OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

奥村チヨの憂愁

2010-09-06 16:36:52 | 歌謡曲

青い月夜 / 奥村チヨ (東芝)

なんとも悲しそうな奥村チヨのボートレイト……。

いったい何があったのか、とても気になるわけですが、この「青い月夜」が発売された昭和43(1968)年6月頃の彼女は、前年夏~秋にかけての大ヒット曲「北国の青い空」を出してスタア歌手への復帰が叶ったものの、その後がイマイチ続かなかった第二停滞期というのが、今となっての認識でしょう。

確かに当時のシングル曲「あたなに逢いたい」や「涙色の恋」は、なかなか秀逸な歌謡曲だと思いますが、あまりヒットしたという記憶はサイケおやじにもありません。中でも「涙色の恋」は作詞:橋本淳、作曲:筒美京平の黄金コンビによる正統派歌謡曲の名作で、既に後の悩殺フェロモン路線が予行演習されているのですが……。

やはり多くのファンが当時の奥村チヨに求めていたのは、哀愁のエレキ歌謡とも言うべき「北国の青い空」の路線だったんじゃないでしょうか?

そこで軌道修正というか、この「青い月夜」は作詞:橋本淳、作曲:井上忠夫、編曲:川口真という、ちょいとコロムビア系の作家トリオを起用した会心作!

と、なるはずが、やはりヒット状況は冴えませんでした。

しかし前述した「北国の青い空」の続篇的な楽曲と奥村チヨの歌唱は実に素晴らしく、また川口真のアレンジも必ずやファンの琴線にふれるものだと思います。特にサビと終盤で奥村チヨが聴かせてくれる一人二重唱のコーラスワークは絶品ですよ♪♪~♪ もちろん幾分ベタベタした彼女の歌いっぷりと声質を完全に引き出すのは、東芝ならではのエレキベースをメインにした重低音サウンド! さらにチェンバロやエレキギターを使いながら、実はネチネチと厚みをあるストリングスという仕掛けが最高です。

それと作曲の井上忠夫は言わずと知れたブルーコメッツのメンバーということで、歌詞と曲タイトルに「青」を使ったあたりは、思わずニヤリですし、既に述べたように、曲メロばかりでなく、歌詞そのものが「北国の青い空」のその後を強く想起させるところがニクイばかり♪♪~♪

 瞳をとじて 心をとじて

なぁ~んて、奥村チヨの心情が伝えられては、辛抱たまらん状態でしょうねぇ~♪

ということで、結局は大ヒットには至らなかったものの、これは奥村チヨの名曲名唱のひとつです。

ちなみに彼女が再々ブレイクする「恋の奴隷」は、この「青い月夜」から約1年後の昭和44(1969)年初夏ですし、それ以前の「北国の青い空」が昭和42(1967)年8月の発売だったことを思えば、なんか1年毎に名曲を歌っていた流れが発見出来ます。

こうした事は当時の人気歌手ならば、年間にシングル盤を3~4枚出すことが当たり前だった状況の中でしか起りえない事実かもしれませんが、それだけ昭和歌謡曲が全盛期だった証なのでしょうねぇ。

その中では、当然ながらプロのソングライターの活躍も無視出来ないところで、やはりヒット曲にはひとつの流れが必要という、丸っきり娯楽映画のプログラムピクチャー方式こそが、昭和歌謡曲の醍醐味だと痛感されます。

最後になりましたが、愁いが滲む奥村チヨのポートレイトのジャケットは、もう片面が所謂エロジャケとして人気も高いので、掲載しておきます。

思わず膝からその奥までも、気になってしまうのは、サイケおやじだけではないと思うのですが……。

コメント (2)
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