※先にお断りしておきますが、かなり真面目な長い文章です。
今日は仕事関係のセミナーで、
国際教養大学学長の中嶋嶺雄さんの講演を聞くことができました。
国際教養大は秋田県にある大学で、
2004年開学の新しい学校(公立大学)ですが、
授業はオール英語、全寮制、外国留学有(っていうか必須)で話題で、
最近では就職率100%で注目されています。
国際基督教大学(国際キリスト教大学・ICU)ではありません。
ちなみに秋田にありながら「秋田」の文字がありませんが、
英語表記では、「Akita International University」とあります。
レベルの高い学校を目指す学生、
なぜ就職に強いのか知りたい他大学、
レベルの高い学生が多いので採用したい企業、
などが大学に毎日のように訪れているようです。
大学の場所は秋田空港近く。
私も一度大会で行ったことのある県立陸上競技場の近くですね。
中嶋氏は「森の中にある」と表現していました。
中嶋氏は非常にゆっくりとした話をされる方ですが、
話が一切小難しくなく、内容が一言一言しっかり伝わる講演でした。
(講演もかなり各地でやっているようですが)
話はグローバル人材の育成というもので、
日本の従来の英語教育や大学の在り方では、
世界で通用する人材は育成できないという主旨でした。
ただ、単なる批判のみならず実際に育成しているからこそ説得力があり、
また話し方が穏やかであるので、実は厳しいことを言ってるのに嫌味がありません。
グローバル、グローバリゼーションという言葉の発現から話をされ、
日本の大学がいかに教育では世界で遅れを取っているか、
これからの教育には何が必要か、ということをお話されました。
何より日本のこの20年の凋落は、
大学の設置基準緩和の20年と重なっていること、
そして教養教育が大学でおろそかになり、
入試時点で受けた学部学科で4年間過ごさなければいけないこと、
(つまりその学科が合わなくても変えられない)
などをポイントに挙げられていました。
また、大学のある秋田県は、教員採用試験で「英語」を課しているが、
他の都道府県ではそれがないことも挙げ、
秋田の学力テストが常にトップであることもお話されました。
(大学自体が秋田のためになっているのかは個人的に疑問ですが)
さらに留学生も多いけど、英語圏の学生、英語ができる学生が多いこと、
(これはアジアの学生を大量に入れて授業料で儲けようとする日本の多くの大学と違う)
また高校卒業後の9月入学も受け入れており、
卒業からの半年何をしてきたかのレポートを提出させてそれによって単位を与えることなど、
これまでの大学像とは大いに異なることをしているとのことでした。
これなら本当に学びたい学生が真剣に学業に打ち込めるなとの印象です。
話にはありませんでしたが東大が9月入学導入を目指すと報道されていたのを思い出しました。
また学生の卒業もかなり厳しく、50%程度しか4年で卒業できていないというのに一番驚きました。
既存の大学が単位をポンポンあげて卒業させてしまうのが本来の「学問」からすればアレですが。
日本では4年ストレートじゃないと企業側が採用時にマイナスにするところも多いし、
留年はそもそも「遊んで」「サークルで」「バイトで」ってのが多いですけど、
企業側の見る目も変わらないと。何でもかんでも新卒重視ってのは…
(ちなみに私の会社は元々卒業後3年は新卒扱いとして採用しているので、「既卒者を取らない」のが理解できない)
もちろん、その話の内容全てに賛成ではありません。
現実問題からはやや乖離している部分もあるでしょうし、
グローバルな人材を育てるのはいいが、日本企業のシステムに組み込まれていく中で、
それらがどのように成長していくかは、
大学教育だけではどうにもならない問題もあるでしょう。
企業経営の部分と「グローバル人材」の関連は切り離せないと思うのですが。
また、就職活動については、
「できれば卒業後に就職活動を始めるのが望ましい」
「学生はブランド(大企業)志向を持たないようにしてほしい」
とも言われてましたが、それは全く賛成なんだけど、
卒業後の就活では無職の期間が発生してしまうこと、
学生のブランド志向はむしろ親親戚がけしかけている面もあることなど、
理想と現実のギャップはどうしてもあります。
日本の良くも悪くもある「伝統や慣習」に立ち向かわなければいけない問題です。
ただ、ネット上でありがちな「右」か「左」かとか、
「日本には日本の良さがある」だとか「若者は内向きだ海外にもっと目を向けよ」とか、
そういう世間やマスコミの議論とは全く次元の違う世界であると感じました。
非常に良い講演であったと思います。
長くなりましたが、
こういう立派な大学が故郷・秋田にあるわけですから、
秋田の人たちは誇りにしてほしいし、
同時に今後は秋田の発展に寄与してほしいと思います。
そして既存の大学の教育やあり方を変える1つのきっかけになるであろう、
大変に面白い大学ですから、今後も注目していきたいと思います。
いや、イヤでも注目するようになるでしょうね。
今日は仕事関係のセミナーで、
国際教養大学学長の中嶋嶺雄さんの講演を聞くことができました。
国際教養大は秋田県にある大学で、
2004年開学の新しい学校(公立大学)ですが、
授業はオール英語、全寮制、外国留学有(っていうか必須)で話題で、
最近では就職率100%で注目されています。
国際基督教大学(国際キリスト教大学・ICU)ではありません。
ちなみに秋田にありながら「秋田」の文字がありませんが、
英語表記では、「Akita International University」とあります。
レベルの高い学校を目指す学生、
なぜ就職に強いのか知りたい他大学、
レベルの高い学生が多いので採用したい企業、
などが大学に毎日のように訪れているようです。
大学の場所は秋田空港近く。
私も一度大会で行ったことのある県立陸上競技場の近くですね。
中嶋氏は「森の中にある」と表現していました。
中嶋氏は非常にゆっくりとした話をされる方ですが、
話が一切小難しくなく、内容が一言一言しっかり伝わる講演でした。
(講演もかなり各地でやっているようですが)
話はグローバル人材の育成というもので、
日本の従来の英語教育や大学の在り方では、
世界で通用する人材は育成できないという主旨でした。
ただ、単なる批判のみならず実際に育成しているからこそ説得力があり、
また話し方が穏やかであるので、実は厳しいことを言ってるのに嫌味がありません。
グローバル、グローバリゼーションという言葉の発現から話をされ、
日本の大学がいかに教育では世界で遅れを取っているか、
これからの教育には何が必要か、ということをお話されました。
何より日本のこの20年の凋落は、
大学の設置基準緩和の20年と重なっていること、
そして教養教育が大学でおろそかになり、
入試時点で受けた学部学科で4年間過ごさなければいけないこと、
(つまりその学科が合わなくても変えられない)
などをポイントに挙げられていました。
また、大学のある秋田県は、教員採用試験で「英語」を課しているが、
他の都道府県ではそれがないことも挙げ、
秋田の学力テストが常にトップであることもお話されました。
(大学自体が秋田のためになっているのかは個人的に疑問ですが)
さらに留学生も多いけど、英語圏の学生、英語ができる学生が多いこと、
(これはアジアの学生を大量に入れて授業料で儲けようとする日本の多くの大学と違う)
また高校卒業後の9月入学も受け入れており、
卒業からの半年何をしてきたかのレポートを提出させてそれによって単位を与えることなど、
これまでの大学像とは大いに異なることをしているとのことでした。
これなら本当に学びたい学生が真剣に学業に打ち込めるなとの印象です。
話にはありませんでしたが東大が9月入学導入を目指すと報道されていたのを思い出しました。
また学生の卒業もかなり厳しく、50%程度しか4年で卒業できていないというのに一番驚きました。
既存の大学が単位をポンポンあげて卒業させてしまうのが本来の「学問」からすればアレですが。
日本では4年ストレートじゃないと企業側が採用時にマイナスにするところも多いし、
留年はそもそも「遊んで」「サークルで」「バイトで」ってのが多いですけど、
企業側の見る目も変わらないと。何でもかんでも新卒重視ってのは…
(ちなみに私の会社は元々卒業後3年は新卒扱いとして採用しているので、「既卒者を取らない」のが理解できない)
もちろん、その話の内容全てに賛成ではありません。
現実問題からはやや乖離している部分もあるでしょうし、
グローバルな人材を育てるのはいいが、日本企業のシステムに組み込まれていく中で、
それらがどのように成長していくかは、
大学教育だけではどうにもならない問題もあるでしょう。
企業経営の部分と「グローバル人材」の関連は切り離せないと思うのですが。
また、就職活動については、
「できれば卒業後に就職活動を始めるのが望ましい」
「学生はブランド(大企業)志向を持たないようにしてほしい」
とも言われてましたが、それは全く賛成なんだけど、
卒業後の就活では無職の期間が発生してしまうこと、
学生のブランド志向はむしろ親親戚がけしかけている面もあることなど、
理想と現実のギャップはどうしてもあります。
日本の良くも悪くもある「伝統や慣習」に立ち向かわなければいけない問題です。
ただ、ネット上でありがちな「右」か「左」かとか、
「日本には日本の良さがある」だとか「若者は内向きだ海外にもっと目を向けよ」とか、
そういう世間やマスコミの議論とは全く次元の違う世界であると感じました。
非常に良い講演であったと思います。
長くなりましたが、
こういう立派な大学が故郷・秋田にあるわけですから、
秋田の人たちは誇りにしてほしいし、
同時に今後は秋田の発展に寄与してほしいと思います。
そして既存の大学の教育やあり方を変える1つのきっかけになるであろう、
大変に面白い大学ですから、今後も注目していきたいと思います。
いや、イヤでも注目するようになるでしょうね。