村知範 TKO6R 川名祝数 A級ボクサー賞金トーナメント フライ級決勝 1991/11/11 Tomonori Tamura VS Norikazu Kawana

噂のベルデホvs中谷正義戦をようやく観戦。

2021-01-13 | ボクシング

昨年12月12日に聖地ラスベガスそれもMGMグランドで行われたウワサのライト級10回戦、フェリックス・ベルデホvs中谷正義を週末にようやく観ることができた。
結果は中谷選手の9R大逆転KO勝ち。日本のファンもアメリカのファンも騒いでいただけあってソウルフルな「グレイトパフォーマンス」(アメリカのTVインタヴュアー)だった。
東洋太平洋ライト級王座を防衛し続けている(11度)時に名前は認識していたものの「ライト級だし世界と距離はあるよなぁ」と言う勝手な印象を持っていました。その後、アメリカで著名選手テオフィモロペスに敗れるも善戦したと聞き「へぇ世界レベルでやれる選手なんだな」と思ったら、そのまま引退表明。ところがロペスが現役最高峰とさえ評価されるロマチェンコを破り4団体統一王座を獲得。刺激を受けたか一転現役復帰を決め、これが再起第一戦だった。
この試合「WBOインターコンチネンタル ライト級王座決定戦」とは銘打たれていたもののこのタイトルに特に意味はなく、勝者がトップレベルの世界戦線に浮上するというサバイバルマッチだった。
世界的にトップコンテンダーの一人と認められている選手(ベルデホ)にここまで研究されて、しかも序盤からカタにハメられ(ダウンも2度喫した)ながらの逆転KOはインパクト十分。LIVEで観た人が大興奮していたのも大いに頷ける凄い試合でした。

井上vsモロニー、井岡vs田中がなければ年間最高試合賞受賞もあったかも。コロナ禍の中、試合が少なかったのにも関わらず好ファイト連発の年の瀬となりました。
さぁ中谷選手の今後はどうなるか!

大晦日の井岡vs田中戦、凄かった!

2021-01-11 | ボクシング
大晦日の話です。

参りました。井岡選手、素晴らしかった。

試合が決まった時からとてもとても楽しみにしていた井岡一翔vs田中恒成戦!!!世界タイトルマッチでの日本対決でも過去最高のカードとの呼び声の高かったこの一戦。
4階級制覇王者vs3階級制覇王者というのは「格」が話題になっていたけれど、自分としてはやっぱり田中恒成がついにメジャーへと羽ばたく試合として大注目していました。
しかし結果は井岡選手の完勝。

序盤あれだけスピードで押し込まれながらコンビネーション、カウンターのタイミングに引き摺り込んだのには脱帽です。
凄いボクシングだった!
実は俺は田中選手が圧勝すると思ってました。見る目がないボクシングファンです。
ボクシングの試合中、一度貰ったパンチを何度も貰い続ける場面をよく目にするけれど、あの左フック!「これまた貰うぞ…」と思ったらやっぱり2度3度。一度ハマったタイミングから抜け出すのは難しいのか。
レフェリー、的確なストップだったと思います。

いつもは(自分的に)ちょっと引っかかるところのある井岡選手の勝利者インタビューも今日は文句のつけようがありませんでした。

そういえばW.C.カラス先輩は井岡選手を推してましたね。流石です。

ロイヤル小林選手の訃報。

2020-12-08 | ボクシング
ロイヤル小林、亡くなったのか。昭和が遠くなるなぁ。

小学生の俺はアルゲリョ戦の意味もわからず、
運動会の寄せ書き?に書くことが思い付かないままなんとなく

「ロイヤル小林弱い」と書いてしまったのでした。反省です。
アレクシスアルゲリョ、ウィルフレドゴメス、エウセビオペドロサ、と今も世界中のボクシングファンから特別視される歴史的強豪と戦い、敗れたことで日本ボクシング史に大きく名を残す彼。

WBC世界Jrフェザー級チャンピオンであるロイヤル小林選手。
世界王者に君臨したことよりスペシャルなボクサー相手の世界戦での敗戦で知られる。これって凄いことだ。
71歳、少し早いですね。

新聞の訃報記事を目にして「ふーん知らない昔のボクサー だ」と流してゆく人が一人でも減るといいなと思い、書きました。

井上尚弥、ラスベガスデビューも凄かった。

2020-11-06 | ボクシング

日曜日は井上尚弥のラスベガスデビュー戦をライブTV観戦。
今年、こうしてなんとか1試合やれたことは彼にとって大きかった。
しかもラスベガスデビュー戦ですから、本当に価値ある試合実現だったと思う。
少し後の設定なら危なかったのではないかというコロナ禍感染拡大状況、大統領選下の社会状況。翌々日の京口紘人選手の世界戦が直前で感染により中止を余儀なくされたことを思えば、本当にやれてよかった。そしてインパクトのある勝ち方。アメリカでの試合は2度目だったけど前回時より注目度は大幅に増しており、今回の快勝の価値は大きい。

しかし井上は相変わらず凄かった。
最初のダウンを奪ったダブルの左ジャブに合わせた左カウンターには驚きしかない。久しぶりに一瞬何が起こったか理解できなかった。
自分は「見えなかった」ということはほとんど無い観戦者なのですが「え?」と思ったものです。
相手のジャブの2発目に対してのほとんどスイングなしのカウンター。改めて観ても信じ難い。
そして最後の右カウンターのエグいこと…。
モロニー選手、は流石の対戦相手、ハイレベルなボクサーだった。なのにあの結果。

「勝てよー!」とか思って観てたのに
終わってしまえば凄い勝ち方に
なんかちょっと引くくらい(笑)

これまで45年ちょい、熱く観戦してきた幾多のボクシング物語はなんだったのか…
と思ってしまいそうで。

ちなみに。
自分はボクサーのことは八重樫東選手とか田口良一選手とか選手をつけて呼ぶことが多いけど
ついつい井上尚弥、と書いてしまう。
なんかちと、別の次元感があるんだよねー。
もちろん会う機会があれば
井上選手!井上さん!ですが笑

引退発表。記憶に残る八重樫東。

2020-09-02 | ボクシング


八重樫東選手引退発表。予想していたけれど改めていろんなことを思い出す。

当時のパウンドフォーパウンドキング、ロマゴンことローマンゴンザレス戦、そして井岡一翔との統一戦について語られることが多いけれど。僕にとってはやっぱりあのポンサワン戦だ。彼が初めて世界タイトルを奪取したこの試合は今思い出してもスリリングでソウルフルな名勝負でした(アメリカのスポーツ放送局ESPNの年間試行試合にも選ばれた!)。
テレビの画面越しにも後楽園ホールが沸騰しているのが熱を持って感じられる。選手の背後で時折目につくお客さんたちの表情から、ちょっとやそっとじゃ出会えない「一生忘れられないようなボクシング体験」をしているのが強力に伝わってきて、現場にいられなかったことが残念でたまらなく感じたものでした。
賭けてもいいな。あの試合を生で見たことによりボクシングの深淵にハマってしまった人がいるのは間違いない。

そしてもう一つ思い浮かぶのが惨敗した世界初挑戦。デーン "イーグル京和 "ジュンラバンに顎を割られながらの12R。まさに完敗。その後、彼がこれほどの記憶に残るボクサー になるとは全く思わなかった。イーグルファンだった僕は、技術もハートもタイからの輸入ボクサーとは格が違うように感じたものでした。見る目がない、としか言いようがないですね。

顔を腫らしての激しい打撃戦が多いことから「激闘王」と呼ばれた八重樫選手だけど、多くの試合の序盤で見せたように本来はスピードとテクニックに優れ、出入りの速いボクシングが売りのボクサーだったように思う。
そのレベルでは対処できない場面に直面すると躊躇なく肉を切らせて骨を断つ的なボクシングに踏み込むところが見る者を熱くさせていた。
それだけに大怪我をすることなくキャリアを終えられてよかったと安堵しています。

バイユーを始めてからなかなかボクシング会場に行けなくなっているのですが、2016年年末には大船渡黒船の岩瀬さんの岩手コネクション?によりIBF王座の防衛戦(見事防衛!)を生観戦できたことは良い思い出です。

そして今日、「やえがしあきら」で「東」が出てくることに小さく感激した私でした。
すっかり八重樫ファンなんですね。

江藤光喜選手引退。

2020-07-28 | ボクシング
江藤光喜選手の引退を知る。所属する白井具志堅スポーツジムの閉鎖を機にとのこと。コロナ禍の中では先行きも不透明だし仕方ないのか…。

元WBA世界フライ級暫定王者。

日本ボクサーの鬼門とされるタイの地で初めて王座を奪取した歴史に名を残す存在だ。しかし、残念ながらそれに相応しい名声を得てはいない。

日本ボクシング界には暫定王者をチャンピオンとして認定した時期とそうでない時期がある。江藤選手はWBA暫定王座不認可の時期に奪取した為、国内では世界王者と認められていない。
承知の上で挑戦したのだから仕方ないのかもしれないが、国内で認定されている他の暫定王座(9つある)が暫定王座決定戦により獲得したものであるのに対し江藤選手は暫定王者に敵地で挑んで(しかも元正規王者)アジアメディアから「年間最高試合」と呼ばれるほどの試合をして奪った王座だった。後付けの結果論で語るのは問題があるかもしれないがなんとか相応しい名声を届けられないものか。

具志堅用高さんが育てた沖縄の世界チャンピオンは比嘉大吾選手と江藤光喜選手。そして第一号は江藤選手であったとボクシングファンの俺たちは記憶しています。
それで充分なのかもしれませんが、なんだかスッキリしなくって投稿いたしました。

僕は江藤選手と面識はありませんし熱心なファンだったというわけでもありません。ただ、引退したも同然の元世界王者を王座決定戦に引っ張り出してきての複数階級制覇(近年特にTBSで沢山ありました)を認めてしまうのなら江藤選手を認めるべきじゃないかと強く思う次第です。

そんな中、数ヶ月前のボクシングマガジン誌の歴代世界王者特集に江藤選手の写真が載っていたのは嬉しく思いました。常日頃は「正式見解に従う」的な印象のあるボクシングマガジンの英断に拍手を贈りたいです。そして江藤選手が大きな怪我もなく現役を終えられたことを安堵と共に労いたいと思います。

荒川仁人選手引退。

2019-10-09 | ボクシング
起きてPCを開いたら…
荒川仁人選手引退の報が。
思わず「ああ」と声が漏れそうになるがデビュー15年、近年は「大きな怪我をしないで欲しい…」と心配しつつ眺めていた現役生活でもありました。

僕の高校の大先輩である八王子中屋ジム中屋会長の元でグローブを握った荒川選手。その縁で初めて試合を見たのは10数年前、八王子京王プラザホテル特設会場での試合でした。
攻防一体型の左ボクサーファイター。丁寧で真摯なボクシング。そして穏やかな人柄。
日本王者、東洋王者、世界ランカーと地位が向上するほどに激闘型のファイターとなっていったけれど基本最後まで持てる技術を駆使して戦う丁寧なボクシングが持ち味だったと思います。
そこにソウルフルな闘いぶりと穏やかな人柄が加味されるのだからボクシングファン的にはたまらない選手でした。
キャリア前半の所属ジム会長さんとの縁でバイユーゲイトに顔を出してくれたこともありました。
そしてバイユーのお客様グループでホールに応援に行ったこともありました。

アメリカで戦うようになってからの激闘の数々には普段の荒川選手に接したことのある人は皆驚いたことだったと思います。ただ「激闘」だけにここ数年は打たれることが多くなっていました。41戦32勝(18KO)7敗2分

うーん。うまく言葉が見つからないけれど。お疲れ様でした。俺はファンでした。

井上尚弥選手やはり凄かった。

2019-05-20 | ボクシング
土曜日仕事を終えて帰宅。深夜だというのに酒も飲まず諸々の小さな仕事をしつつ、遠くグラスゴーの地での試合開始時間を待つ。
できるだけハッキリとした頭で『井上尚弥vsエマヌエルロドリゲス』戦を観たかった。

ロドリゲス選手が強いのはわかっていたけれどテクニシャンの印象もあり、あれほど圧力をかけてくるとは思わなかった1ラウンド。
圧力をかけつつ井上選手の対応に小さくカウンターを取り続ける。クリーンヒットこそないが怖いタイミング。ここのところ試合開始と同時に井上選手がリング内を支配する展開ばかり見てきていたので、それほど劣勢というわけでもないのに「これはなかなか厳しいぞ」などと思う。やけに鋭い目で相手を凝視し続ける井上尚弥が印象的だった。ややロドリゲス優勢の1ラウンドが終了しコーナーに戻る姿を見て「相手結構速いです」とか言っているのかなと想像する俺。
どうしようもなくシロウトでした。

3分間で無敗のIBF王者を見切っていたモンスターと呼ばれるボクサーは次のラウンドが始まると一転驚くほど腰を落ち着けて、倒しきるような距離とタイミングで打ち合った。うわ、と思うまもなく強烈な左ショートカウンター。立ち上がったところにえぐいボディステトレート。「なにこいつ!無理無理!」とロドリゲス選手が意思表示。陣営に続行を促され辛うじて立ったけどまたボディを打たれて終戦。

ただただ驚いた。ある程度予想はしていたけどただただ驚いた。

俺がガキの頃から胸を熱くして見てきたボクシング。特にこの35年程は熱く見つめてきた日本ボクシング(ユーリやナザロフ、イドンチュンたちをもちろん含む、アラビラモアやツニャカオたちだって含む…)のソウルフルな記憶はなんだったんだ…という気になりそうな光景を目にし終えて、とりあえずハードリカーを解禁して飲んで寝たのでした。

起き出した午後。

これ凄いな。現在のアメリカ、RING誌(世界のボクシングの最高権威とされる)HPのトップページ。
スコットランドでの井上尚弥選手の試合から6時間程後にアメリカでヘビー級タイトルマッチがあってアメリカの人気王者デオンテイ・ワイルダー(41勝40KO無敗1分)が豪快な1ラウンドKOでタイトルを防衛したというのに、トップ画像は井上尚弥!

多くのボクシングファンと同じように日本から世界的スターボクサーが出現する日を夢見てきた(当初アジアから、を夢見ていたけれどパキャオが過剰なレベルで実現してしまった為)。なのにいざ現実的になってくると引いてしまうくらいに驚いてしまう俺なのでした。フィリピンのボクシングファンもこんな気分だったのかな…。

荒川仁人選手ウクライナで敗れる。

2019-04-23 | ボクシング
プロボクサー荒川仁人選手。
かつてバイユーゲイトにも御来店いただき、バイユーお客様団体で試合の応援に行ったこともある彼が世界タイトル再挑戦を目指し、遠くウクライナの地で挑んだ試合は残念な結果に終わったようです。


〜日本、OPBF、WBOアジアパシフィックのライト級王座を獲得し、WBO世界7位にランクされる荒川仁人選手は20日(日本時間21日)、ウクライナのキエフでWBOインターナショナル同級王座戦に出場し、WBO11位にランクされる王者デニス・ベリンチク(ウクライナ)に0-3判定で敗れた。荒川はロンドン五輪L・ウェルター級銀メダリストのホープ、ベリンチクとフルラウンド12回渡り合ったが、手は上がらなかった。37歳のベテラン荒川は32勝18KO7敗2分。30歳のベリンチクは11勝7KO無敗。〜
とのこと。

相手の選手が強い、ということもあって苦戦が予想されていた荒川選手。下馬評を覆してくれることを期待していましたが…。
苦戦続きだった荒川選手が時期を経て近年、再浮上した姿を喜んではいました。
でも、この特別な競技。やっぱり彼の身体的ダメージが気になります。37歳で40戦以上のプロキャリア。
いつまで選手として戦い続けるか、本人と周囲のギリギリの判断が良い結果を生むよう願ってやみません。

田中vs田口戦。ワンサイドでした…。

2019-03-18 | ボクシング
楽しみにしていた田中恒成vs田口良一戦をリハーサル開始前のバイユーでテレビ観戦。
出だしから緊張感あふれる熱い試合でした。結果は田中恒成選手が判定で明白な勝利。

自分の応援していた田口選手が序盤から攻勢を仕掛けたのには驚いたけど(丁寧に試合に入るタイプだと思っていた)ああせざるを得ない展開になったのかもしれない。
出ないとやられる距離や圧力。
良いパンチを当てる瞬間はあったものの、田口選手がじわじわと距離や当て勘を修正して定めてゆく展開にはならず。
逆にラウンドが進むごとに田中選手が試合中の呼吸までも支配していっているように思えた。
スピードと位置取りで接近戦を制する姿は天賦の才を感じさせる素晴らしさ。
やがてポイント的にワンサイドに。

決定的なダメージは負わないまでもかなり打たれる田口選手を見て心配になったものですが、雄々しく立ち向かっているのでレフェリーも止められない。最後の最後まで、立っていられなくなるまで戦った田口良一。感動したという声も聞こえるけど、俺は大きな怪我なくて良かった、としみじみ思いました。
序盤の入り方によっては違う展開があったようにも思うし、どちらにしても田中選手の攻防一体の素晴らしいボクシングの前には通じなかったようにも思える。

田中恒成選手、熱心なボクシングファンに好かれるであろう言動。素敵なボクサーだと思う。
攻防一体型のグレイトファイトだったけど…。
彼が目指すであろうメジャー、トップレベルにはクリーンヒットでなくとも相手を倒せるようなパンチを持つボクサーがいるので、もう少し打たれない攻防一体型を目指して欲しいと思います。

田口選手、ソウルフルなボクサーです。やっぱり好きですね。