「大切な人、その涙を雪(そそ)ぐため、
たったひとりで大名行列に立ち向かう。
こんな男、見たことない」
NHK正月時代劇として放送された「御鑓拝借~酔いどれ小藤次留書~」、放送日の夜、我が家も久々に賑やかなため、孫たちも帰った翌日の昼下がり録画分をじっくりと観た。
原作は、佐伯泰秀氏の「酔いどれ小藤次留書」の一遍であるとか。氏の「居眠り磐音 江戸双紙シリーズ」、以前、NHK木曜時代劇で何度もシリーズ化し放送されていた・・・その後、金曜時代劇になっていたが。
この時の主人公は、イケメン俳優の山本耕史さんが務めており、人気時代劇シリーズとなったらしく、長らく新たなシリーズが放送されていた。時代劇を観ない家内もこのシリーズは、当方に付き合ってか、率先してみていた・・・視聴率の高いこともうなずける。
その佐伯泰秀氏の渾身の作が「御鑓拝借」、その後このシリーズも10数巻に及ぶらしい。この小説に登場する主人公は、「元豊後森藩江戸下屋敷の厩番(うまやばん)。五尺一寸(約153センチ)の矮躯に大顔、大目玉、大耳、団子鼻、禿げ上がった額が特徴の初老の侍。無類の大酒飲み。父・伊蔵に鍛えられた一子相伝の秘剣・来島水軍流の達人。来島水軍流は船上の戦いを想定した極度に実践的な流派で、基本技は正剣十手・脇剣七手」と、ある。
これこそは、今回のNHK正月時代劇として映像化された主人公・赤目小藤次役、竹中直人さんがピッタリの風貌、佇まいではないであろうか。制作者側も主人公に竹中直人さんをオファーしたことで、成功間違いなしとの太鼓判を原作者から受けたとのこと。
映像化されたこの作品を眺めて、その真意のほどが十分すぎるくらい分かってきたから・・・実に愉快である。
物語の方は、主君が江戸城詰之間で同席の他藩主らから屈辱を受けたことを知った小藤次(竹中直人)、自ら浪々の身となって主君の汚名を雪がんと決意。そして、汚名をきせた藩の大名行列に飛び込み「御鑓拝借」と、大名家の体面「御鑓(おやり)」を強奪していく・・・「君(きみ)辱(はずかし)めらるれば臣(しん)死す」が武士の本分の時代。
厩番の下級武士の小藤次が、なぜ藩主の汚名を雪ぐことを執拗に思い、実行していくのか。常識的に厩番が、藩主に目通りできるわけがないその主人公と藩主の関わり・・・。
また、この主人公・小藤次は、秘剣・来島水軍流の達人との設定。竹中直人さんと剣の達人がどうしても結びつかない、殺陣がどうかなと思っていたら、ピタッと決まっているから、さすが素晴らしい役者さん。
見るからに風采の上がらないような容姿、しかし武士として流れている血は誰にも負けない忠義者の熱き心、まさに武士の鑑とも言うべき人物である・・・そのことが、物語の進行するうちに徐々に分かってくる。
ラストの殺陣ですべてが終わり、いよいよ結末を迎える・・・その終盤のシーン。ここがもっとも良かった。敵方の古田寿三郎(藤木直人)も、忠義に生きる小藤次を斬ることができない。
思わず、涙が流れてきた。止めどなく流れた・・・厩番の身でありながらも、武士の忠義に生きる小藤次に。
あれだけの大それたことをした小藤次は、すべてが終わったあと、切腹して果てようとしていた。ところが、旧主が小藤次の忠義を大事に思いしたためられていた文(ふみ)を見た小藤次・・・。
その文を手渡した家臣が「そなたの忠義を満足に思って、そなたのような家臣をもって幸せ者よと仰せであった」と告げる。
文の末尾には、「死すこと、努々(ゆめゆめ)まかりならぬ」と、あった。
「赤目小藤次、主君のためにここまでしたそなただ。最後に主君の命に背(そむ)いたりはせぬな・・」と、敵方であった藩の村瀬次太夫(高橋英樹)に諭される。
クライマックスは、終盤にあったと思いつつ、久々に男泣きさせられた正月時代劇。その時代劇制作が少なくなった昨今、NHKが懸命に力を入れて作っており・・・大きな拍手を送りたい。
当方のこれまでの人生、忠義を尽くすべき人物に出会わなかったことが残念。(夫)
参考資料:NHK公式HP、幻冬舎時代小説文庫「酔いどれ小藤次留書」公式HP
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たったひとりで大名行列に立ち向かう。
こんな男、見たことない」
NHK正月時代劇として放送された「御鑓拝借~酔いどれ小藤次留書~」、放送日の夜、我が家も久々に賑やかなため、孫たちも帰った翌日の昼下がり録画分をじっくりと観た。
原作は、佐伯泰秀氏の「酔いどれ小藤次留書」の一遍であるとか。氏の「居眠り磐音 江戸双紙シリーズ」、以前、NHK木曜時代劇で何度もシリーズ化し放送されていた・・・その後、金曜時代劇になっていたが。
この時の主人公は、イケメン俳優の山本耕史さんが務めており、人気時代劇シリーズとなったらしく、長らく新たなシリーズが放送されていた。時代劇を観ない家内もこのシリーズは、当方に付き合ってか、率先してみていた・・・視聴率の高いこともうなずける。
その佐伯泰秀氏の渾身の作が「御鑓拝借」、その後このシリーズも10数巻に及ぶらしい。この小説に登場する主人公は、「元豊後森藩江戸下屋敷の厩番(うまやばん)。五尺一寸(約153センチ)の矮躯に大顔、大目玉、大耳、団子鼻、禿げ上がった額が特徴の初老の侍。無類の大酒飲み。父・伊蔵に鍛えられた一子相伝の秘剣・来島水軍流の達人。来島水軍流は船上の戦いを想定した極度に実践的な流派で、基本技は正剣十手・脇剣七手」と、ある。
これこそは、今回のNHK正月時代劇として映像化された主人公・赤目小藤次役、竹中直人さんがピッタリの風貌、佇まいではないであろうか。制作者側も主人公に竹中直人さんをオファーしたことで、成功間違いなしとの太鼓判を原作者から受けたとのこと。
映像化されたこの作品を眺めて、その真意のほどが十分すぎるくらい分かってきたから・・・実に愉快である。
物語の方は、主君が江戸城詰之間で同席の他藩主らから屈辱を受けたことを知った小藤次(竹中直人)、自ら浪々の身となって主君の汚名を雪がんと決意。そして、汚名をきせた藩の大名行列に飛び込み「御鑓拝借」と、大名家の体面「御鑓(おやり)」を強奪していく・・・「君(きみ)辱(はずかし)めらるれば臣(しん)死す」が武士の本分の時代。
厩番の下級武士の小藤次が、なぜ藩主の汚名を雪ぐことを執拗に思い、実行していくのか。常識的に厩番が、藩主に目通りできるわけがないその主人公と藩主の関わり・・・。
また、この主人公・小藤次は、秘剣・来島水軍流の達人との設定。竹中直人さんと剣の達人がどうしても結びつかない、殺陣がどうかなと思っていたら、ピタッと決まっているから、さすが素晴らしい役者さん。
見るからに風采の上がらないような容姿、しかし武士として流れている血は誰にも負けない忠義者の熱き心、まさに武士の鑑とも言うべき人物である・・・そのことが、物語の進行するうちに徐々に分かってくる。
ラストの殺陣ですべてが終わり、いよいよ結末を迎える・・・その終盤のシーン。ここがもっとも良かった。敵方の古田寿三郎(藤木直人)も、忠義に生きる小藤次を斬ることができない。
思わず、涙が流れてきた。止めどなく流れた・・・厩番の身でありながらも、武士の忠義に生きる小藤次に。
あれだけの大それたことをした小藤次は、すべてが終わったあと、切腹して果てようとしていた。ところが、旧主が小藤次の忠義を大事に思いしたためられていた文(ふみ)を見た小藤次・・・。
その文を手渡した家臣が「そなたの忠義を満足に思って、そなたのような家臣をもって幸せ者よと仰せであった」と告げる。
文の末尾には、「死すこと、努々(ゆめゆめ)まかりならぬ」と、あった。
「赤目小藤次、主君のためにここまでしたそなただ。最後に主君の命に背(そむ)いたりはせぬな・・」と、敵方であった藩の村瀬次太夫(高橋英樹)に諭される。
クライマックスは、終盤にあったと思いつつ、久々に男泣きさせられた正月時代劇。その時代劇制作が少なくなった昨今、NHKが懸命に力を入れて作っており・・・大きな拍手を送りたい。
当方のこれまでの人生、忠義を尽くすべき人物に出会わなかったことが残念。(夫)
参考資料:NHK公式HP、幻冬舎時代小説文庫「酔いどれ小藤次留書」公式HP
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