OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

速効性たそがれマイ・ラブ

2013-02-28 15:37:03 | 歌謡曲

たそがれマイ・ラブ / 大橋純子 (フィリップス)

ネタは新鮮なうちに提供するのもソングライターの資質のひとつだとすれば、我国の筒美京平のお手並みは流石と痛感させられたのが、昭和53(1978)年秋に大ヒットした本日掲載のシングル盤A面曲「たそがれマイ・ラブ」でした。

結論から言えば、これは皆様ご存じのとおり、マイケル・マクドナルドがカーリー・サイモンと共作し、まずは自らの所属バンドだったドゥービー・ブラザースで1977年に出した人気アルバム「運命の轍 / Livin' On The Fault Line」に収録し、次いで翌年にはカーリー・サイモンが新たな一面を表出した傑作LP「男の子のように / Boys In The Trees」に入れて世に出した名曲「You Belong To Me」が元ネタでありましょう。

特にカーリー・サイモンのバージョンはシングルカットされ、同年初夏には世界的に大ヒットしていますし、我国でも若者が集う、ちょいとお洒落な店のBGMには定番でありましたから、自然と耳に馴染んだものですが、それを筒美京平は堂々のパクリと再構築で、件の元ネタよりも遥かに素晴らしく、日本人の琴線に触れる素敵なメロディにしているんですねぇ~♪

とにかくイントロの構成がモロですし、続く最初の曲メロが、これまたクリソツなんですから、たまりません。

ただし、そうは書きましたが、巧みに元ネタをフェイクしてある事は言うまでも無く、それが実に上手すぎるわけですよ♪♪~♪

おまけにカーリー・サイモンが大ヒットさせた初夏から、瞬時の秋にそれをやってのけた作編曲の手際の速さは、作詞の阿久悠も思わずニンマリだったにちがいないと思うばかりです。

尤も、そんな事はこの時に始まったわけでは決して無いのですから、日常茶飯事と書いてはミもフタもなく、ただただ筒美京平の天才性に感服するのみ!

例えばモダンジャズの世界でもソニー・ロリンズというテナーサックスの大名人が、良く知られたスタンダード曲をアドリブする時には、その原曲メロディをフェイクする上手さが抜群であるのと似ている気がします。

それはある種の計算でもあるのでしょうが、もっとナチュラルな音楽的なセンスの良さじゃ~ないでしょうか。

もしも筒美京平がモダンジャズの世界に入っていたら、凄いアドリブ名人になっていたと思ってしまうほどです。

ということで、マイケル・マクドナルドのホワイトソウルなフィーリングは、1970年代末頃には世界中でパクられるほど一世を風靡した汎用性の高いものでしたが、それを逸早く歌謡曲に使った筒美京平の嗅覚の鋭さも流石!

実は告白すると、サイケおやじは学生時代にドゥービー・ブラザースのコピーバンドみたいな事をやっていたので、そのお手本には敏感に反応するハブロフの犬になっていた当時、大橋純子の歌う「たそがれマイ・ラブ」には最初に聴いた瞬間、やられたなぁ~~!!

と、思わず平伏すのみでありました。

やっぱり筒美京平、偉大なり!!

コメント (2)
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