デラシネ(deracine)

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構造。

2010-04-26 21:58:01 | weblog
ブログのレイアウトを一部変更しました。
左側のメニューを少し入れ替えたりして。

さて、是非書こうと思っていた、
愛知県で起きた引きこもり息子が親を殺して放火した、という事件について。
ネットでの買い物で借金が増え、ついに家族がネットを止めたことにキレての犯行だった、
ということですが、
さらに驚きだったのが、そのニートというか息子は、
親の金まで管理していたということ。
さらに家族はトラブルを避けるため、昼は出かけて夜だけ家に戻っていた、という。

ひどい息子だ、どういう親なんだ、というのが一般的な感想だと思うんですが、
これ、息子にとっては切り札というか、必殺技というか、
それを持ってるんですよ。
何かというと、

「俺がこうなったのはおまえのせいだ」

これなんです。
これを言われると、だいたいの親は黙ってしまう。
なぜなら親自身にも後ろめたい部分があるし、
確かにこうなったのは自分たちの育て方が悪かったから、なんです。
確証はありませんが、たぶん言ってるでしょう。

そして、なぜかこのタイプの人間は火をつけようとします。
まあそれはいいのですが、もはや自分がどうにもならないことがわかっているから、
もう破滅するしかないと思っているのでしょうね。

私はニートや引きこもりが持つ最大の問題点は、
何よりも、一度はまると抜け出せない、ということろにあると思います。
そしてそれをいつしか正当化してしまい、
「自分は間違っていない」「こうなったのは親や世の中が悪いんだ」
という理論に走ってしまう。

さらに、人とコミュニケーションを取る機会が著しく失われて、
結果として外に出るのが怖くなってしまう。
人とうまく話せない、働こうにも面接が怖い、
そうなって働きにも出れない。
ネットでばかり情報を集めるため、生きた世界の情報を知らないばかりか、
ネット上の悪い話、ネガティヴな話ばかりを信じてしまう。

それが悪いということよりも、
引きこもりから抜け出せない大きな原因になってしまう。
ネットのほうが人と話さなくていいですから。

今回の犯人が必ずしもここで書いた引きこもり・ニート像の人間ではないかもしれませんが、
親を殺して火をつけてしまう、という行為から考えても、
もう相当なところまで本人も追い込まれていたのがわかります。
ですから精神鑑定になってしまってますが。

もちろん親の育て方が悪かったのでしょう。
でもネットを切った親の選択、これは決して間違いではありません。
それを親も最終手段だと、自分のためを思ってだと、理解できなかった息子が悪い。
30の男が…なんて思う人もいるかもしれませんが、この犯人は精神的には子供です。
成長が止まってしまうこと、
これが人間にとって一番不幸なことだと思います。

引きこもりやニートは高年齢化が進んでいるようです。
でも年齢は問題じゃない。
要は、どこまで親が本気になれるか、そして本人を本気にさせてやれるか。
社会が、地域が、行政が、なんてよく言われますが、
そんなんアテになるわけがない。他人に本気になれる人はそういない。
最後は親です。
親がいるから、引きこもりもニートもできるんですよ。