目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

アヤメよ、もう一度。櫛形山・裸山

2013-07-20 | 山行~南アルプスとその周辺

000img_6775櫛形山 標高 2053.5m 裸山 2003m 山梨県

2013年7月14日(日) 曇りのち雨

メンバー 山の神と私

コースタイム 7:35池の茶屋駐車場7:55--8:55もみじ沢9:00--9:40アヤメ平手前の落葉松林9:47--10:20裸山(昼食)11:00--11:40櫛形山山頂11:45--12:20池の茶屋駐車場

先日新ルートをつくったというニュースをネットで見つけ、13年ぶりに櫛形山を訪れることにした。さっそく最近の山行記録をチェックしてみた。ショッキングだったのは、櫛形山の代名詞であるアヤメが危機に瀕していることだった。鹿が入り込んで、花を食べてしまっているようだが、どんな変わり様なのか、この目で確かめることにした。

下の写真は、2000年7月10日(月)に撮影したものだ。平日にも関わらず、団体が2組もいて大勢の登山者がアヤメを愛でながら、昼食をとっていた。私は勝手に大平原にアヤメの信じられないくらいの大群落があると決めつけていたので、だいぶ失望したのを覚えている。とはいえ斜面に広がるアヤメの花はきれいだった。

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6:35甲府南ICを下り、国道140号を快調に進む。櫛形山が近くなってくると、道標が出てくる。それに従って進んでいくと、対向車とのすれ違いが恐ろしい狭い林道になる。途中ガードレールなしで片側が切れ落ちている箇所もある。冷や冷やしながら、上っていくと、最近整備されたばかりのきれいな舗装道になった。

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左:池の茶屋登山口駐車場。写真奥が新ルート 右:新ルート入口

7:35池の茶屋林道の終点にある駐車場に到着した。この時間にもかかわらず、ほぼ満車。下山した頃には、駐車できそうなところはすべて車で埋め尽くされていた。

この駐車場奥に避難小屋があり(左上の写真では手前)、その建物に隣接して簡易トイレが設置されていた。7:55駐車場を出発する。新ルートは車椅子でも通れるように、平らに踏み固められている。

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左:北岳展望台。立ち木の後ろが鳳凰三山、中央に甲斐駒、左手雲の中に北岳 右:もみじ沢

山の神と他愛のない雑談を交わしているうちに、東屋のある北岳展望台に到着した。北岳展望台なのにあいにくと、北岳は雲の中に入っていた。

ここから山に分け入っていく。少し登って行くと、休憩所(上に向かう)への分岐が出てきた。そして急激な下りが始まった。どこまで下ってしまうのだろうと、不安が募ってくる。まさか先ほどの分岐を休憩所へ向けて上がれば、その先にルートがあるとも思えなかった。どんどん下っていくと、ほぼ平らになった。そして青々としたもみじの林。もみじ沢の道標が出てきて、やれやれだ。間違っていない。途中、立ち止まって地図を眺めていたせいで、だいぶ時間をロスしてしまった。

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左:アヤメの花を一輪しか見つけられなかったアヤメ平 右:裸山山頂

落葉松林に出て、休憩。そこからアヤメ平は目と鼻の先だった。アヤメ平は檻の中だった。扉を開けて中に入る。鹿の食害から守る名目で、一帯をフェンスで囲っているのだ。でもアヤメは見当たらない。一角がさらにネットで囲われていて、一輪だけアヤメの花を発見した。ひどい。ここまでひどいとは。

2000年に訪れたときには、デカデカと木製の看板が掲げられていて、「手折られし あやめの花のあわれさよ 君にも命のあるものを」とアヤメの花を手折ることを戒めていたのだが……。アヤメがなくなって、看板も必要がなくなってしまった。

アヤメ平を抜けて、斜面を登りはじめると、下ってきた登山者がアヤメは少ないねえとこぼす。やっぱり。

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裸山からの富士山

アヤメより今はメシだなと、山の神と足を速め、裸山の山頂を目指した。10:20山頂に着くなり富士山ビューのべストポイントに腰をおろした。おにぎりを食べながら、ちょっぴり頭を覗かせている富士山山頂の雲の動きに目を凝らしていた。あれっ、と山の神。ポツンと来たよと言う。ちょっとの間があって、私にもポツンと雨粒が。山梨の今日の天気予報は午前中は晴れで、午後から曇りのはずだったのだが、青空は登山口から覗くことなく、ずっと曇ったまま。挙句まだ午前中というのに雨になった。

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左:羽化したての外来種のアブラゼミ 右:激減したアヤメと、オダマキ

どうせすぐに止むんじゃないのと、ザックカバーだけで裸山から下ってくると、ロープの下にセミの抜け殻がついているのに気づいた。おお、こんなところにと思った刹那、後ろに羽を乾かしている成虫がいることに気づいた。逃げないことをいいことにパチリパチリとベストショットを狙う。山の神も、スマホでセミを撮り始める。セミが前足であっちへ行けのしぐさをしている。山の神がちゃんと見えているのか。

家に帰って、クマゼミかミンミンゼミかと調べてみたら、意外なことにアブラゼミだった。しかも台湾あたりから来た外来種だ。アヤメだけではなく、生態系が侵されているようだ。この一角にもネットで囲われた場所があり、そこにだけお花畑が広がっていた。オダマキの群落、そして絶滅しかけたアヤメがちらほらと。

雨は止むことなく、山林を濡らしていった。早く止まないかなとつぶやきながら、薄暗い原生林の中を山の神とともに抜けていく。11:40櫛形山山頂到着(冒頭の写真)。暗い山頂だ。水分補給だけしてすぐにその場をあとにする。防火帯の広々とした登山道を下り、12:20池の茶屋の駐車場にたどり着いた。

帰りの中央道は、時間からいって空いていると思ったのだが、そんなに甘くはなかった。小仏トンネルは難なく通過できたが、八王子ICを過ぎてから渋滞にはまり、停まったり走ったりを繰り返すことになった。こんなに早く帰途についたというのに。最近は平日以外は、まず渋滞に巻き込まれることを覚悟しなければならないようだ。


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