今年春のダイヤ改正から、関東までやってくることが無くなってしまった電機にEF200というマンモス機関車が存在する。現在は両数を減らし、細々と余生を送っているようだが、生まれながらのハイパワーを生かすことなく消えていくのだろうか。フルパワー(6000kw)走行すると変電所の電圧が低下してしまうというのだから恐れ入る。性能を殺して今まで生き延びてきた訳で、ある意味可哀そうな電気機関車と言えるだろう。
しかし、このEF200と同時期に開発され生まれた機関車で、EF500という交直流型の電機も存在していた。こちらは、数々の性能試験を繰り返した結果、量産は見送られた形式だった。EF200と同じくハイパワーロコ(6000kw)を誇り、交直流切り替え区間もスルー運転化し、今後の大量輸送に備えた機関車だったに違いない。その現実的ではないハイパワー性能ゆえ、量産化されず消えていった不運の機関車なのだ。当然これらの実績を踏まえた上で、機関車性能は後継のEH500、あるいはEF510にけ継がれているはず。EH500やEF510がここまで量産化され、平成の標準機関車に君臨しているのも、こういった不運な機関車の存在があったからこそ成り得たことなのだ。今一度思い出して心に刻んでおきたい。
掲載写真は、そのEF500型電気機関車の性能試験列車。1台しか製造されず、当然ながら901号機を名乗っている。けん引しているコンテナの寸法と比較しても、その大きさは歴然としており、第一印象はアメリカで走っているような大陸電機そのものだった。側面いっぱいに付けられた通風孔はド迫力で、吸い込まれそうな迫力!前面のデザインは、現在主力のEF210やEF510に通じていることが一目瞭然だろう。
1991-09-27 9080ㇾ EF500-901 JR東日本/東海道本線:平塚付近にて