■砂漠のような東京で c/w 24時間の恋 / いしだあゆみ (日本コロムビア)
まだまだ音楽が立派に売れる、つまり商売として成り立っていた昭和という時代には、殊更アナログの7吋シングル盤ですら、ジャケットスリーブは収録A&B両面を意識したリバーシブルなWジャケットになっていたブツもや多く、それが決して安いとは言えなかったレコードを購入するという行動に対する製作者側の熱意と誠意の表れだったように、今は思うばかりです。
例えば、いしだあゆみが昭和46(1971)年初夏に出した「東京砂漠」をA面に入れた掲載のシングル盤は正直、ジャケ写ポートレート&デザインが個人的にはイマイチながら、作詞:橋本淳&作曲:中村泰士、そして編曲:森岡賢一郎が提供した楽曲と彼女のクールな声質によるポップス演歌なコブシの使い方が見事な出来栄えでしたから、まずは楽曲そのものを聴きたくてレコードを買うという、まさに第一義的な購買意欲を刺激する商品でした。
そして実際に行動された消費者にとっては、テレビやラジオではほとんど聴く事が叶わなかったであろうカップリングのB面曲「24時間の恋」を楽しめるわけですが、しかし世間一般の常識どおり、こちらは極言すれば「捨曲」としか思えないトラックが多かったのも否定出来ない現実の厳しさにあって、確かに同じソングライター陣による提供曲としては些か精彩が……。
ところが冒頭に述べたとおり、当時の吉例だったWジャケットのリバーシブル仕様の恩恵というか、とにかくこっちのジャケ写デザインは、いしだあゆみのポートレート共々に嬉しくなるほど秀逸なんですねぇ~~~♪
もちろんサイケおやじとしては、壁に展示の拝観盤のひとつになっております。
ということで、こ~ゆ~付加価値があればこそ、商品が売れるという観点からすれば、今や音源だけが売買される音楽業界の常道には、やはり面白くないものを感じますし、だから音楽が商売になりにくいという悪循環が生じているんじゃ~ないでしょうか?
振り返れば、アナログ盤がCDに取って代わられた頃、特にシングル盤は小さな短冊形状になってしまい、それに馴染めなかった音楽愛好者は大勢存在していたと推察するに易い時代、ついにはそれすらも絶滅に近い状況が訪れるとは思いもしませんでした……。
それが昨今、アナログ盤レコードを再認識されたのは、とりあえずLP中心とはいえ、復刻要望が確かにある事からすれば、そこにはCDに比べて大きなジャケットの魅力が絶対にあるはずとサイケおやじは断じたいですねぇ~~~。
うむ、願わくばシングル盤もっ!