OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ナイトクラブのピアニスト

2007-02-18 17:01:49 | Weblog

さて昨日は緊急出張のために、おやじバンドの初練習に出られず、いきなり迷惑をかけてしまいました。尤も、私なぞが居なくても、バンドは成り立つように出来ているんですが、ちょっとさみしいな……。

また韓国で夜に行った某クラブには、なかなか粋なピアノトリオが出ていましたですね♪ きっと、こんなアルバムを聴いていたに違いないと思っています――

Red Garland At The Prelude (Prestige)

1950年代中期のマイルス・デイビス(tp) を支えたピアニストとして、あまりにも有名なレッド・ガーランドは、単独でも夥しいリーダー盤を出していますが、必ず言われる悪口がカクテルピアニスト!

つまりマイルス・デイビスのバンド以外での演奏は緊張感が無いとか、リラックスしすぎるという点を揶揄しているんでしょうが、それで何故悪い!?

と反抗したくなるのが、若い頃からの私でした。

そりゃ~、ビル・エバンスのようなクールな緊張感に満ちた歌心とは違いますし、ウイントン・ケリーのような颯爽としたドライヴ感もありませんが、ブルースフィーリングと和みの歌心、そして絶妙の間を活かしたスイング感は「ガーランド節」として忘れられないものになっているはずです。

そしてリラックスしすぎ、という点が気になるならば、いっそ、そういう世界にどっぷりの作品を聴くほうが、精神衛生に良いと思うのですが、そこで、このアルバムです♪

録音は1959年10月2日、ニューヨークのプレリュード・クラブにおけるライブセッションで、メンバーはレッド・ガーランド(p)、ジミー・ロウサー(b)、スペックス・ライト(ds) となっています――

A-1 Satin Doll
 デューク・エリントン楽団でお馴染みのヒット曲というよりも、ジャズでは永遠のスタンダード曲ということで、こういうクラブでは必須の演目だと思います。
 もちろんレッド・ガーランドは快適なテンポでツボを押えた演奏に徹しており、決して難しいことはやりません。トリオとしてのキメの部分も、完全にお約束の世界にどっぷりで、心地良さは満点です。
 特にドラムスとベースは、例えば同レーベルに数多く残されたアート・テイラー&ポール・チェンバースのコンビによる演奏とは異なり、鋭いドライブ感よりは和みの伴奏を心がけているようです。
 しかし盛り上げるところは、きちんと演じますから、立派なモダンジャズになっているのでした。
 ちなみに録音エンジニアは、ご存知、ルディ・ヴァン・ゲルダーですが、この人はライブレコーディングも上手いですねぇ~♪ お客さんのざわめき、食器の触合う音なんかが、絶妙のバランスで録られていて、雰囲気満点だと思います。

A-2 Perdido
 これまたデューク・エリントン楽団のヒット曲なんですが、こういう営業では欠かせない演目だったんでしょうねぇ。ここでも快適すぎる演奏に嬉しくなってしまいます。
 玉を転がすようなレッド・ガーランドのピアノタッチはもちろんのこと、余計な手出しをしないスペックス・ライトのブラシとハイハットのコンビネーションが、秀逸♪ ブロックコードを交えたレッド・ガーランドの盛り上げに、きちんと対応するあたりも最高です! 個人的にはドラムスばっかり聴いてしまう演奏なのが本音です。

A-3 There Will Never Be Another You
 これも選曲が良いですねぇ、こういうクラブで、こんな演目が出たら、それだけで満足してしまいますが、演奏がこれまた快適にスイングしまくっています♪
 レッド・ガーランドとしては、まあ、当たり前の出来だと思いますが、ここでもドラムスのスペックス・ライトが素晴らしく、トリオ全体からビシッと纏まったグルーヴが生み出されていると感じます。
 また音に、ややシマリが無いのが残念ですが、ベースのジミー・ロウサーのアドリブソロは流石だと思います。

A-4 Bye Bye Blackbird
 マイルス・デイビスのバンドでも名演を残しているレッド・ガーランドにすれば、十八番なんでしょう、ここでも素晴らしく和んだ演奏を聞かせてくれます。まず、テーマメロディの素直な解釈から薬籠中のアドリブに入っていくあたりが、たまりません♪ まあ、冷静に聴けば、それなりの出来かもしれませんが、こういうマンネリ的な快感は、なかなか生み出せるものではありませんから!
 もちろんスペックス・ライトも最高です♪

B-1 Let Me See
 A面がエリントンでいったからでしょうか、B面では冒頭からカウント・ベイシー楽団でお馴染みの曲が演奏されています。あぁ、この快適なノリはジャズを聴く喜びに満ちていますねぇ♪ 適度な荒っぽさが良いんです♪
 特にクライマックスでのピアノ対ドラムスが、スリル満点です。

B-2 Prelude Blues
 タイトルどおり、出演した店に捧げられたブルースが粘っこく演奏されます。
 ジミー・ロウサーのベースからも本領発揮のグループが感じられ、レッド・ガーランドは安心してソウルフルな心情吐露に撤していきますから、本当にグッときます。
 う~ん、それにしても強力なビートが出ていますねぇ~♪ トリオが一丸となってグイグイと盛り上がっていくあたりは、何度聴いていも凄いと思いますが、お客さんは雑談や飲食に一生懸命という店内の状況が完全に録音されており、これまた別の意味で素晴らしいジャズフィーリングだと思います。
 何から何まで、当に名演!

B-3 Just Squeeze Me
 そして、またまた快適なこの曲は、デューク・エリントンでお馴染みのスタンダードなんですから、全く上手く編集してあるアルバムだと思います。
 しかし演奏は絶妙なブルースフィーリングがゴスペル感覚に変質していくという隠し味が効いており、熱くなります! やっぱりレッド・ガーランドのブロックコード弾きは魅力ありますねぇ~♪ 和みと力強さのバランスが素晴らしいかぎりです。
 もちろんトリオとしての一体感も見事だと思います。

B-4 One O'clock Jump
 アルバムの締めは、実際のステージでのクロージングで演奏されていた、カウント・ベイシー楽団でお馴染みの曲ですから、違和感がありません。
 「間」を活かしたレッド・ガーランドのピアノは、明らかにカウント・ベイシーを意識した「芸」の世界だと思いますが、そこで活躍するのがスペックス・ライトのシンバルですから、最高に盛り上がっていきます。この曲は、お約束として最後の最後にテーマが出る仕掛けですから、こういう上手さは、本当にたまりませんねぇ~♪

ということで、演奏はもちろん楽しさに満ちていますが、アルバム全体の演目と編集が、それ以上に絶妙だと思います。実はこの日の演奏からは、都合4枚のアルバムが作られているのですが、纏まりは、これが一番でしょう。まあ、スローな演奏が1曲ぐらいは欲しいところではありますが……。

また近年は、コンプリートに集大成したCDボックスも発売されているようですが、まずはこのアルバムから聴くのが王道ではなかろうか、と思います。

ちなみにサイドメンのスペック・ライトとジミー・ロウサーはフィラデルフィア周辺で活動していたローカルミュージシャンらしいですが、なかなかの実力者であり、この当時は本場ニューヨークでも仕事が出来ていたのでしょう。こういうシブイ名手が聞けるのも、ライブ音源の魅力だと思います。

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緊急出張中

2007-02-17 18:51:52 | Weblog

ということで、韓国で仕事です。

いきなりなんですよぉ、困ったもんです。

で、本日の1枚は、お休みさせていただきます。

予定では、明日の夕方に戻りますので、よろしくお願い致します。

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バンドの喜び

2007-02-16 17:27:11 | Weblog

かねてより話があった「おやじバンド」が、いよいよ明日から始動します。

今の赴任地には、練習スタジオなんて施設は無いけれど、メンバーの家の土蔵を使うことになり、今夜、設営準備に入りますが、なかなか血が騒ぐのでした♪

ということで、本日はイケイケウキウキの1枚です――

Got A Good Thing Goin' / Big John Patton (Blue Note)

ジャケットにはイケてるお姉ちゃん♪ まさにそのまんま、イケイケな演奏がビッシリ詰まったゴキゲン盤です。

一応、リーダーはジョン・パットンになっていますが、セッション参加の全員で盛り上がっているところが、最高なのです。

録音は1966年4月29日、メンバーはジョン・パットン(org)、グラント・グリーン(g)、ヒュー・ウォーカー(ds)、リチャード・ランドラム(per) という、管楽器抜きの編成です――

A-1 The Yodel
 こういうビートを何と言うのでしょう? イケイケビートとしか私には言えません! ドンスカドンスカ、ウネリながら突進するドラムスとチャカポカ敲きまくりのパーカッションが痛快の極みです。
 そしてグラント・グリーンのギターが執拗に同じリフを繰り返す、所謂十八番の針飛びフレーズを連発し、ジョン・パットンはひたすらに毒々しい音色で、オルガンの脂っこい魅力を発散させていくのです。バッキングで濁りのあるコード弾きを聞かせるグラント・グリーンが、また素晴らしい♪
 しかし、やっぱり主役はドラムスとパーカッションでしょうねぇ。凄すぎる快演!

A-2 Soul Woman
 けっこう重い演奏なんですが、パーカッションの存在ゆえに躍動感があって、これも素敵な仕上がりになっています。もちろん呼応してラテンビート風のグルーヴに撤するドラムスのヒュー・ウォーカーの実力も、大したものだと思います。
 そしてグラント・グリーンはタメの効いたフレーズを多用するアドリブとテンションのかかったノリを聞かせてくれますし、ジョン・パットンは正統派ジャズオルガンの佇まいながら、グラント・グリーンのダーティなバッキングに煽られて、ついには本性を現すソウルオルガンになっていくあたりが、最高です。

B-1 Ain't That Peculiar
 マーヴィン・ゲイの大ヒット曲を堂々とやってしまうところに、このバンドの潔さがあります。しかもオリジナルの軽快なところをドロドロに煮詰めた濃厚な演奏にしているのですから、たまりません。なんとリチャード・ランドラムはモータウンナンバーということで、特徴的なタンバリンをやっているんですねぇ~♪ 本当に芸が細かいとは、オヤジギャグではありません。
 気になるアドリブパートでは、ジョン・パットンがモードっぽいリフをつけているので、グラント・グリーンも正統派のフレーズで硬派に迫っており、聴きごたえがあります。
 もちろんジョン・パットンのアドリブのバックでは、グラント・グリーンが同じ役割を務めますから、そのオルガンからは一瞬ですが、ラリー・ヤング(org) のようなシーツ・オブ・サウンドまで飛び出します。
 またドラムスのヒュー・ウォーカーが、なかなか強靭なバネと煽りで実力者の証明を果たしています。

B-2 The Shake
 これも偉大なソウルシンガー=サム・クックのヒット曲のインストバージョンですが、なかなかイナタイ雰囲気があって素晴らしいと思います。リチャード・ランドラムのタンバリンが、ここでも良い味ですねっ!
 実はアルバムの中で、一番ライト感覚の演奏になっていますが、これこそ彼等の素晴らしいソウルフィーリングが表出した仕上がりかもしれません。この、自然体のグルーヴは、ちょっと真似出来無い境地ではないでしょうか。

B-3 Amanda
 オーラスは、やってくれますねぇ~♪ デューク・ピアソン(p) が書いたジャズロックの隠れ名曲ですからねぇ~♪ 思わずニヤリの選曲であり、快演になっています。
 なにしろモードの隠し味を隠そうとしない居直りが快適なビートで増幅されていますから、たまりません。ジョン・パットンの早弾きオルガンにグラント・グリーンの単音地獄弾きが見事に合体し、ドラムス&パーカッションのノリと響きが快適の極み♪ 本当に何時までも止めて欲しく無い演奏になっています。

ということで、ハナからケツまでイキまくりという、些か下品なキメしか出ないアルバムです。1970年代のジャズ喫茶では、こういう演奏は敬遠気味だったんですが、それが1990年代のレア・グルーヴ再発見で突如、名盤扱いになったように思います。

そういう私も、これを入手したのは、1982年頃でした。もちろん目当てはグラント・グリーンでしたが、ドラムスのヒュー・ウォーカーの素晴らしさに目覚めたのも、このアルバムを聴いてからで、いろいろと参加作品を物色したものです。

あと、このアルバムの良さは管楽器が入っていないところだと思います。それゆえにリズム隊だけのイケイケグルーヴが、しっかりと録られており、妙な音圧が残るドラムスの響きとか、ギターの歪みぐあいが私の好みにジャストミートしているのでした。

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演目買い

2007-02-15 18:20:34 | Weblog

最近、ちょっと疲れが溜まり気味……。

というか、布団に入ると、アッという間に奈落の底に引きこまれる感じで、寝るというよりは、意識を失うと感じでしょうか……。

で、朝は、ハッと気がついて目が覚めるという、まあ、完全熟睡と言えば、それまでなんですけど……。

ということで、本日は――

The Gilbert Castellanos Hammond B-3 Quartet (Webster's)

全く知らないメンツが、全く知らないレーベルで作ったCDですが、ジャケがイカシているのと、演目が最高なんで、思わずゲットした1枚です。

内容はオルガントリオをバックにしたトランペットのワンホーン演奏で、録音は1999年11月1日、メンバーは Gilbert Castellanos(tp)、Joe Bagg(org)、Anthony Willson(g)、Mark Ferber(ds) となっていますが、演目が琴線に触れるんです――

01 Roll Call
 ハードバップの聖典ともいうべき、ハンク・モブレー(ts) 畢生の名曲名演に果敢に挑戦する、まずは、その意気ごみに拍手喝采です。
 イントロは定石どうりドラムスから入りますが、もちろんオリジナルに比べればトホホです。しかし続くテーマ演奏~アドリブパートは、なかなか熱気溢れる展開です。
 先発の Anthony Willson のギターはパット・マルティーノ系の溌剌フレーズと刺激的な伴奏を聞かせて合格点ですし、Gilbert Castellanos は小型フレディ・ハバードという、好ましいトランペッターです。またドラムスの Mark Ferber も熱演ですねぇ~♪ ただしオルガンの Joe Bagg がイマイチ、調子が出ていない雰囲気です。

02 Essex
 Gilbert Castellanos のオリジナル曲ですが、爽やかに快適なハードバップの名曲♪ もちろん演奏も溌剌として歌心のある良質のアドリブに終始しています。
 特にギターの Anthony Willson が良いですねぇ。けっして万全のテクニックでは無いんですが、ミスを恐れない果敢な姿勢が素敵です。またロックっぽいノリを聞かせるオルガンの Joe Bagg も憎めません。

03 Mamacita
 ジョー・ヘンダーソンが書いた人気ジャズロック曲ですから、ワクワクしてきますが、期待を裏切らない演奏になっています。ドラムスの Mark Ferber が敲き出す重たいビートが躍動的ですし、Gilbert Castellanos のトランペットからは、お約束のフレーズが、これでもかと飛び出します。
 またギターの Anthony Willson が良いんです♪ 正統派のフレーズをロック系グルーヴで弾きまくり! 太くて硬めの音色も好ましく、ドラムスとの相性も最高です。
 そして Joe Bagg のオルガンがクールで熱い伴奏&アドリブに撤して、これまた快演という、いささか褒めすぎかもしれませんが、私は大好きです。

04 Para Mi Madre
 なんだかフリープログレのような出だしで、嫌な予感に満たされる Gilbert Castellanos のオリジナル曲です。しかし途中から優しいメロディが奏でられますから、ご安心下さい。ただし、そのまんま終わってしまうという短い曲です。

05 Why I Don't ?
 これもソニー・ロリンズがオリジナルのハードバップ名曲に無謀な挑戦を試みた演奏です。もちろん結果はそれなりですが、全員のハッスルぶりは好ましく、特に Gilbert Castellanos はダーティなフレーズまでも繰り出して必死の吹奏です。
 また Joe Bagg のオルガン、Anthony Willson のギターも大健闘! しかし冒頭の「Roll Call」でもそうでしたが、ドラムスの Mark Ferber は、どうしてもアート・ブレイキーと比較されてしまうので……。

06 Tres Palabras
 幻想ラテン系の和み曲ですが、ツボを押えすぎて、キャバレーモードになっているのが憎めません♪ 仄かなエコーも良い味ですし、オルガンの Joe Bagg は自分で楽しんでいる雰囲気がミエミエです。
 ただし、Gilbert Castellanos のトランペットからは真摯な雰囲気が漂いますので、侮れない仕上がりになっています。 

07 Night Flight
 リー・モーガンの隠れ人気曲ですから、同系列のトランペッターとして Gilbert Castellanos も張り切らざるをえません! ビシバシ迫るリズム隊を逆に叱咤激励する雰囲気で、全篇をブッ飛ばします。
 あぁ、演奏時間が短いのが勿体無いです! これも日活ニューアクションのサントラのようなカッコ良さに満ちているのでした。

08 Edda
 う~ん、このバンドの選曲センスは私の感性にジャストミートです♪
 これはウェイン・ショーターが書いた隠れ名曲なんですが、オリジナルよりもテンポを速めた解釈が、痛快なハードバップになっています。もちろんバックがオルガントリオですから、微妙なレアグルーヴ感覚が素敵ですねぇ♪
 まず Mark Ferber のドラムスがクールで熱く、ハードロックっぽい Joe Bagg のオルガンもイケてます。
 ただしアドリブにイマイチ精彩が無い Gilbert Castellanos は減点……。

09 Manny Brown
 オーラスは Gilbert Castellanos が書いたオリジナル曲で、やや煮え切らないテーマメロディが残念ですが、演奏そのものも4ビートとロックビートの不思議な混在が特徴的なので、知らず知らずのうちに惹き込まれてしまいます。Mark Ferber のドラムスが妙に刺激的なんですねぇ。
 そしてアドリブパートでは Anthony Willson のギターがハードボイルドな熱演! ドラムスとのコンビネーションも冴えています。
 また Gilbert Castellanos が、ここでは「イン・ザ・スカイ」の頃のマイルス・デイビスっぽいノリを聞かせてくれますから、嬉しくなります♪ しかも後半は熱い4ビートに突入ですからねぇ。いいぞっ! と思わず歓喜のサイケおやじです。
 するとオルガンがライフタイム期のラリー・ヤングみたいになるのは、ご愛嬌でしょうか♪ なかなかクールで素敵です。

ということで、けっして独創的な演奏ではありませんし、演奏者にも決定的な個性はありませんが、気楽に聴いて楽しい作品だと思います。

個人的にはもっとエレクトリックな雰囲気を追求して欲しかったところではありますが、実は数年前のバーゲンで新品5百円でゲットしたブツなので、思わぬ拾物にニヤリとしたのが本音でした。

しかし、これ、馴染みのないレーベルなんですが、自主制作なんでしょうか?

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真似っこ part-2

2007-02-14 18:01:06 | Weblog

青森の八甲田山で雪山遭難がありましたですね。

ちょっと不謹慎かもしれませんが、映画「八甲田山」を思い出しました。

あの映画の中で加藤嘉が「1月と2月の八甲田は、白い地獄だよ」と言っていましたが、本当ですねぇ……。

ひとりでも多くの人が助かりますように、祈念しています。

ということで、本日はこれを――

The Clinica 21 Concert / Giampaolo Ascolese Trio (Philology)

全然知らない人のリーダー盤なんですが、実態はスティーブ・グロスマンのワンホーン演奏ですから、聴かずに死ねるかの心意気でゲットしたCDです。

そう、スティーブ・グロスマンと言えば、私の世代には避けて通ることの出来ないサックス奏者で、まだ十代だった1970年頃にマイルス・デイビスに雇われて一躍脚光を浴びた天才です。もちろんそのスタイルはジョン・コルトレーンの影響が大きい激烈モード派なんですが、駆け出しの頃には未熟なフレージングとアドリブ展開の単調さが、ロックビートでブリブリ突っ走っていた当時のマイルス・デイビスのバンドではロックギター的なニュアンスを表出していて、特にソプラノサックスが、なかなかに相性が良く、人気者となりました。

そして後にはエルビン・ジョーンズのバンドに移り、ここで本領発揮のコルトレーン節を炸裂させて、決定的な存在感を示しすようになり、とにかく疾風怒濤の演奏を常に期待されるようになったのが、1970年代のスティーブ・グロスマンでした。もちろんフュージョン系の演奏にも手を染めています!

しかしそれが一段落した1980年代中頃から、突如としてソニー・ロリンズ派に鞍替えしての4ビート回帰! これには多くのファンも仰天だったと思います。実際、当時のジャズ喫茶では、そういう傾向のスティーブ・グロスマンのアルバムが賛否両論でした。

ですから、このアルバムのように、ピアノレスのテナーサックストリオによるライブセッションとくれば、否が応でもソニー・ロリンズ畢生の名演集「ヴィレッジ・バンガード(Blue Note)」を思い起こしますから、興味津々で入手したというわけです。

録音は1999年12月5日、メンバーはスティーブ・グロスマン、Gianlua Renzi(b)、Giampaolo Ascolese(ds) という面々で、演目が最高に粒揃いです――

01 Whims Of Chambers
02 Over The Rainbow
03 Oleo
04 On Green Dolphin Street
05 Four
06 Body And Soul
07 Funji Mama
08 I Hear A Rhapsody
09 I Mean You

どうです♪ 聴いてみたくなるでしょう~♪

で、演奏パターンは、ほとんど同じです。つまりスティーヴ・グロスマンが全体をリードしてドラムスとベースがツッコミをいれつつ、全体で盛り上がっていくという構成が終始続くのです。

まず「Whims Of Chambers」は偉大なポール・チェンバース(b) が書いたオリジナルブルースを、曲想を大切にしつつ飄々と演奏するスティーヴ・グロスマンの余裕が流石♪ それも既に述べたように、徹頭徹尾、ソニー・ロリンズのスタイルで押しまくりですからねぇ~、呆れ果てるほどの物真似ぶりが見事というしかありません。

また本家ソニー・ロリンズが書いた有名ジャズ曲「Oleo」でも、お前、よくやるなぁ~! リズムアプローチや音色、息遣いまでも本家にクリソツなんですねぇ♪ 否、「♪」なんて書いたらいけないのかもしれませんが、それにしても痛快です。

そして「Over The Rainbow」や「Body And Soul」というスタンダードのスロー系演奏では、テナーサックス本来の極太の音色と少~しのコルトレーン節が出るんで、安心してしまいます。

それとラテンビートの「Funji Mama」では、ソニー・ロリンズにしか許されないはずの豪放磊落なカリプソグルーヴと4ビートの併せワザがニクイところです。ドラムス&ベースとの鬩ぎ合いも見事といって良いのか、これはソニー・ロリンズごっこ?

あと快適な4ビートに終始する「On Green Dolphin Street」や「I Hear A Rhapsody」あたりでは、笑っちゃうほどに本家そのまんまです。これでいいのか、スティーブ・グロスマンともあろうものが!? アンタの気持ちはどうなんだっ! と思わずタメグチで訊きたくなります。

さらにオーラスの「I Mean You」では演奏前のカウント掛声まで、ソニー・ロリンズの物真似やっているんか!? 許せん!

と言いつつも、実は物凄く楽しい演奏ばかりです♪

本当は、こういうのはパロディとしてマジに聴いているとバカを見そうな雰囲気なんですが、そう考えて深刻になるのは、かえって思うツボなんでしょうねぇ……。告白すれば、こういうのは好きですし、なによりも演奏が充実していますから、物真似演芸にでも接している気分で楽しめばOKだと思います。

実際、痛快なんですよっ♪

最後になりましたが、脇を固めるというか、実はリーダー Giampaolo Ascolese はベテランらしい風貌と同様に、分かっているっていうドラムスが流石です。ただし録音の按配でしょうか、もう少し、大きな音でミックスして欲しかったのが本音ではありますが。

またベースの Gianlua Renzi は、写真を見る限りでは若手らしいですが、なかなか野太い音で正統派に撤しての大健闘です。アドリブソロもケレンの無い真摯な姿勢が好ましく、けっこうバンドの要になっているのかもしれません。

ということで、これはスティーブ・グロスマンというよりも、ソニー・ロリンズの演奏という雰囲気までも楽しめる徳用盤と言っては語弊がありますが、これもジャズの醍醐味として楽しめるなら、幸せは保証の1枚だと思います。

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パブロフの……

2007-02-13 18:17:01 | Weblog

休み明けは仕事も山積みというか、いろいろと後始末に追われている感じです。

気合が必要ですね、こういう時は!

そこで――

Thmas Franck Qurtet At The Circus (Stunt)

いまさら……、と思いつつもジョン・コルトレーン(ts) の演奏には熱くさせられますし、その物真似バンドにも惹かれてしまうのは、私の世代のジャズ者には哀しいサガかもしれません。

実際、ジョン・コルトレーン没後から1970年代半ばあたりまでは、その音楽性を継承した演奏、特にテナーサックス奏者はそうでなければ受け容れられないという土壌が、日本のジャズ喫茶には確かにありました。

ですから、そんな空間で青春時代を送った者にとっては、現在でもコルトレーン派の演奏に耳を奪われてしまうのですが、こういうのって私だけでしょうか……?

で、本日の1枚は今世紀に入ってから入手したブツですが、中身は完全に1970年代ノリという、ある種のナツメロ感覚が眩しい仕上がりです。

録音は1999年5月5日のライブ音源で、メンバーは Tomas Frankc(ts)、Carsten Dahl(p)、Lennart Ginman(b)、Ole Streenberg(ds) という、見事なまでの成りきりカルテットです――

01 Hello Young Lovers
 個人的には好きな、楽しい系のスタンダード曲なんで、大いに熱い演奏を期待したのですが、結果は「何が悲しくて、こんな演奏を……」でした。
 確かに Tomas Frankc のスタイルはジョン・コルトレーンを模倣していますが、無理に自分だけの個性をつけようと虚しい奮闘が見え隠れしているのです。
 しかしリズム隊が、けっこう重たいノリなんで、失礼ながら、かろうじて救われている感じです。
 で、その中では Carsten Dahl が良いですねぇ~♪ この人は日本製作盤も含めて、幾つかリーダー盤を出していますが、ここで聞かれるようなモードに真っ向勝負の演奏が、一番リスナーの心を捕らえるんじゃないでしょうか? 私は好きですねぇ~♪ キース・ジャレットとシダー・ウォルトンの中間位のスタイルが琴線に触れるのです。

02 Some Other Minor Blues
 所謂スピリッチャル系の厳かな演奏です。
 それは緩やかで重いテンポ設定から、Tomas Frankc が暗く呻き、お約束のシーツ・オブ・サウンドで音の洪水を撒き散らしていきますが、中身があるかどうかは個人によって判断が分かれるでしょう。長ったらしい演奏が虚しくない、と言えば嘘になる雰囲気です。
 しかし、それを救うのが、ここでも Carsten Dahl です。この人のアドリブパート=ピアノトリオになると、俄然、場が引き締まるというか、あたりがジャズ喫茶モードに染まっていくのでした。

03 Ballad For Laila
 スローな演奏で、Tomas Frankc が意外なほどに良い歌心を聞かせてくれます。テナーサックスそのものの音色も魅力がありますから、もっと素直にいけばいいんですけど……。ここでの減点はベースのイモさ加減です! あ~ぁ……。

04 Blues In The Basement
 快適なノリのブルースで、初っ端から Carsten Dahl がグルーヴィに迫ってきますから、期待度満点の出だしです。あぁ、これがジャズの良さだと思いますねぇ~。素直にノッている自分が恐いほどです。
 そして大歓声の中、ついに Tomas Frankc が本領発揮のモード節! リズム隊とのコンビネーションも良く、あぁ、この人は本当にジョン・コルトレーンが好きなんだろうなぁ~♪ と感情移入してしまうのでした。
 盛り上がったところで、ドラムスとの対決があるのは、お約束です!

05 In A Sentimental Mood
 オーラスはジョン・コルトレーンの代表的なバラード演奏に挑戦した無謀な企てですが、もはやここまでくると憎めません。落ち着きの無いドラムスゆえに、なんか学生バンドみたいになっていますが、バンド全体は懸命の演奏に終始しています。

ということで、ジャケットはつまらないし、本音はどーしようも無いアルバムだと思いますが、なぜか聴いてしまう作品です。というよりも、実は店頭で流れていたのが気になって、速攻で買ってしまったのが本当のところです。

結局、こういう演奏は私のような者にとっては「パブロフの犬」なんでしょうか……。恥ずかしながら、そのあたりをつけこまれて買ってしまったブツが、私の手元にはかなりあるのでした。

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曲が良いのも困りもの

2007-02-12 17:22:41 | Weblog

今日は赴任地に戻るまで、霊柩車に4度、出会いました。

う~ん、こういう日もあるんですねぇ~。それで縁起が悪いとは思い込みませんが、なんだかなぁ……。

ということで、本日は暗いムードが素敵なこれを――

Tommy Turrentien Plus Max Roach Quintet (Time)

芸能界には兄弟で活動している人が少なくありませんし、ジャズ界だけでもパウエル兄弟、アダレー兄弟、日野兄弟……等々、挙げればキリがありません。

本日の主役、トミー・タレンタインもスタンリー・タレンタインの兄として、共に活動していた時期があり、正直、弟に比べて人気も実力もかなり差がつけられている雰囲気ではありますが、忘れがたいトランペッターです。

その経歴は良く知らないのですが、1960年代前半にはブルーノートやベツレヘムあたりの有名ジャズレーベルにセッションを残していますし、マックス・ローチのバンドレギュラーだったこともあるという、陽のあたる時期に吹き込まれたのが、この初リーダー盤です。

録音は1960年1月19日、メンバーはトミー・タレンタイン(tp)、ジュリアン・プリースター(tb)、スタンリー・タレンタイン(ts)、ホレス・パーラン(p)、ボプ・ボスウェル(b)、マックス・ローチ(ds) というタフな面々で、タイトルどおり、当時のマックス・ローチのバンドがそのまんま参加しているようです――

A-1 Gunga Din
 とてもグルーヴィな雰囲気に満ちたハードバップのテーマが、まず、たまりません♪ そしてベースとドラムスのコンビネーションによる重いビート、アドリブ先発のスタンリー・タレンタインのスモーキーなテナーサックスソロが、完全に全体のペースを設定してしまいます。
 またホレス・パーランのピアノが仄かに暗い雰囲気で好演していますから、肝心のリーダーであるトミー・タレンタインが一番目立たない結果になっているんですが、作曲が本人ということで、ご理解願います。
 実際、ハードバップの隠れた名曲だと思います。

A-2 Webb City
 バド・パウエル作曲によるビバップ聖典曲のひとつですから、生半可の演奏では許されるはずも無く、ここではマックス・ローチが渾身の煽りでバンド全員を盛り立てていきます。
 スタンリー・タレンタインは気合が空回り気味ですが、ジュリアン・プリースターは迷い道ながらも大健闘、そしてトミー・タレンタインは相当に熱くなったソロを聞かせてくれます。ホレス・パーランも良いですねぇ~。
 そしてクライマックスがマックス・ローチとホーン陣のソロチェンジ! 結局、ドラマーが一番目立ってしまったというオチがついています。

A-3 Times Up
 トミー・タレンタインのオリジナル曲で、テーマ部分のアンサンブルが見事な演奏になっていますが、この人の書く曲は独特の暗さが魅力ですねぇ♪ まさにモダンジャズっていう感じです。
 アドリブパートでは先発のジュリアン・プリースターが新しい感覚も交えて熱演ですし、スタンリー・タレンタインはタフ&ジェントルなハードボイルド節! トミー・タレンタインも「泣き」を存分に入れた好演だと思います。
 またリズム隊のグルーヴィな雰囲気も最高で、ポリリズムでありながらビートの芯がぶれないマックス・ローチは、真の天才としか言えません!

A-4 Long As You're Living
 トミー・タレンタインとジュリアン・プリースターの共作オリジナルで、これもモダンジャズの隠れ名曲だと思います。単純なメロディなんですが、たたみかけるような無機質なノリが、なんとも言えません。
 アドリブパートでも、各々がクールにキメて本音を隠している雰囲気がハードボイルドで、そこだけ聴いていると、日活アクション映画のサントラ音源のようでもあります。
 そしてクライマックスは、マックス・ローチが至芸のシンバルソロ!

B-1 Too Clean
 ハードバップ100%のテーマは、これもトミー・タレンタインのオリジナルですが、それにしても良い曲ばっかり書きますねぇ~♪ またまた名曲!
 ですからアドリブパートも充実の極みで、スタンリー・タレンタインが豪快にブローすれば、トミー・タレンタインは余裕の歌心で素晴らしいソロを展開していますし、ジュリアン・プリースターも新感覚で爆裂しています。
 もちろんリズム隊はグルーヴィな快演で、ホレス・パーランが真っ黒ならば、マックス・ローチは鬼神の凄さ! 容赦無いバッキングが強烈です。 

B-2 Two, Three, One, Oh !
 これまたテーマが最高です♪ もちろんトミー・タレンタインのオリジナル曲で、ソフトバップ系なんですが、哀愁たっぷりでノリの良い演奏は、ウケないはずが無いという♪
 しかし残念ながら、全員のアドリブがイマイチ、煮えきっていません。
 う~ん、これは、どうしたことでしょう……? なんか難しいコード進行とか曲構成なんでしょうかねぇ……。

B-3 Blues For J.P.
 しかしオーラスはグルーヴィな大ブルース大会!
 作曲はホレス・パーランなんですが、またまた曲が良すぎて困ったもんですよ♪
 アドリブ先発のジュリアン・プリースターは曲そのものが自分に捧げられたと思い込んだのか、あるいは実際にそうなのか、とにかく粘っこく熱いフレーズで迫ってきます。
 そしてホレス・パーランが、作者の強み活かしての本領発揮で、これまた良いんです。押えた感情表現というか、そう簡単には熱くならないぞっ! という決意表明のようなクールさがあります。あぁ、逆も、また真なり!
 さらにトミー・タレンタインは、ちょっと陰湿な雰囲気に終始していますが、そこが自己の資質にあっているか、なかなかに魅力的なハスキー節を聞かせてくれますし、反対に豪快な男気に溢れた、堂々たるソロでリスナーを魅了するのが、スタンリー・タレンタインです。

ということで、実はアドリブそのものは、全員がベストの出来ではなんですが、演奏曲が全部、最高なんですねぇ♪ トミー・タレンタインは作曲の方が演奏力よりも優っていると思います。「Webb City」のように全くの他人が書いた曲さえも、ヘッドアレンジで薬籠中のものとする力量も流石です。

したがってアルバム全体に何とも言えない暗い雰囲気があって、それがモダンジャズのハードボイルドな部分と見事にリンクしており、失礼ながら、これでアドリブがもっと凄かったら、大化けした作品かもしれません……。

とは言え、私はけっこう好きです、こういうのが。

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LD+3

2007-02-11 18:56:30 | Weblog

ちょっとした友人が選挙に出るというので、挨拶しに来たんですが、あんまり卑屈にペコペコするんで、ちょっと哀しくなりました。気持ちは分かりますが……。

ということで、本日はこれを――

LD+3 / Lou Donaldson With The 3 Sounds (Blue Note)

夢の対決盤は数あれど、これぞレーベルを代表する人気者が一騎打ち!

となるはずだったんでしょうが、意外にも滋味あふれる作品だと思います。

もちろんルー・ドナルドソンはファンキー・コテコテ派という以前に、チャーリー・パーカー直系のビバップ魂を内包したモダンジャズ王道を行く名手ですし、スリー・サウンズだって、快楽的ピアノトリオというよりも、纏まりの良いリズムユニットとしの側面がありますから、無闇やたらにガリガリやるだろうというのは、リスナーの勝手な思い込みに過ぎないのでしょう。

録音は1959年2月18日、メンバーはルー・ドナルドソン(as)、ジーン・ハリス(p)、アンドルー・シンプキンス(b)、ビル・ドゥディ(ds) となっています――

A-1 Three Little Words
 小粋なメロディのスタンダード曲ですから、このテが得意なスリー・サウンズが薬籠中のノリを活かしてルー・ドナルドソンを翻弄するかと思いきや、何といきなり冒頭から快調過ぎる吹奏で、場をグイグイと盛り上げていくルー・ドナルドソンが強烈です。
 もちろんリズム隊は、スリー・サウンズの名に恥じない纏まりを聞かせてくれます。伴奏の部分では、やや気後れしている雰囲気もありますが、自分達だけのアドリブパートになれば、十八番のヘッドアレンジでリズム的興奮を呼ぶドライヴ感が見事ですし、ジーン・ハリスのピアノからはノリの良いフレーズしか出てきません。
 心底、ジャズの楽しさに溢れた演奏は、もう最高です♪

A-2 Smooth Groove
 どこを聴いても曲名どおりの雰囲気しか無い、ルー・ドナルドソンのオリジナルというブルースです。それは全くシンプルで分かり易いフレーズしか吹かない作者の思うツボ! 黒くてファンキーな「節」が連発されていくのですから、たまりません。
 当然、それはスリー・サウンズにとっても望むところなんでしょう、アンドルー・シンプキンスのベースはグルーヴィに蠢き、ジーン・ハリスのビアノからはブルースの魂が放出されます。
 しかしビル・ドゥディのドラムスはゴスペル色を強めながらも王道の4ビートを大切にしていますから、下卑た結論に達していないあたりが、賛否両論かもしれません。

A-3 Just Friends
 これがまた、サックス奏者には必須のスタンダード曲ですから、終始快適なノリで飛ばしまくるルー・ドナルドソンが痛快です。楽しいテーマ吹奏から、その変奏に近いアドリブパートの歌心♪ 素晴らしいですねぇ~、これがモダンジャズの王道だと思います。
 そして快適なグルーヴを提供するリズム隊の楽しさも格別です。ジーン・ハリスの小細工の無い演奏姿勢があればこそ、終盤の盛り上げを素直に楽しめるですねぇ~。ベースソロもドラムスとのソロチェンジも、軽いタッチで良い感じです♪

A-4 Blue Moon
 ジャズに限らずポップス全般で人気のスタンダード曲ですから、ここでのメンツはどうかと思えば、全く肩から力の抜けた気楽な快演になっています。
 自然体というか、ノーテンキ寸前の日暮系の気安さは、3分ほどの短い演奏という部分がミソになっているようです。

B-1 Jump Up
 B面に入っては、トップを飾るに相応しい熱いモダンジャズを聞かせてくれます。
 ルー・ドナルドソンの演奏スタイルは、ここで完全にチャーリー・パーカー直系のスタイルを披露していますが、エキセントリックなところは全く無く、逆に分かり易くて、どうもすみません! あぁ、これこそジャズの真実かもしれませんですね。
 しかし続くアンドルー・シンプキンスの攻撃的なベースソロからは、楽しさと同時に、ある種の頑固さが感じられて好感が持てますし、それを受けて始まるジーン・ハリスのアドリブは、嫌な予感から快楽的な広がりへと、猛烈に飛翔していく素晴らしさです。クライマックスのブロックコード弾きあたりの団子状のグルーヴは、最高ですねぇ~♪
 そして、こうなると黙っていられない雰囲気のルー・ドナルドソンがラストテーマの前に大暴れ! しかし肩の力が抜けているで嫌味になっていませんです!

B-2 Don't Take Your Love From Me
 大らかな歌心を存分に発揮するルー・ドナルドソンの一人舞台から、快調な吹奏に終始する演奏姿勢が素晴らしいと思います。けっして難解なフレーズも独り善がりのノリもやっていませんから、そこが物足りなくなるのがジャズファンの欲張りなところかもしれません。
 しかしスリーサウンズの面々も、そこは百も承知のナイスフォロー! 特にアンドルー・シンプキンスのベースソロが最高です。
 そして終盤では、それに気がついたのか、ルー・ドナルドソンが目の覚めるような痛快なアドリブフレーズを連発してくれるので、熱くなりますよ♪

B-3 Confirmation
 アルバムの締め括りは、モダンジャズ定番のビバップ聖典曲!
 ただしルー・ドナルドソンから、何故か気抜けの雰囲気が漂うのが……。けっして悪い出来ではないんですが、やはりどうしても神様チャーリー・パーカーと比較されてしまう運命から逃れきれていないという悪循環だと思います。
 そこへいくと、ジーン・ハリス以下の面々は気楽にスイングして、グルーヴィな雰囲気を自然に生み出していくところがありますから、これだけは、このセッションでは無かったことにするべきかも……。

 と、まあ、最後に不遜な事を書きましたが、全体としては気軽に楽しんでいけるアルバムだと思います。特に初っ端の「Three Little Words」は、同曲のジャズバージョンとしても決定的な名演ではないでしょうか。

 あと、もう少しコテコテ色が強かったら、どうなっていたか? 3年ほど後に共演していたら、ジャズロックとかゴスペルハードバップの聖典のような作品になっていた可能性も……♪ そういう妄想も秘めた快楽盤ということで、お楽しみ願います。

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普通に凄い!

2007-02-10 17:49:11 | Weblog

ギターの弦を買いに楽器屋に行ったら、けっこう中年おやじの溜まり場と化していて、嬉しいような恥ずかしいような……。

で、そこでギターの試し弾きをやっている人は、だいたい「天国への階段」とか「ホテル・カリフォルニア」のイントロをやってしまうんですねぇ~♪

なんか、つられて「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」を弾いてしまった私は、若いでしょう!? もはや恥ずかしさで地獄行きしそうでした……。

ということで、本日は――

Barry Harris At The Jazz Workshop (Riverside)

これはピアノトリオの名盤とされる1枚ですが、正直に告白すれば、私は最初、それが分かりませんでした。

ジャズ喫茶で聴いてみても、なんか普通っぽいし、バリー・ハリスでは個人的にもっと好きなアルバムがあるし、演目もイマイチ魅力ないしなぁ……。

等々、不遜な気持ちだったのですが、レコードそのものは、昔、某中古店で3枚千円の員数合わせで買っていたというバチアタリでした。もちろん日本盤です。

で、当然、1回聴いただけでレコード棚のお邪魔虫になっていたのですが、ようやく中年真っ只中になったある日、何となく聞いてみて吃驚仰天! やっぱり名盤だったと気がついて、額に汗が滲みました。

録音は1960年5月15&16日、サンフランシスコの有名クラブ「ワークショップ」でのライブ録音で、メンバーはバリー・ハリス(p)、サム・ジョーンズ(b)、ルイ・ヘイズ(ds) という、当時のキャノンボール・アダレイのバンドではレギュラーだった面々です――

A-1 Is You Is Or Is You Ain't My Baby / あなたの心は
 ちょっと聞きは地味な曲&演奏なんですが、まさに「そこはかとない」というバリー・ハリスの魅力が全開した名演です!
 オリジナル原曲はR&B歌手のルイ・ジョーダンがヒットさせた黒人歌謡曲ですから、秘められたペーソスとか、やるせなさみたいな情感を大切したバリー・ハリスの解釈が絶品♪
 当然、それゆえに、アルバム冒頭に置くには地味~な印象なんですが、この聴くほどに滲みてくるジンワリした魅力は絶大なんですねぇ~♪ これがバリー・ハリスの持ち味だと思います。あぁ、この歌心! このピアノタッチ! 柔らかくて、せつなさ満点の名人芸です♪

A-2 Curtain Call
 一転して溌剌としたビバップ系の演奏で、バリー・ハリスのオリジナル曲となっていますが、どっかで聞いたことがあるような……。
 まあ、それはそれとして、ルイ・ヘイズの素晴らしいブラシに煽られて、バリー・ハリスが正統派の実力を披露してくれます。

A-3 Star Eyes
 定石どおり、ラテンリズムを用いた解釈が、この有名スタンダード曲を演奏するお手本のようになっています。もちろんアドリブパートでの快適な4ビートはノリが良く、決して派手なフレーズは弾きませんが、心温まるという表現がたっぷりです。
 ただし、それゆえに物足りないというのが、やっぱり私の本音でしょうか……。

A-4 Moose The Mooche
 ビバップ聖典曲のひとつですから、そのスタイルを原点とするバリー・ハリスには十八番なんでしょう、安心感とスリルが同居した素晴らしい演奏になっています。
 全体は、かなり熱い雰囲気なんですが、バリー・ハリスからは「力み」とか、そういう入れ込んだ部分が感じられず、あくまでも自然体でスイングしていくところが、流石だと思います。
 ルイ・ヘイズも、小型フィリー・ジョーと言っては失礼ですが、ようやく本領発揮のスティックとソロチェンジで明るく好演していますし、サム・ジョーンズのギスギスした軋みのベースも、たまりません♪ つまり現場での録音も秀逸だと思います。

B-1 Lolita
 ラテンビートを上手く使ったバリー・ハリスのオリジナル曲です。もちろんテーマメロディには一抹の哀愁が含まれていますから、グッときます。
 アドリブパートに突入するところでのブレイクも素晴らしく、観客が思わず「ウォ~」「オーライ!」と歓声を上げてしまうあたりが、本当にリアルです! 続く単音弾き主体のアドリブそのものも完璧ですねぇ~♪ お客さんも指パッチンとか手拍子で熱くなっている雰囲気に、こちらも感情移入してしまうほどです。
 あぁ、最高です!

B-2 Morning Coffee
 これがまた、グルーヴィな雰囲気に満ち溢れたブルースの世界!
 まずルイ・ヘイズのシンバルワークが、その録音ともどもに素晴らしく、サム・ジョーンズのベースもグイグイと突っ込むウォーキングで、興奮させられます。
 肝心のバリー・ハリスは、正統派のビバップフレーズを主体としながらも、随所にファンキーフィーリングを織り交ぜて大熱演! 思えば、この人はリー・モーガン(tp) のジャズロック「サイドワインダー(Blue Note)」の大ヒットにも貢献していた、リアルブラックな感性の持ち主ですからねぇ~。ファンクの卸商人と揶揄されていたキャノンボールが惚れこんでいたのも納得の演奏です。
 とはいえ、ここでは下卑たところは全く無く、バド・パウエル(p) 直系のスタイルに、セロニアス・モンク(p) の影響までも見え隠れするモダンジャズに仕立て上げたところが、本当に凄いと思います。
 そしてルイ・ヘイズ! あんたは最高だぜっ!

B-3 Don't Blame Me
 そして演奏はスローなスタンダードの世界へ流れ、甘い感傷が滲み出るバリー・ハリスの独壇場という名演が展開されます。
 あぁ、この朴訥として素直なメロディの解釈は、ひとつ間違えるとイモな雰囲気ギリギリという匠の技♪ エキセントリックな部分を押し隠して綴るビバップ精神に溢れたアドリブメロディは、聴くほどに味があります。
 こういう当たり前の演奏でこそ光るのが、バリー・ハリスの個性ではないでしょうか?

B-4 Woody'n You
 さて、オーラスは熱気溢れるビバップ定番曲です。
 ラテンビートも織り交ぜたテーマ解釈からして、とにかくエキサイティング! 張り切りすぎて外し気味というルイ・ヘイズのドラムスがご愛嬌とはいえ、バリー・ハリスはガチンコ体質を露呈した真摯なピアノを堪能させてくれます。
 う~ん、それにしてもサム・ジョーンズ&ルイ・ヘイズのコンビは、ハードバップ最良の瞬間を何時も生み出してくれますねぇ♪ ここでも、ありがちなプレイとはいえ、聴いていてリピートしたくなる場面が何度も出てきます。

ということで、あまりにも当たり前に凄すぎるのが欠点かもしれないアルバムです。だいたいバリー・ハリスというピアニストは、地方の地酒の名品という感じの人ですし、実際、キャノンボール・アダレイに口説かれてニューヨークへ出るまでは、デトロイト周辺で活動していたローカルミュージシャンの代表格ですから、華やかな雰囲気とは縁遠い存在だと思います。

しかし、その虜になったが最後、いつまでも愛聴してしまうアルバムばかりを吹き込んでいる名手でもあります。

恥ずかしながら、前述の経緯でそれに気がついた私は、遅ればせながらもバリー・ハリスの演奏を楽しむ境涯に至ったことに、感謝しているのでした。

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外道!

2007-02-09 16:41:27 | 日本のロック

拙サイト「サイケおやじ館」の掲示板で、たまたまロックバンド「外道」の話題が出た事が嬉しく、何時かは書きたいと思っていた彼等の事を、私の思い出話と絡めて、今日は綴ります――

ベスト外道 (Sony)

自分の人生を変えた事象として、ストーンズや「花と蛇」は決定的ですが、昭和40年代末に突如現れた日本のロックバンド=外道にも、かなりの衝撃を受けています。

あれは昭和48(1973)年の秋の終り頃でした。

当時の、ちょっと顔見知りのバイク仲間から、「外道」というロックバンドがあるから、ライブのチケットを買って欲しいと頼まれました。

正直、その頃は「外道」なんていうバンドは知りませんでしたが、どうやらカッコイイ、そしてハードロックなバンドらしいと……。

ちなみに当時の日本ではロックバンドなんて、ほとんどありませんでした。なにしろ「かぐや姫」とか「チューリップ」あたりの歌謡フォークが全盛でしたし、キャロルとかミカバンドはデビューしていましたが、なんだかなぁ……。

で、当日、某会場へ行ってみると、そこはバイク集団の溜まり場と化していたのです! もちろん私もバイクでそこへ行ったんですが、実はデビュー当時の「外道」には、そういうファンが圧倒的だったのです。

メンバーは加納秀人(g,vo)、青木正行(b,vo)、中野良一(ds,vo) という、いわゆるハードロックトリオの編成で、その音楽性はシンプル&バカノリ! しかしそれゆえに纏まったバンドアンサンブルはド迫力でしたし、加納秀人のギターテクニックは千変万化の恐ろしさに満ちていました。

しかも全曲オリジナルの日本語歌詞にはエグミがあり、ズバリと真実を言い放ち、なおかつディープな心情吐露とユーモアが強烈でした。

しかしレコードは、その頃にシングル盤を1枚出していたらしいのですが、会場では売り切れで買うことが出来ず、さらにどこのライブでも客層が悪いとか暴動や喧嘩が絶えないとの理由で、大っぴらに宣伝活動が出来ず、おまけに演奏会場の貸し出し禁止や当日でのコンサート中止なんていう騒動が頻発していたそうです。

前述の経緯でチケットを売らなければならない理由も、当にそこでした。

実はメンバーの中野良一が、バイク集団=当時は狂走族とかサーキット族と呼ばれていた、所謂暴走族の顔役だったことから、最初、そういう集団にファンが増え、バンドそのものの困難な状況から、彼等がプロモーションをやるようになっていたのです。

それにしても、この初体験は強烈でしたねぇ~♪ やっている事はシンプルなリフの積み重ねという、覚え易い曲がほとんどでしたが、間違いなく聴いている者をバカノリさせてしまうツボがあり、ストーンズとかグランドファンクとか、そういうライブで本領発揮のバンドです。

さらにステージでの煽りが上手く、衣装はギンギンギラギラのグラムロック風なものを日本的な着物感覚でアレンジした異端派! MCではアブナイ発言連発! さらに演奏中の掛声や手拍子強要も嫌味無く、それでいて有無を言わせないカリスマがありました。

ルックスでも加納秀人のカッコ良さは抜群で、女の子のファンが大勢ついていましたですね。

また噂どおり、某コンサートへ行ったら、出演予定の「外道」だけが出演中止となり、金を返すから帰って欲しいとか言われて、本当に暴動になったり、キャロル派のファンと喧嘩したり、コンサート帰りにバイクで走っていたら暴走族と間違われてパトカーに追跡されたり……等々、今では懐かしい騒動もありました。

ちなみにサイケおやじは暴走族は大嫌いで、一切、そういう団体に入ったことはありません! 恥ずかしながら、喧嘩したことはありますが(苦笑)。

そんな彼等ですから、少しずつ人気が沸騰して、翌年夏頃からは大ブレイク!

とは言ってもテレビに出られるわけじゃなく、ライブや野外フェス等で多くの熱演伝説を築きあげていくのです。それらの音源は今日、ようやく発掘音源のCDとして流布するようになりましたが、リアルタイムでは大ヒットなんて、夢のまた夢というのが現実でした。

それでもアメリカに乗り込んで、現地のファンを圧倒したことから、海外デビューも検討されていたとか!? しかしっ!

その全盛期とも言える昭和51年の秋に電撃解散! その真相は、様々な憶測があるだけで、メンバーや当事者からは語られていません。

そして加納秀人はソロ活動に入り、フュージョンに急接近したアルバムを作るなどしていましたが、失礼ながら「外道」を知っているファンには物足りなく……。

すると昭和55(1980)年に突如、復活♪ そして今日まで断続的に活動を繰り広げています。

さて、このアルバムは、1973年から2003年まで、30年間の中から選りすぐったトラックを集めたベスト盤♪ しかも初回盤には貴重なテレビ出演時の映像を収録したDVDが付いていたという最高のブツです。

ちなみに、その番組を仕切った田原総一朗は、今と変わらぬトンマな質問ばかりで、笑わしてくれますよ♪ わかっちゃいないですぅ~♪

肝心の収録曲は――

01 香り (1974年9月20日:横浜野音ライブ)
02 そんな (1975年12月20日:気仙沼市民会館ライブ)
03 外道 (1975年5月17日:京都拾得ライブ)
04 ダンス・ダンス・ダンス (1975年5月17日:京都拾得ライブ)
05 逃げるな (1974年9月20日:横浜野音ライブ)
06 黒い影 (1975年1月:ハワイ)
07 乞食のパーティ (1975年1月:ハワイ) 
08 にっぽん讃歌 (1973年:1st シングル) 
09 Yellow Monkey (1980年:コロムビア・スタジオ)  
10 いつもの所でブルースを (1975年12月20日:気仙沼市民会館ライブ) 
11 コウモリ男 (1975年5月16日:京都拾得ライブ)
12 アロハババア (1975年5月16日:京都拾得ライブ)
13 愛の寝台車 (1975年1月:ハワイ)
14 悪魔のベイビー (1975年5月17日:京都拾得ライブ)
15 ビュンビュン (1974年9月8日:町田祭ライブ)
16 何 ? (1975年5月17日:京都拾得ライブ)
17 ぶっこんでやれ ! (1975年5月17日:京都拾得ライブ)
18 水金地火木土天回明 (1980年:コロムビア・スタジオ)

――と、代表的な名曲・名演がズラリ♪ しかも様々な音源からの寄せ集めながら、曲の流れが最高の編集、さらにリマスターの統一感が見事です。

「香り」はアップテンポの爆裂曲で、彼等のライブでは定番曲! まず、これを聴いたら仰天しますよっ! 今から30年以上前に我国では、こんなバンドがいたんです! ラフ&タイトな青木良一のドラムスとブリブリ動く青木正行のベース、さらにガンガン突っ込む加納秀人のギターが一体となったド迫力が楽しめます。

続く「そんな」や「外道」はキャッチーなリフを主体にしたハードロックの王道路線邁進です♪ このあたりはギター初心者でも弾ける簡単なものなんですが、このノリは簡単には出せないはずです。

「ダンス・ダンス・ダンス」はライブならではの楽しさ満載の代表曲で、物凄いドライブ感が見事ですし、このトラックでは観客との遣り取りがリアルタイムで楽しめます。もちろん加納秀人のスペーシーなギターソロは物凄く、聴くほどにシビレます♪ 中野良一のバカボン系乱れ打ちドラムスも強烈!

さらにドロドロ系の「逃げるな」「悪い夢」や、ポップ路線の「乞食のパーティ」「アロハババア」、ブッ飛びR&Rの「愛の寝台車」「悪魔のベイビー」と、このバンドのシンプルな楽しさ&醍醐味が存分に楽しめる選曲になっています。

また「いつもの所でブルースを」は正統派ブルースロックの快演! ミック・テイラーも真っ青と思われる加納秀人のギターは、当時としても世界に通用することがわかるはずです♪ もちろん我国では、こんなにロックしているバンドなんて、当時無かったのですよっ!

そしてクライマックスの「ビュンビュン」は、今や伝説となった町田祭でのライブ音源で、警察署の隣に作られたステージでの爆音演奏! 「おまわりさん、楽しい~?」と、愛想の良いMCが楽しめますし、演奏は豪快無比! どんなパンク野郎も勝てませんよ。

もちろん「何?」と「ぶっこんでやれ」はライブでも白熱の山場に演奏されていた人気曲でした。特に後者は歌詞がアブナイです♪ 実際、この頃の会場ではヌードで踊るとか、ブラパン脱いでステージに投げるイカレタお姉ちゃんが、大勢いましたですよ♪ なにしろ青木正行のベースはビンビンですし、加納秀人のギターは、どうにも止まらない狂おしさが全開ですからっ!

ということで、今では青春の思い出というか、すっかり遠くなった若かりし日々の音源ですが、実はいつまでも聴いていたいのが本音です。もちろん車の中にも常備しています。

彼等のアルバムは、そのほとんどがライブ盤ですが、音の良し悪しもありますから、まずは、このCDから聴いてみて下さいませ。当時の日本にも、本物のロックバンドがあったことを、ぜひとも知っていただきとうございます。

一応、例によってジャケ写から試聴出来るサイトに繋げてありますので、よろしくです♪

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