OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ジョン・セバスチャンのホノボノライブ

2010-06-13 16:18:41 | Singer Song Writer

Real Live / John Sebastian (Reprise)

ジョン・セバスチャンはラヴィン・スプーフルの中心自分として、持ち味のホノボノフィーリングが何時もリスナーを和ませるという音楽性は、人格の領域にも深く根ざしているミュージシャンかもしれません。

個人的に一番強い印象となっているのが、例の映画「ウッドストック」での飄々とした佇まいで、かなりの混乱やゴタゴタが支配的だった当日の現場において、大観衆の前にギターを抱えてひとり登場したジョン・セバスチャンがノンビリと歌い出したところは、一瞬にしてギスギスした雰囲気を塗り替えたが如き名場面でした。

ボブ・ディランのようなカリスマ性も無く、また熱血のアジテーションをやるでもなく、ただそこに現れて歌うだけでその場を自然体で支配してしまうあたりに、何らかの魔法があるんでしょうねぇ~♪

もちろん自作をメインにした演目が常に夢見るような温故知新♪♪~♪

所謂グッドタイムミュージックというスタイルは、アメリカの白人達が19世紀の終り頃に演じていた自分達の楽しみの為の音楽で、そこにはフォークソングやカントリー&ウェスタンの源流と共に黒人のブルース&伝承歌までも広義に含まれるという、なかなか汎用性の高いものだったと言われていますが、それを演じる者はギターやピアノ、ハーモニカ等々の他に、例えばブリキ缶や食器、洗濯板なんかを叩いたりするジャクバンド形態!?

尤も、それはレコードが開発される以前の流行でしたから、以降は黒人達の間で受け継がれていくのですが、そのあたりを再発見して1960年代に蘇らせたのがラヴィン・スプーフルのブレイクに繋がったようです。

もちろんそこには当時の主流だったR&Rと白人ポップスの要素が濃厚に含まれているんですが、しかしやっぱり魅力なのはジョン・セバスチャン本人が書いてしまうオリジナル曲のフワフワした気持良さ♪♪~♪

それは絶対に難しいことをせず、分かり易いメロディとシンプルな演奏がナチュラルに存在し、しかも作者のジョン・セバスチャンの歌いっぷりが実にホノボノ♪♪~♪

これって結局、ジョン・セバスチャン本人の人間的な魅力なんでしょうか? ちょいとお気楽なルックスも幸いしていると思います。

そして、そんな疑問を氷解させたのが、前述した映画「ウッドストック」のワンシーンでした。

そこでジョン・セバスチャンがラヴィン・スプーンフル解散後に出していたソロアルバムを聴きたくなるのは当然の流れでしょうが、これが全く不可解な状況でした。

なにしろ似たような中身のアルバムが、別々のレコード会社からジャケットやタイトルを変えて発売されていたのですから!?

実は後に知ったところによると、ジョン・セバスチャンはラヴィン・スプーフルの解散直後からソロアルバムを自費で製作していたらしいのですが、その原盤配給権を巡ってレコード会社との間にトラブルがあり、それは悪いクスリからのゴタゴタで解散に追い込まれたとはいえ、やはり人気バンドだったラヴィン・スプーフルの名前に拘る配給元のMGM、また一方ではそうしたイメージから脱却を図りたいリブリーズとの対立に板挟みとなったジョン・セバスチャンの苦悩でもあったようです。

結局、件のソロアルバムはジョン・セバスチャンの独断でリブリーズから最初の発売となったのですが、やはり契約問題からMGMでもジャケット違いの同内容盤が出るという始末……。

これじゃ~、後追いで楽しもうとするファンが混乱するのも当然ですし、続いて世に出たライプ盤もまた、同様の事態……。

結局、いずれもヒット盤となることは無く、熱心なファンの間でのみ、聴かれていたのが実情だったようです。

そして本日のご紹介こそ、そのゴタゴタの最中、1971年に発売されたリプリーズからのライプ盤で、その名も「リアル・ライプ」と命名されているんですから、いやはやなんとも……。

 A-1 Mobile Line
 A-2 Lovin' You
 A-3 Fisin' Blues
 A-4 Younger Girl
 A-5 Make Up Your Mind
 A-6 Rooty-Toot
 A-7 In The Still Of The Night
 A-8 Blue Suede Shoes
 A-9 Nashville Cats
 B-1 Waiting For A Train
 B-2 My Gal
 B-3 Younger Generation
 B-4 Dralin' Be Home Soon
 B-5 Blues For Dad & JB's Happy Harmonica
 B-6 Amy's Theme
 B-7 Irene

基本的にはジョン・セバスチャンの歌とギターとハーモニカがメインのシンプルな弾き語りライプで、他にサポートとしてピアノとベースが適宜参加するという構成なんですが、まずは収録された会場の雰囲気がすっかり和みの空間になっているのが、レコードを聴いているだけで存分に伝わってきます。

そのあたりが既に述べたように、ジョン・セバスチャンというミュージシャンの大きな魅力でしょうし、それをしっかり活かしたステージ運びには心底、ホンワカさせられますよ♪♪~♪

とにかくお客さんからR&Rの要望があれば、オールディズのドゥワップヒット「In The Still Of The Night」をひとりコーラスグループみたいに演じてしまったり、それがウケたとみるや、今度はプレスリーの声色まで使った「Blue Suede Shoes」で御機嫌をうかがうという始末なんですが、決してそれがイヤミではありません。

むしろ興にノッたという和気藹々のムードが実に楽しいんですよ♪♪~♪

もちろん「Younger Girl」「Nashville Cats」「Younger Generation」等々、ラヴィン・スプーンフル時代のヒット曲も抜かりなく、またその合間のお喋りも上手く編集されているのが、このアルバムの美味しいところです。

そうした部分は、例えばニール・ヤングのようなアクの強さやジェームス・テイラーのような都会的な雰囲気とは決定的に異なる魅力であって、決して派手さは無いものの、何度でも聴きたくなる良さが確かにあります。

サイケおやじとしては日頃から、こういう我国でのフォークブームに直結したような音楽はそれほど好みではないんですが、何故か、このアルバムは数少ない例外のひとつ♪♪~♪

それはジョン・セバスチャンの人徳ゆえでしょうか。

こういう人に私はなりたい!

コメント
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