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愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

名古屋マーケティング・インカレが終わった

2013年12月01日 | 名古屋マーケティング・インカレ
今年度の名古屋マーケティング・インカレ本大会が11月30日に開かれ,今年度の催しは終了しました。いつもは,会の経過を報告するのですが,疲労のため,細かなことを書く気力がなえているので,ここでは,感想をつらつら書くことにします。

1.全体
 全体的に,努力の傾注という点では,参加学生は頑張っていた。その点で,酷い発表はなかった。下限が例年よりも上がった印象。ヒヤリングやアンケート調査に苦労を重ねてきたチームがほとんど。文献もそれなりに読んでいる。全体的に努力については高く評価。ただし,「教員が望むような良い発表」はなかった。結果として,全発表のレベルは拮抗していた。
 質疑応答が例年以上に活発。発表時間と同じ時間質疑応答を行うようにした点がよかったか。

 
2.発表傾向
 昨年から増えていた戦略提案型発表が今年もさらに増加。予選から決勝まで,戦略提案だらけ。戦略提案コンテストの様相を呈している。これでいいのか? 会の趣旨は,大学教育の場で研究発表を競い合うということなんだが,それが変容していないか? 個人的にはこれはつまらないという感想。
 結局,学生には分かりやすいため,手掛けやすく,高い評価を得やすいので,戦略提案に飛びついているということなのか。論理に難があり,提案戦略も思いつきに近いのに,決勝に残っているものがあった。予選発表グループ内の他の発表はこれより劣っていたのか?といぶかったが,おそらく,内容のレベルに差がないため,具体的で分かりやすいチームが結果的に浮き上がったのだろうと想像する。為廣先生が中間発表会で指摘していた「下手な麻雀」から逃れることはできなかったのかと嘆息。
 日経新聞社編集委員の田中陽氏が,「戦略提案するなら,その実現可能性について,当事者の企業に見解を求めるぐらいはして欲しい」と閉会式で講評していたが,思いつきの提案に対する苦言だと受け止めた。戦略提案は具体的であればいいというものではないのだ。
 名古屋学院大のチームmousseに特別賞が与えられた。この意義を参加学生は考えて欲しい。このチームはマーケティングの競争地位別戦略類型に関する理論を正面から取り上げ,ケーススタディを手掛かりに,その自分たちなりの修正を試みた。残念ながら,関連理論の理解が足りず,消化不良を起こしていたため,決勝に残ったものの高い評価を得ることはできなかったが,教員はこの試みに好感を持っている。そのため,特別賞授与となった。理論を正面から取り上げて欲しいというメッセージだ。

3.最優秀賞
 今回の最優秀賞は,愛知大学為廣ゼミのかみひこーきだ。トイレに広告がないのはなぜだと考え,そこを広告スペースとして活用する可能性を模索する研究発表を展開した。広告代理店や販売店にヒヤリングし,トイレ広告がなぜないのか,実施するならば広告出稿の可能性はあるか質問して,可能性を探った。その後,学生を被験者として,トイレ広告の実験を行い,食品と非食品分野で商品に対するイメージ形成を測った。その結果,トイレ広告は,先入観とは違い,商品のイメージ形成に役立つことを明らかにした。最後に,パーキングエリアにおけるトイレ広告を提案した。
 決勝に残ったチームの発表の中では,もっとも論理がシンプルで,一貫していた。トイレ広告の可能性を示すために,先行研究に基づいて,実証実験を行った点も良かった。何より,「大人」が考えない,オリジナリティーのあるテーマを掘り下げた点が良かった。最優秀にふさわしい発表だった。
 ただ,最後のパーキングエリアにおけるトイレ広告の提案は蛇足だ。学生たちは何か戦略提案をしないとマーケティング研究発表にならないと思い込んでいて,実際そうしないと評価が下がる傾向にある。しかし,根拠の薄弱な内容を盛り込むと,全体論理を崩してしまう。今回もそれがあったのが少々残念。決勝における学生からの質問で,パーキングエリアのトイレで,はたして利用者の広告注目(attention)が得られるかどうかが不明であるが,そうならば,その提案は妥当ではないと指摘された。そこにうまく答えられなかったのが,蛇足であったことを表している。
 そんな提案よりも,日経新聞社の田中氏がアドバイスした,公共広告の可能性を最後に探った方が良かった。公共広告だと,広告主はトイレによる商品イメージの悪化を考えない(おそれない)だろう。

4.うちの学生
 愛知学院大の学生は,残念ながら,参加大学の学生の中では,能力発揮という点で,もっとも低かったという印象。発表内容やプレゼンテーションの面では,他大生とは大きな差はなかったが(それでも低い方),質疑応答では大きな差が出ていた。私が傍聴していた予選発表グループでは,愛知学院大の学生は質問を一つも発することができなかった。決勝でも,愛知学院大の学生の質問は不活発。数少なく発したものは,知識の確認や補足説明を求めるといったたぐい。発表における論理のおかしさを突くようなものはなかった。
 うちのゼミに目を向けてみれば,発表内容やプレゼンテーションで,最低レベル。実際,評価は最低。指導教員のレベルを反映しているだろうから,偉そうにここで書くと,お前が言うなとゼミ生が反発するだろうが,あえて書く。
 何がダメだったかというと,主張を根拠つけるための,インタビューやアンケート調査を本大会の1週間前から前日にかけてやっと行ったこと。あわててやった調査では,十分に練った質問ができず,穴だらけの不十分なデータしか取れなかった。仕方なく,不十分なデータに合わせて,主張の方を変更して,発表内容を構築。説得力があり,論理的で,面白みのある発表になるはずはなかった。
 このような結末になった理由は,堂々巡りの同じ議論をだらだら続け,研究目的を狭く明瞭にする決断が遅くなったことだ。5月と同じ議論を11月にもしていた。半年間全然進歩しなかったのだ。本大会2週間前にようやく見切りをつけて,無理にテーマを絞ったが,2か月遅かった。
 専門的文献をたくさん読み,理論を検討し,それを取り上げろと指示していたが,ゼミ生の能力を超えていたかもしれないと反省する。戦略提案型の発表ならば,テーマを自分たちで理解しやすいものにできたのかもしれない。思いつきの戦略提案を私が嫌ったため,ゼミ生はそれを回避した。中間発表会では,戦略に言及しないので,マーケティング発表としてふさわしくないと指摘されていた。その指摘に反論するだけの論理を持たないため,思考が揺らいでいた。結局,自分たちが理解できるテーマがなかなか思いつかず,本大会前に無理やりに設定。この状況では,ゼミ生は私の指導を恨んでいるだろう。戦略提案型の発表を勧めるべきだったのか。それでも同じ結果だったかもしれない。

5.成長
 いつもゼミでは,私は勝ち負けにはこだわらないと述べている。それよりも,ゼミ生には堂々とした発表を心がけて欲しいと繰り返し諭している。独自の明瞭な主張と,それを支える根拠を自分たちなりに示した,論理的な発表に向けて努力せよと。そのために頭を使い,体を動かし,自信を深めよと。なぜそういうかといえば,大学教育の場で行われている行事なので,大事なのは学生の成長だからだ。たとえ勝ったとしても,学生に成長が見られなければ,教育的意義は見いだせないのだ。今回も,負け惜しみで,勝ち負けにこだわっていないと述べているわけではない。
 今回ゼミ生の成長(知的発達)はあったのか。4月から始め,半年間は全然成長が見られなかった。厄介なことから逃げているような印象さえ持った。知的発達は見込めないと感じていた。11月に入り,自分たちの問題点を自分の言葉で語ることができるようになってきたので,少し成長したように感じた。しかし,私が指摘した10ある問題点を,せいぜい1から2程度(ぼんやり)理解しているレベル。自分たちで論理的に発表内容を組み上げることは相変わらずできず。本大会2週間前になって,無理やりテーマを絞った。私の問題点指摘を半分以上理解し,何とか発表内容の論理性を自分たちで顧みることができるようになったのは,本大会2日前。ここでようやく知的発達を確認。
 本大会後,ゼミ生の成長を考え,インカレの研究発表の検討を継続してもらう予定。人は失敗から多くのことを学ぶ。今回の失敗をきちんと把握し,その挽回策を考えてもらう。そして,今度は文章化してもらう。文章で論理的に説明してもらうのだ。


4月から始まり11月末に終了した今年度の名古屋マーケティング・インカレは大成功でした。本大会は今まででもっとも多くの発表者と参観者を集めた大きな会になりました。その幹事を務めていただいた名古屋学院大学濱ゼミの皆さんには感謝いたします。来年度も同様の催しが実現できることを願っております。

参加した学生に皆さんは,この経験を今一度振り返って,今後の能力向上につなげてください。就職活動に資するところ大だと思います。そして,卒業後の活躍にも何らかの役立ちはあるはずです。

うちのゼミは来年度参加できるかどうか不明ですが,参加できるように,現2年生の能力の養成やモチベーションの向上を図っていきたいと思います。
 
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補足

2013年10月15日 | 名古屋マーケティング・インカレ
昨日,名古屋マーケティング・インカレ第2回中間発表会における,愛知大学為廣先生の講評をこのブログに書き留めました。それに関連して,私が感じたことを書きます。

為廣先生のいう「下手な麻雀」から脱却するためにキーになるのは,他ならぬ教員です。下手を上手にするためのコーチング・スタッフとして教員は存在しているのです。学生の下手さを指摘し,上手になるための方法や考え方を,学生ごとに教示するのが教員の役割です。

インカレ参加学生たちが,下手な段階にとどまっているとしたら,我々担当教員が十分役割を果たしてこなかったことになるので,反省しなければなりません。ただ,今まで,我々が何もしてこなかったかというと,そうではないことは参加学生にも理解してもらえるでしょう。

おそらく,すべての担当教員は,口うるさく(ガミガミと)「あそこがだめだ」「これは間違っている」「このように修正しろ」と指摘し続けてきたことでしょう。私も毎週「あかんな」とゼミ生にいい続けてきました。

しかしながら,そのような教示をしてきたとしても,今一つ参加学生側に変化がないと我々は感じています。参加学生側も同じく感じているのではないでしょうか。担当教員の指摘は,所属するゼミの学生からは「親の小言」と同じく受け取られているように感じます。いつも顔を合わせ,同じ話をする担当教員の指摘に希少性がなくなっているのでしょう。

以上の状況を脱するために,つぎのような単純なことを実践する必要があると思っています。参加学生がゼミ担当教員以外の教員に積極的にアドバイスを求めることを,我々が勧めるのです。ゼミの担当以外の教員は,いってみれば,親戚のおじさん・おばさん,友人の親,町内の大人といったものです。自分の親の小言とは違い,それらの人々のアドバイスは希少で,新鮮であるため,素直に受け取ることができるかもしれません。

参加学生が所属している大学には,商学・経営学・経済学に関連する教員が何十人といるはずです。その先生たちに話を聞きにいくことを勧めます。その中には,現在の研究発表内容に通じた方がいらっしゃるでしょう。また,それとは異なる専門分野の教員に話を聞く意義もあります。違った視点が与えられると思考が深まります。

当然,インカレに関わっている,ゼミ担当教員以外の教員(他大学も含む)にアドバイスを求めることも勧めます。インカレの実情や学生の能力を十分理解した上で話をしますので,具体的なアドバイスが得られるかもしれません。

最近,私は,参加学生がゼミ担当教員以外の教員にアドバイスを求める意義を目の当たりにしました。

今年度,うちのゼミで,土産物の衝動買いをテーマに研究発表の準備をしているチームがあります。私は,4月から,発表内容にある衝動買いの概念がおかしいので,きちんと調べなおすように何度も指摘してきました。このブログにも記述しました。しかし,一向に改まる気配がないまま,半年が過ぎました。10月に入り,そのチームは,私以外の教員にアドバイスを求めたときに,同じことを指摘されました。そこで,やっと自分たちの衝動買い概念が間違っていることを理解したのでした。彼女たちにとって,親の小言は重要とは思わず聞き流してきたが,親戚のおじさんのアドバイスは心に響いたようです。
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備忘録

2013年10月14日 | 名古屋マーケティング・インカレ
10月12日(土)に今年度第2回の名古屋マーケティング・インカレ中間発表会が名城大学にて開催されました。開催幹事役の名城大学大崎ゼミのみなさんには大変お世話になりました。

全ての研究発表が終わり,閉会式にて,参加していた教員による講評が行われました。その一つ,愛知大学の為廣先生の講評が秀逸でしたので,ここに記しておきます。ゼミ生や他の参加学生の心に留めておいて欲しい言葉です。

「私は,学生時代,麻雀ばかりしていた。定期試験の時,とにかく早く解答を書き,メンバーになりそうな他の学生をつついて,一緒に試験途中教室を出て,雀荘に向かったほどだ。麻雀は,大学卒業後,社会人になってからもよくやった。ただ,社会人になってからは,負けが込むようになった。学生時代には,結構いい勝負をしていたはずなのに,なぜだと考えてみると,つぎの事実を思い知った。学生時代は同じメンバーとばかり,麻雀をしていた。メンバーはみな下手だったので,下手同士でいい勝負になっていたのだ。しかし,社会人になると,自分よりずっとうまい人と卓を囲むことになったので,自分は負けるようになった。」

「自分がやったような下手な麻雀を,君たち学生がこの場でやってしまっているのではないか。名古屋マーケティング・インカレでは,学生の相互評価で,研究発表の優劣がつく決まりになっているが,能力の低い学生が集まって評価をしたならば,大したことのない研究発表が高く評価されてしまうだろう。それは,この場を離れれば通用しない。インカレのそういう状況を打破するために,理論的考察を含めた,専門的な文献をきちんと読んで欲しい。」

以上を私なりに補足します。なぜ文献を読む必要があるかといえば,理論的考察を中心とした専門的な文献(専門書,学術論文)の多くは,学部学生よりも能力の高い専門家が書いているからです。多くの文献では,学術上の意義,調査の工夫,専門家の思考の跡をたどることができるようになっています。それらを読んで,自分たちの研究発表との差を感じてくれれば,自分たちの能力の限界を知ることができます。そして,専門家をまねれば,学生はその思考の跡に導かれて,能力向上の糸口を得ることができます。

今まで,私も,ゼミでは,しょっちゅう先行研究を調べろ,教科書の内容を確認せよとゼミ生に指示してきたのですが,実はほとんどの場合,受け流されてきました。なぜ,学生たちは本気で文献を読むことをしないかといえば,あのような難しい論文や専門書は自分たちが読むものではないと考え,その情報を遮断してしまうからです。自分たちには縁のない,自分たちの土俵とは違う,あちらの世界のものと信じてしまっているのです。

大学の講義では,学生は専門書や論文で展開されている理論的考察をさんざん学んでいるはずなのに,それは自分たちの研究発表には関係のないものとしているのです。

もちろん,学生は,難解な専門用語がちりばめられている文献を簡単には読むことができないかもしれません。もし,分からなければ,教員に質問して教えを請えばいいだけの話です。高い学費を支払い,安くない税金を負担して,大学に通う学生には,教員を利用する権利があります。本大会まで,あと1か月半。インカレ参加の学生には,自分の所属大学の教員,そしてインカレ関わっている教員等を大いに利用しながら,文献を読みこなし,思考を深めて欲しいと思います。
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エントリー

2013年06月03日 | 名古屋マーケティング・インカレ
うちのゼミでは,3月に,今年度は名古屋マーケティングインカレ参加を見合わせる方向で話し合っていました。というのも,今年度の3年生は人数が少なく,チーム編成できないかもしれず,ひょっとするとゼミの存続も危ういと考えていたからです。しかし,4月の履修登録段階で,大学の規定人数を何とか充足し,ゼミ生たちはやる気を見せたので,例年通り参加することにしました。

参加するためには,エントリーシートに,研究計画を記入して,指導教員経由で実行委員会に提出しなければなりません。指導教員に提出する期限は5月24日でした。ゼミ生たちは2チームに分かれ,それぞれ,何とか記入して,24日に私までいったん提出しました。しかし,内容に不備があるため,私がシートを実行委員会に届けるまでに,もう一度考え直して,訂正版を早急に提出するように指示しました。

いつものことですが,ゼミ生たちはうまく書けません。やむをないと思います。なぜならば,研究計画を他人に説明できるほどの内容でまとめられれば,研究は半分進んだも同然だからです。研究過程の前半は,テーマを絞り込み,具体化する過程であるといえます。毎度つぎの過程を指導しています。

まずは,大まかに研究領域を設定します。そして,その領域の基本書を読み,基礎知識を形成します。つぎに,それに関する社会情勢を調べ,現状理解を進めます。その過程で,大まかなテーマが思いついたら,それに関する既存研究を探し,読んでみます。いくつもいくつも探し出し,それを読み,内容を整理します。その過程で,疑問がわいてくるはずです。その疑問にどのように答えることができるのか考えながら,テーマを絞り込んでいきます。うまくいかない場合は,社会情勢の調査や既存研究の読み込みなどを繰り返します。テーマが絞り込まれ,具体的に他人に説明することができるようになるまで,試行錯誤が続くのです。

エントリーシートで求められるのは,決意表明レベルの研究計画なので,それすら記入できないというのは,基礎知識の形成や現状の理解という初期段階の作業を不十分なままにしてしまっている可能性があります。

シート記入締め切りの後,1回目の中間発表がやってきます。ただ,この段階では,基礎知識の形成と現状の理解にとどまっても,後に十分挽回できます。むしろ,それらをおろそかかにして,思い付きのテーマを苦し紛れに発表するほうが後の挽回が難しくなります。

ゼミ生には,以上の事柄を認識したうえで,苦しんで欲しいと思います。



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フォトチャンネル・アップ

2012年12月04日 | 名古屋マーケティング・インカレ
第7回名古屋マーケティング・インカレ本大会のフォトチャンネルをアップしました。下段のフォトチャンネル一覧から入って,閲覧してください。
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第7回名古屋マーケティング・インカレ本大会

2012年12月02日 | 名古屋マーケティング・インカレ
12月1日午前9時から午後6時に,第7回名古屋マーケティング・インカレの本大会(日経ビジネス協賛)が名古屋学院大学において開催されました。今回は,愛知大学,愛知工業大学,愛知淑徳大学,名城大学,名古屋学院大学,愛知学院大学から28チーム約150名の学生が参加しました。また,特別審査員として,日経新聞社の田中陽氏,日経BPマーケティングの中尾貴志氏をお招きしました。

午前中に5つの発表グループに分かれて全チーム発表の予選が行われ,学生による相互評価(採点)によって各グループにおいて優秀賞を決定しました。午後は各グループから勝ち上がったチーム(優秀賞)による決勝の研究発表が行われました。

優秀賞は以下の通り。

名古屋学院大学 CASA
愛知大学 ネピネピ
愛知大学 ふわふわ
愛知大学 らいおん
愛知大学 クローバー

なお,決勝には残れなかったものの,発表内容が非常に良かったと教員が評価した名城大学のマチルダ・ハヤシに特別賞が授与されました。

最優秀賞に選ばれたのは名古屋学院大学CASAでした。このチームの目的は,若者の海外旅行離れが指摘されている昨今,その要因を探って,解決策を提示することにありました。若者の海外旅行離れの要因として,資金的要因,時間的要因,不安要因を挙げ,その中で,実質的に重要なのは内向き志向につながる不安要因であることを指摘しました。そして,不安解消こそが海外旅行離れを食い止める策の方向性であることを確認しました。その後,専門家によるコンサルテーションが展開される旅行代理店の店舗こそがその不安解消の切り札になるという論理の下,業界1位のJTBに着目し,その店舗の活用策を導出しました。若者が気軽に立ち寄ることができるカフェと旅行代理店との融合業態,大学などへの移動型店舗の可能性を提案して,発表を締めくくりました。

彼らは,アンケート・ヒヤリング調査や理論の検討をきちんと行い,上手なプレゼンテーションで,分かりやすい論理を説明しました。論理性,調査,プレゼンテーション,すべてにおいて減点の少ないバランスの良い発表をしたことが高評価につながったと思います。店舗が若者の不安解消の拠点になるという論理について,もう少し理論やデータで補強すればさらに良い発表になったでしょう。

予選から全体を総括すると,今回,参加者の多さという点で,量的には過去最高の大会になりましたが,参加チームの発表レベルは高かったとはいえませんでした。事象の要因を追求するにせよ,戦略を提案するにせよ,根拠の弱い主張を展開するチームが続出していました。そのためか,結果的にプレゼンテーションの上手なチームやそつのない「突っ込みどころの少ない」チームが高評価を得る傾向にありました。

特別審査委員の田中氏は,決勝での発表を聞いた後の講評で,提案した戦略の実現可能性や根拠の検討不足,大学生対象アンケートの安直さを指摘されました。

例年注目する,第2回の「長浜商店街の二極化」を超える発表があったかといえば,残念ながらありませんでした。最優秀賞の発表も含め,オリジナリティーが今一つという印象です。

運営にも課題を残しました。参加チームが多いため,本大会の発表時間がいつもの20分(プラス質疑応答10分)から15分(プラス質疑応答10分)に短縮せざるを得ませんでした。これに対して,多くの学生は不満を感じていたようでした。1年間の集大成なのだから,もっと多くの時間できちんと説明したいと訴える学生がいました。

予選での採点は,項目ごとの絶対評価によるものでしたが,他チームに厳しい評価をするチームがいたことに,不満と不信感を持つ学生がいました。順位付け評価の方が良いという意見を本大会後の懇親会で何人かの学生から聞きました。

参加者が多い上に,休憩の少ない進行のためか,決勝での会場の雰囲気が散漫になってしまった(学生の集中力が切れがちだった)のは残念でした。

参加者の多さは,懇親会の開催にも困難さをもたらしました。中間発表会を含め,開催校はその会場探しに難渋しました。懇親会は全体的なまとまりを欠いた雰囲気になってしまいました。

いくつか問題のある今年度の名古屋マーケティング・インカレでしたが,参加した学生はみな能力を向上させることができたので,基本的に成功だったでしょう。
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メッセージ

2012年11月21日 | 名古屋マーケティング・インカレ
2012年度名古屋マーケティング・インカレの本大会が12月1日に開催されます。参加学生たちに残された日はあと10日です。うちのゼミ生を含め,参加学生全員にメッセージを発します。

1.妥協するな
 みなさんは,8か月間(前準備も入れれば1年近く),多大な努力を名古屋マーケティング・インカレの研究発表のために傾けてきました。今は睡眠時間を大幅に削って奔走していることでしょう。指導教員のみならず,様々な教員やビジネスマン等にアドバイスを求めているでしょう。学生研究発表会は全国各地で多数開催されていますが,これほど長期間フルコミットメントで学生を拘束するものは多くありません。その努力を称賛いたします。もう内容がまとまりつつある段階に達しているでしょう。
 
 

 しかし,ここで手を抜かないでください。「これぐらいでいいでしょ」と高をくくらないでください。本大会直前で劇的に内容が改善するケースをいくつも見てきました。締め切り前になると,なぜだか不思議と頭脳がフル回転し始めます。火事場の馬鹿力に似ているのかもしれません。妥協せず,もう少しヒヤリング調査をしてみる,アンケート調査の可能性を探る,文献を追加検索してみる,論理の可笑しさをチェックする,など実行してください。

 行き詰っている場合にはなおのこと,最後まで徹底して調査と思考を繰り返してください。行き詰まりを打破するためには,徹底してた調査と思考を行うしかありません。机上で唸っていても打破できません。文献をもっともっと読んでみる,ヒヤリングを別の角度で行う,専門家にアドバイスを求める,などやらなければなりません。

2.勝ち負けより大事なことがある
 名古屋マーケティング・インカレ本大会では,学生相互評価(一部特別審査員評価を加味)によって,予選,本選とも,研究発表の勝ち負けが決まります。発表する限りは,高評価を得て,予選を突破して優秀賞を勝ち取りたい,本選に出て最優秀賞を勝ち取りたいと思うのが人情です。しかし,何のジャンルでも同じなのですが,勝ち負けは運が左右します。素晴らしい内容の研究発表でも,発表グループの組み合わせ,当日の精神・身体状態,予期せぬトラブル等が影響して高評価が得られないことはままあります。過去そんな参加チームをいくつも見てきました。

 名古屋マーケティング・インカレが,1年近くもフルコミットメントで学生を拘束し,担当教員全員が参加学生すべての指導を行うという手間のかかる体制をとっているのは,何も発表の優劣を決したいからではありません。相互評価と,その先にある表彰をインセンティブにして,みなさんの能力向上を図るためです。我々教員は,1年前と比べれば,参加学生は,調査,論理構築,プレゼンテーション,質問などで大幅に能力を向上させたという場面を見たいのです。そして,学生にはそれを実感して欲しいのです。

 みなさんには堂々とした発表をして欲しいと思います。堂々とした発表とは,明快な主張があり,きちんと根拠が提示され,一貫した論理が構築されている,聞き手に親切な発表のことです。これが実現できれば,周囲の学生や教員,特別審査員は「よくやったな」と声をかけてくれるでしょう。そして発表者は充実感を味わうことができます。何よりみなさんは大きく能力を向上させることができます。ひょっとしたら,高評価によって勝てるかもしれません。しかし,勝ち負けの決定は堂々とした発表実現プロセスのわずか一コマにしかすぎません。

3.最後に泣こう
 みなさんには,妥協せず,堂々とした発表を実現して,本大会終了後,泣いて欲しいと思います。うれし涙,悔し涙,充実の涙,怒りの涙,何でも構いません。泣けるほどの努力の傾注があれば,能力はきっと向上しています。そして,周囲はみなさんのそんな姿をまぶしく思っているはずです。


最後にうちのゼミ生に。現状ではとても「最後に泣ける状況」に至っていません。努力が足りません。行き詰っている割にはまだ徹底した調査や思考が見られません。まだ妥協しています。
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第2回中間発表会

2012年10月08日 | 名古屋マーケティング・インカレ
10月7日に名古屋マーケティング・インカレ第2回中間発表会が愛知淑徳大学において開催されました。私は第1回の中間発表会を見ることができず,今年度初めて参加しました。その感想を述べます。

今年度,28チーム,150名程度の学生が集まるという最多参加者の大会になっています。発表グループは5つ設けられ,1グループに5~6チームが配置されています。過去の大会では,1グループ4~5チームでした。そのためか,スケジュールが少し過密になっています。

発表内容の出来具合は,例年通りでした。例年,第2回の中間発表会は,混乱した発表が続出します。各チームは第1回の中間発表の際様々な指摘を得ます。それを受けて,改善すべく,夏休み中に色々な調査を行います。しかし,指摘を取捨選択できず,獲得した知識を整理できずに,消化不良を起こしてしまうのです。努力したがゆえに混乱しているということなのです。今回もそういうチームをいくつか見ました。

具体的な仮説を提示しているチームがありましたが,大半はあいまいな仮説提示に終わっていました。本大会で高い評価を受けることができるかどうかは,この仮説の具体化にかかっています。具体化するためには,「対象や範囲を狭くする」「別の言葉で表現してみる」「数的に変化を把握するために,指標を考え出す」などの思考を繰り返す必要があります。

賢いやり方としては,先行研究を探し,そこで提示されている仮説や結論に対し,自分たちなりに修正を加えようとすることがあります。先行研究で設定された条件を,自分たちなりに変更してみるのです。対象となる企業,業界,製品を変えてみる,時期や地域の設定を変えてみる,先行研究で取り上げていない対象に焦点を当ててみるなど。意外にも,先行研究を検討してから仮説を導き出すという作業を行っているチームは少数でした。迂遠なようで,実は近道なのがこのやり方です。各チームは本大会まであと2か月足らずと,差し迫った状況におかれていますが,そうだからこそこのやり方を取り入れて欲しいと思います。

うちのゼミのチームの発表については,やはり混乱が見られました。そして,あいまいな仮説提示や課題導出にとどまっています。上記の作業に取り組んで欲しいと思います。

うちのゼミのチームについて,気になっているのが,チームが機能していないことです。チームでやる場合のほうが,個人でやる場合よりも,複雑で難しい問題に取り組むことができるのです。より規模の大きい,範囲の広い調査に取り組むことができるのです。そうでなければ,チームを編成する意味はありません。しかし,うちのゼミの場合,チームは単に個人が集まっているだけで,組織として動いていません。本大会に向けて,改善を図るためには,チームのあり方を見直すところから始めなければならないようです。

発表会後,例年通り懇親会が開かれました。人数が多すぎて,複数の部屋・階に分かれて座らざるを得なくなっていました。そのためか,例年と比べて,大学間の交流が少し不活発になった印象でした。バカ騒ぎも少なかったようでした。ただ,積極的に他大学の教員に発表に対するコメントを求める姿があちこちで見られたのは例年通りでした。モチベーションは維持されているようです。
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第1回中間発表会を終えて

2012年06月24日 | 名古屋マーケティング・インカレ
6月23日に,名古屋マーケティング・インカレ2012年度第1回中間発表会が名城大学において開催されました。うちのゼミからは2チーム出場しました。1つは中日ドラゴンズの集客増を考察するチーム(プロ野球研究チーム),もう1つは商店街活性化を考察するチーム(商店街研究チーム)です。アメリカ滞在中の私は当然参加することはできませんでした。

発表用のレジュメをゼミ生からあらかじめ提出してもらい,その内容をチェックしていました。また,スカイプのビデオ通話機能を使って,ゼミの模様(ゼミ生による自主ゼミ)を配信してもらい,それに対してコメントすることも行いました。この2チームの研究発表を私なりに振り返ってみます。


プロ野球研究チームは,ファンでありながらも球場に足をあまり運ばない人々をいかに運ばせるかについて,マーケティング戦略案出を目指しています。ファンを来場頻度によってセグメント分けして,そのうちいわゆるライトユーザーの獲得もしくはヘビーユーザー化を図ろうというのです。購買頻度によるマーケット・セグメンテーションはマーケティング理論や実践においておなじみです。研究の方向性としてはオーソドックスだと思います。ただし,彼らはその理論的背景や実践例の理解が足りないようです。大学生の研究発表でありがちなのは,プロ野球のマーケティングを考察するというと,プロ野球の現象のみに拘泥してしまい,類推対象になりそうな他の事例や,現象の背後にある理論になかなか目を向けないことです。彼らはプロ野球現象を追うとともに,マーケット・セグメンテーションに関する理論と事例を幅広く学ぶ必要があります。

商店街研究チームは,生鮮食品分野など生活用品分野で買い物弱者化した高齢者への対応を軸に,衰退した商店街の活性化戦略の案出を目指しています。政治課題になっている商店街活性化を彼らなりに考察しようというのです。商店街は,ヒューマンタッチの接客と,居住地に近い立地を強みとして持っているので,それを活かして,高齢者にやさしい存在になることを目指すべきというのが,彼らの方向性です。近年行政が示してきた方向性に通じるでしょう。しかし,本当にそれで活性化するのでしょうか?なぜ,コンビニエンス・ストアやスーパーマーケットでなく,商店街が買い物弱者対応にふさわしいのでしょうか? 彼らの現段階の発表には根拠が見られません。ジャーナリズムの報道や行政の発表に追随しているという印象持っています。実は私は大学院生の頃からこの手の説をいくつも聞かされてきました。しかし,実際に活性化した商店街の例は少数です。一度,自分たちの発表内容,そして通説を疑って,欲しいと思います。

中間発表会後,ゼミ生の一部から感想が送られてきました。「他大学の学生のレベルが高い」というのがその感想の大筋です。発表会前に私の方から何度も指摘しておいたことなのですが,ゼミ生たちは身に染みてくれたようです。そして,それは私が望んでいたことです。他大学生よりも劣っているということを認識してもらうために,そしてその思いをきっかけに,発奮してもらうために,研究発表大会に参加してもらっているのです。

うちの学部には,淀んだぬるい雰囲気が漂っています。厳しい姿勢で学問に取り組む学生は変わり者扱いされかねません。この中にいて,この雰囲気しか知らなければ,高をくくって,知的能力向上を図ろうという意欲はわかないでしょう。ゼミ生には,他大学の学生のレベルにどのようにすれば近づけるのか,そして彼らを超えられるのか,今月中冷静に考え抜いて欲しいと思います。
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遅ればせながら

2011年12月07日 | 名古屋マーケティング・インカレ
2010年第5回名古屋マーケティング・インカレ本大会の写真,2009年第4回名古屋マーケティング・インカレ本大会の写真をフォトアルバムにして公開します。ずいぶんと遅れての公開になってしまい,申し訳ありませんが,卒業生や経験者たちが懐かしんでくれれば幸いです。さらに昔の写真も良いものが見つかれば公開します。
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