20190118島田清次郎の『閃光雑記』と『雑記帳』
昨日(1/17)、石川近代文学館(石川近文)で、島清の『雑記帳』を閲覧してきた。この『雑記帳』は島田清次郎の遺品のなかにあり、遺族から石川近文に寄贈された。これらの遺品に含まれている原稿の一部は小林輝冶さんによって活字化されたので読むことができるが、約100ページの『雑記帳』は活字にされず、崩し字が多く簡単には読むことができない。
特別 . . . 本文を読む
島田清次郎—ブルジョア人道主義への後退か?
昨年12月29日に、島田清次郎は社会主義か、国家社会主義かについてレポートした。
島清は1920年の『二つの道』では社会主義か、国家社会主義かで揺れ動いていたが、1921年の『地上』第3部では、多少様子が変わってきたことが窺われる。その前後の情景を引用しよう。
豊之助は
、
、
と、主張した。
これにたいして、大河平一郎(島清)は
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20190102島清関係図書リスト(石川県内・調査中)
石川県立図書館、金沢市立図書館の蔵書はいつでも閲覧できるが、石川近代文学館の所蔵品は事前に特別閲覧申請が必要である。
<石川県立図書館蔵書>
【島田清次郎作品】
01石川近代文学全集 4 島田清次郎ほか/小林/輝冶編集/石川近代文学館/1996.3/
02革命前後(島田 清次郎著)改造社/1922.8/
03現代長篇小説全集 24 島田清 . . . 本文を読む
島清の幽閉と抹殺
1919年『地上』第1部発行に、堺利彦は
と紹介した。
生田長江は
と紹介し、
徳富蘇峰も
と評した。
こうして、『地上』は爆発的に売れ、『地上』第1部発売から1922年までの4年間で、『地上』(全4巻)の売り上げは50万部に達した。大衆に迎え入れられた『地上』は、資本主義批判から革命の必要性を訴えており、政府にとっては頭の痛い問題となった。社会科学文献は一部の先 . . . 本文を読む
島清少年期の社会的背景
島田清次郎(戸籍は嶋田)は1899年に、石川県美川町南町で、海漕業の島田常吉とみつの間に生まれた。当時の日本は1894年日清戦争(賠償金と台湾略奪)後の、強兵富国政策を強硬に推しすすめ、資本主義を強引に成熟させる過程であり、それは天皇制暴力を背骨にした弾圧と専制の政治支配であった。島清が生まれる直前の1897年は凶作と恐慌が重なり、労働者農民の生活は困窮を極め、労働組合 . . . 本文を読む
島田清次郎の動揺 社会主義か、国家社会主義か
①日本社会主義同盟加盟
島清は1920年8月に、堺利彦、山川均、大杉栄ら社会主義者、赤松克麿(新人会)、和田巌(建設者同盟)、麻生久(大日本労働総同盟友愛会)、布留川桂(正進会)など労働組合代表、大庭柯公(著作家組合)、嶋中雄三(文化学会)、小川未明など幅広い団体と個人30人によって呼びかけられた日本社会主義同盟に加盟している。3000人もが加盟し . . . 本文を読む
島田清次郎の階級意識
島清の資本主義観
まず、島清の資本主義批判について確認しておこう。『地上』第1部(1919年2月脱稿、6月出版)では、
と。
『地上』第2部(1920年出版)では、
、と。
『閃光雑記』(1921年出版)では、
島清は(151)と、『資本論』を読んだことを明かしている。
その上で、『地上』第3部(1921年)では、
と、資本主義下の労働者階級の様子を述 . . . 本文を読む
20181202 島田清次郎再読
来年2019年は島田清次郎(1889~1930)が生まれて120年、『地上』が発表されて100年の年である。島清の著作、杉森久英(1912~1997)の『天才と狂人の間―島田清次郎の生涯』(1962年)を再読し、映画『地上』(1957年・東映)、ドラマ『涙たたえて微笑せよ明治の息子島田清次郎』(1995年・NHK)を観なおした。(杉森の著書標題に差別的表現があ . . . 本文を読む
私が戯曲『帝王者』をプロレタリア文学の奔りとして読むべきだと考えているが、世間ではそう捉えていないようだ。日本のプロレタリア文学は1910年代後半から現れてきた文学ジャンルであるが、小林多喜二の『蟹工船』、徳永直の『太陽のない街』は1929年であり、島清の『帝王者』はその7年前である。 . . . 本文を読む