アジアと小松

アジアの人々との友好関係を築くために、日本の戦争責任と小松基地の問題について発信します。
小松基地問題研究会

20210629 F35A戦闘機の小松基地配備に反対する

2021年06月29日 | 小松基地(総合)
F35A戦闘機の小松基地配備に反対する

あなただけよ
 ブログ「アジアと小松」で小松基地へのF35ステルス戦闘機の導入情報を提供してきたが、ついに6月2日、防衛省は小松基地への具体的な配備計画「2025年度をめどに4機配備」「将来的に20機体制とする」と発表し、3日石川県及び小松市に説明した。
 その後、6月8日には近畿防衛局の枡賀局長が小松市議会全員協議会でも配備計画を説明したが、「あまりでかい声では言えませんけど、他の基地はどうでもいい。この小松さえよければ」と発言したという。このように「あなただけよ」と、優先的に特別扱いしているかのような雰囲気を醸し出して、同意をとるやり方はテレビショッピングの常套手段である。おそらく、他の基地でも同様な言い方で、「同意」をとってきたのであろう。
 しかし、このような誘い文句に乗らず、6月9日には、第5・6次小松基地爆音訴訟原告団(小松・加賀・能美市などの住民2227人)は反対を申し入れ、6月25日には、小松飛行場周辺整備協議会(105町会)でも、2町(佐美町、日末町)が反対の意思を表明した(6/26『北陸中日新聞』)。
 また、同紙では、小松市議会特別委員会の報告として、三沢基地のF2戦闘機(20機)からF35A(21機)体制にかわり、その結果うるささ指数は2016年度=96・5から2020年度=97・8へとアップしたとの報告が掲載されている。

小松基地でのF35機訓練
 小松市HP(2019年12月13日)の「F35の試験飛行実施のお知らせ」には、「近畿中部防衛局から小松飛行場におけるF35の試験飛行の実施について連絡がありましたのでお知らせします。①実施日時:令和元(2019)年12月13日(金曜日)15時頃~16時頃、②実施場所:小松飛行場上空及び小松沖訓練空域、③実施内容:F-35航空機のILS(計器着陸装置)機能確認のための試験飛行、④実施機体(機番):F-35A 国内FACO 14号機」とある。
 すでに、小松基地でのF35戦闘機の訓練が始まっており、2025年4機導入を許さずたたかいぬこう。

F35ステルス戦闘機とは
 F35戦闘機についてはすでに報告してきたが、改めて攻撃能力、事故、騒音について押さえておきたい。

攻撃能力:
(核攻撃)胴体内兵器倉に左右で最大4発の空対空ミサイルを搭載でき、空対地ミサイル2,000ポンドJDAM2発と中距離空対空ミサイル2発を搭載可能である。また、一部機体に戦術核兵器搭載機能の追加が検討され、翼下パイロンは左右3ヵ所ずつあり各種ミサイル・爆弾が搭載可能である。
(地上攻撃)F-35A型には、 GAU-22/A 25mm機関砲(ガトリング砲)を機内に固定装備している。また、機動性、旋回維持能力はF16に匹敵し、ステルス性、ペイロード(有効積載量)、航続距離、内部燃料搭載量ではF16を上回っている。
 小直径爆弾と呼ばれる“SDB”(Small Diameter Bomb) はステルス性能を維持したまま搭載できるように、爆弾槽の開発がおこなわれている。SDBは精密誘導を志向した滑空式の誘導弾であり、GPSを利用した高空投下による運動エネルギーを利用した省重量設計で、貫通力が高い。
(F15戦闘機との比較)小松基地に配備されているF15と比較すると、速度はF15のマッハ2.5に対して、F35はマッハ1.6、航続距離はF15の46000kmに対して、F35は22000kmなので、F15よりも能力が低いように見えるが、実はF15の速度は増槽しない場合であり、航続距離は増槽した場合である。したがって、F15が増槽すれば、空気抵抗が増え、重量も大きくなるのでマッハ2.5で飛ぶことができず、F35と同程度であろう。
 このように、F35は敵から身を守る(専守防衛)ための戦闘機ではなく、対地・対空攻撃用のしかも戦術核兵器を搭載できる戦闘機で、F15と同様日本海を越えて朝鮮半島を攻撃できる戦闘機である。

日本国内での事故:
2017年6月20日、空自F35名古屋空港に緊急着陸。
2017年11月80日、米軍F35嘉手納基地に緊急着陸。
2018年4月12日、空自F35名古屋空港に緊急着陸。
2018年4月24日、米軍F35築城基地に緊急着陸
2018年7月23日、F35三沢基地に緊急着陸。
2018年8月8日、F35千歳基地に緊急着陸。
2018年9月13日、F35三沢基地に緊急着陸。
2018年10月31日、F35三沢基地に緊急着陸。
2019年1月10日、F35三沢基地に緊急着陸。
2019年5月7日、米軍F35バードストライク事故で岩国基地に緊急着陸。
2019年4月9日、空自F35A機が三沢基地(洋上135キロ)で墜落(原因は空間識失調)。
2021年3月24日、空自F35戦闘機2機が青森空港に緊急着陸
 2018年6月、米政府監査院の報告書には、「F35機に安全性や任務遂行に支障を来す966件の技術的問題が見つかった」という。

騒音:
 普天間基地を離陸するF35B機の騒音(124.5デシベル)について、「いままで経験したことのない音で、墜落したんじゃないかと思った。心臓の悪い人なら発作を起こす」(2019/5/18「沖縄タイムス」)、普天間飛行場から離陸したF35B機の騒音、緑ヶ丘保育園で111.9デシベル、普天間第2小学校で109.7デシベルを記録した(2020/8/21「琉球新報」)。下記グラフは2017年11月「琉球新報」より転載。



 『Esquire(エスクァイア)』編集部は、「F35は人々の居住地近隣への配備に適さないのではないか?」(2019年9月12日)
 『Stars and Stripe』の報告書によれば、アイダホ州ボイシ空港への配備検討―「近隣に暮らす272世帯約665名の住人が、1メートル弱の距離で作動する掃除機レベルの騒音に、恒常的に悩まされることになる」「自宅が居住不能になるレベルの騒音に苛まれる」「学校においては、会話が聞き取れないという状況も生まれる」。バーモント州バーリントン国際空港では962世帯の住民が騒音影響を受ける。サウスカロライナ州ビューフォート航空基地では抵抗運動が起きたが、鎮圧された。


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20210628 F35小松基地配備報道(『北陸中日新聞』)

2011年12月 F35A機42機導入決定。
       →ライセンス生産ではなく、機体の各部品を受け取って、最終組立・完成検査
2016年7月9日、 関賢太郎(航空軍事評論家)「F-35Aが弱いは大間違い?」
2017年10月 米軍沖縄嘉手納基地にF35A機12機配備→騒音被害
2017年12月 臨時F35A飛行体編成→2018年1月、三沢基地に配備(6月末7機)
2018年12月 F35A機を105機、F35B機を42機、合計147機体制にすると決定。
2019年3月末 302飛行隊(三沢基地)発足
       →2020年度中に、301飛行隊(三沢基地)配備計画→42機配備完了
2019年
4月10日 空自F35A消息絶つ 青森沖、墜落の可能性
4月11日 F35A部品発見、墜落断定 操縦士不明、世界初事故
4月13日 空自F35A不具合緊急着陸 墜落との関連調査へ
4月15日 軍事情報戦略研究所朝鮮半島分析チーム「F35A墜落原因は何か」(ネット)
4月17日 F35A緊急着陸7件 防衛省が説明内容訂正
4月21日 F35導入 日米「変更なし」
4月30日 墜落F35A捜索、米軍が異例の関与
6月5日 F35A飛行再開へ 墜落機の捜索打ち切り
7月1日 F35ステルス戦闘機の問題点とは?(沖縄タイムス+プラス)
8月2日 空自三沢基地のF35A飛行再開 墜落から4カ月ぶり
8月17日 F35B導入正式に決定 防衛省
8月21日 米軍F35、部品落下事故の緑ヶ丘保育園上空を通過(琉球新報)
8月22日 F35A小松上空で試験へ 来春までに十数回 4月に墜落事故 
9月4日 F35A空自の試験飛行、小松で今日開始(天候不良で延期)
9月7日 F35A小松で試験飛行 計器着陸装置の機能確認
9月12日 米空軍F35の騒音に近隣住民は耐えられるのか?(ネット)
12月13日 F35の試験飛行実施のお知らせ(小松市HP)
2020年
10月5日 F35配備、三沢以外にも 防衛省、2025年度調達予定4機
10月6日 小松基地に、F35配備か(ブログ「アジアと小松」)
10月17日 F35メモ(ブログ「アジアと小松」)
12月 日 F35配備を許すな(「アジアと小松」124号)
2021年
1月9日 F35戦闘機の採用に反対する(ブログ「アジアと小松」)
4月5日 F35B宮崎配備で調整 空自・新田原基地、2024年の運用めざす
5月1日 F35ステルス戦闘機の配備計画に抗議!(石川県平和運動センター記事)
6月3日 小松にF35A配備―2025年めど、4機 地元に計画伝達へ
6月4日 F35A配備方針を説明 防衛省、県と小松市などに
     騒音、安全性「議会と協議」 防衛省申し入れで市長 加賀市にも説明
6月8日 20機体制「4年かかる」F35小松配備 騒音問題「協定を順守」(北國新聞)
6月9日 F35配備で近畿中部防衛局長「他の基地どうでもいい、小松よければ」
     F35Aの配備で、防衛局長に要求 全協で議会側「市民にしっかり説明して」
6月10日 F35Aの配備で小松基地に抗議 爆音訴訟連絡会、文書渡す
     防衛局長「小松よければ…」発言 官房長官「不適切だ」
6月16日 F35Aの視察団派遣 小松市議会が青森・三沢市へ
6月17日 近畿中部防衛局、F35A配備概要、加賀市議会に説明
6月19日 F35A小松配備で、(小松市長)三沢の騒音データ要請(北國新聞)
6月23日 F35Aの動画を市議会資料に示す 騒音、防音工事ただす
6月26日 F35A、2町(佐美、日末)が導入反対 小松基地周辺協議会、意見まとめ
     小松市議会特別委員会、三沢基地周辺の騒音結果を報告

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