愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

自分はどんな存在か

2016年10月25日 | 就職
岩田松雄氏が2社目に就任したイオンフォレストの社長になるきっかけとなった自分史。全3万字の一部。自身の過去を、良いことだけでなくつらかった出来事や、その当時考えていたことまで、詳細に記している。岩田氏は自分史の作成は自己分析にもなると、若手ビジネスマンにも作成を薦めている。

「3期連続で赤字だったアトラスを立て直し、親会社のタカラの常務になりました。でも、やはり社長をやりたくなった。その頃紹介されたのが、『ザ・ボディショップ』を運営するイオンの子会社のイオンフォレスト。そこでイオンの人事トップの専務さんに母校の大阪府立北野高校での講演原稿を送り、読んでもらいました。『私の履歴書』のような体裁で、仕事のエピソードを細かく書き連ねた。字数を数えたら3万字もありました」大学卒業後から40代半ばまでの20年の自分史。たとえば、自動車会社における「社長賞受賞」と経歴書では5文字で記される事実が、「バイクで配達していた酒屋の店員さんと接触事故を起こし、その謝罪と容態を伺うために毎日酒屋に通う。するとある日、当初はぶっきらぼうだったご主人に『一番高い車のカタログを持っておいで』と言われた」といったエピソードなど、苦労した実体験が書かれている。

この自分史を気に入ってもらい、イオン子会社3社から社長のオファーがきた。「そのとき書いたエピソードは、今では自分の著書の随所に出てきます。いいことだけでなく、つらい思い出も振り返ることで、ひとつひとつの経験が自分の財産になっていることを実感しています。実際に経験したストーリーは、読む人にとっても印象深い。私が採用する立場で人を見るときも、プロフィールや職務経歴書の裏に隠れているストーリーが気になります」

岩田氏は採用の面接で、役員でも新卒でも同様に必ず尋ねる質問がある。ひとつは、長所と短所を3つずつ。長所の裏返しとして表れやすい「短所」を自分自身で把握しているかがポイント。社交性を長所に挙げる人は「八方美人」、リーダーシップを長所にする人は「強引すぎる」という裏面を意識している人が望ましい。そして、もうひとつが「あなたが一番光り輝いていたときはいつですか」という問いだ。「仕事でなくても、趣味でも、新卒ならばアルバイトでも部活でもいい。自分がもっとも楽しかった経験、具体的なストーリーを聞けば、その人の価値観がわかるし、会社へ貢献してくれるかどうかも判断できる。『チームをまとめるのは大変だったけど、力を合わせて実績を挙げ、皆で喜びを分かち合った』などうれしそうに語ってくれれば、採用ですね(笑)」

(『PRESIDENT』2015年11月30日号 掲載記事抜粋)

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多くの学生は内定獲得をスペック勝負であるとが勘違いしています。そのためか,採用されるためには,優れた能力の証明が必要である。したがって,有名大学卒の学歴が必要である。なければ資格を取得しよう。あるいは,課外活動で人目を引くような実績をあげなくてはいけない。なければ「話しを盛る」といいだろうと考えがちです。

しかし,多くの職場で資格が職務遂行に直結することはないので,資格取得が内定獲得に強く結びつくことはありません。有名大学卒を優先する企業は存在していますが,企業全体から見ればそれほど多くはありません。課外活動での人目をひく実績は組織の一員を探す企業にとっては必ずしも重要ではありませんし,そもそも学生の語る実績は社会人にとっては実はたいしたことがありません。「盛った話し」はたいていつじつまが合わないので,面接時にばれてしまいます。

就職というのは組織の一員になることです。内定は,組織側が,この学生は自分たちの仲間として相応しいと判断したときに出されます。もちろん組織は仕事上の潜在能力を量ります。その際には,学歴や資格で量ることができる学力を見ることもします。ただ,もっと重要な事柄があります。それが人柄です。我々も人間関係を構築する際に,仲間として一緒にやっていけるのか判断しようと,相手の人柄を見るはずです。組織というのは様々な人間関係の折り重なりなのです。

組織というものは,限られた能力の普通の人が,協力し合って大きな仕事を成し遂げる仕掛けです。だから,協力のためにコミュニケーション能力が必要なのです。そして,協力を壊さない人柄の持ち主が求められるのです。

自分の人柄を組織の採用担当者に理解してもらうためには,まず学生自身が自分という存在を把握する必要があることはいうまでもありません。そのために,上記の記事のように,自分史を書いてみてはどうでしょうか。優れたことも,劣ったことも,楽しかったことも,つらかったことも,失敗したこともきちんと書き出してみるのです。自分では弱点だ,失敗だと思っていることは,他人から見ると長所であり,飛躍なのかもしれません。だから包み隠さず洗い出してみる必要があるのです。

3年生はもうすぐ就職活動に直面しなければなりません。ゼミ生には,自分史を踏まえて,就職活動に臨んでほしいと思います。
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