アポヤンドとアルアイレの違いについて自分の指を見ながらいろいろと考えてみた。
先ず定義と言うと大げさだが、
アポヤンドは弦を指先で下向きに押さえつけておいてそのまま指をずらすことで一気に弦の押さえつけられていたエネルギーを発散させ、指はその勢いで隣の弦にぶつかって止まる。
アルアイレは弦を指先に引っ掛けて横になでるように指を引き弦を振動させる。引いた指は隣の弦に当たらずに空中を通り過ぎる。
問題はこのときの弦の振動方向にあるのではないかと思う。
アポヤンドは、はじける直前には弦が下向きに押さえられており、はじけた瞬間は弦は上下に振動する成分を多く含む。
アルアイレは、はじける直前には横方向の内側に引かれており、はじけた瞬間は弦は横方向に振動する成分を多く含む。
このとき、上下とはギターの表板に対して垂直方向のことであり、横方向とは表板に平行な方向である。
このことによって何が変わるかと言うと、アポヤンドの方は弦の振動によって、表板が上下に震動し、表板も音を発し胴の中の空気も振動しサウンドホールを通じて発散する。
サウンドホールはオーディオスピーカーのバスレフ孔と同じ作用で低音を効率よく発生させる。
一方、アルアイレは弦が表板に対して平行な振動成分が多くアポヤンドのような表板の作用による音の増幅効果が少ない。
結局これだけのことではないかと思うが、さらにアポヤンドは弦がはじける直前に大きなエネルギーを蓄えていて、それが一気にはじけるので音の立ち上がりが鋭くピークが高い。
アルアイレはアポヤンドと比較すると直前のエネルギーの蓄えは少ないし、はじけ方もいっきにではなく指の横滑りにあわせて比較的緩やかにはじけるため音の立ち上がりは少し緩やかでピークも低い。
このあたりが、二つの奏法の音質の違いを生んでいると思う。
では、このことを踏まえて、アルアイレでアポヤンドのような濃い音を出すにはどうすればいいか考えてみた。
もちろんアルアイレが完全にアポヤンドと同じ音になったら、逆に音色の変化のないつまらない演奏になるのでそこまではならない方がいい。
ポイントは三つ、
①弦が表板に対して垂直に振動する成分を増やす。
②弦がはじける直前により多くのエネルギーを蓄えさせる。
③瞬間的にはじけさせる。
右手のタッチだけでこれらを実現するにはどうしたらいいのだろうか。
今日はここまでにしておこう。
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