OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

没個性派ジャズも良い

2005-12-15 15:21:45 | Weblog

今日は久々に太陽、見ました。青空も広がりましたし、雪はもう沢山です。

仕事も殺人的に忙しいし、夜には、多方面の宴会にも顔を出さねばならないということで、音楽も刺激的な物は辛くなっています。ということで、本日はこれを――

Introducing Andrea Pozza Trio (Philology)

イタリア人若手ピアニストのトリオ・アルパムで演目は「イエスタディズ」「4月の思い出」「恋に恋して」「ラッシュ・ライフ」等々、定番スタンダード曲中心になっているという、当に日本人が大好きなパターンが満載です。

メンバーは Andrea Pozza(p)、Luciano Milanese(b)、Stefano Bagnoli(ds) という日本では、まだまだ無名の3人組で、録音は2003年3月14日となっています。

アンドレア・ポッツァというピアニストは、ガチガチの正統派で、スタイル的にはハンク・ジョーンズ~トミー・フラナガン系の、クセが無く、綺麗なアドリブ・メロディと崩さないリズム・タッチが持ち味ということで、没個性派なんですが、そのセンスの良さは光っています。

冒頭のアップテンポ曲「Fleeting Visions」は、どっかで聴いたことのあるような雰囲気の仄かなモードが入ったポッツァのオリジナルで、トリオはなかなかの快演を聴かせてくれますので、ここでアルバムに対する期待が高まります。

しかし2曲目の「Yesterdays」はオールド・スタイルというか、ビバップのエキセントリックなところが無い、素直なモダンジャズになっています。

さらに3曲目の「These Foolish Things」になると、さらにクセが無くなり、甘さも控えめというか、真剣に聴くとかえって疲れるという妙な演奏になっているのです。つまり、これっという美味しいアドリブ・メロディが出ないんですねぇ……。

この傾向はピアノ・ソロで演じられた、バド・パウエル畢生の名曲「I'll Keep Loving You」やエリントン楽団のヒット曲「Lush Life」になると、尚更、顕著になり、???の積み重ね……。

またアップテンポの「In Walked Bud」や「4月の思い出」というビバップの定番演目でも、まったくその通りの演奏しか出来ていないという、普通、こういうアルバムは駄盤に分類されるんですが、聴き進んでいくうちに、何故か不思議な魅力が漂ってくるのです。

これはいったい、どういうことだろう……。と、思い始めるころに鳴り出すのが、10曲目のスタンダード曲「恋に恋して」で、この軽快なノリには思わずボリュームを上げてしまいます。

全体に物足りないのは、主役のピアノに対するベースとドラムスのツッコミの足りなさで、これは無難な録音にも原因があるのかも……。ですから、これぞっ、という演奏ではボリュームを上げたくなるのです。すると、どうでしょう。突然、演奏がイキイキとしてくるではありませんか♪

こうして、このアルバムを最初から大きな音で鳴らしてみると、おぉ、何と素敵なっ♪

ということで、これは完全にジャズ喫茶向きの作品です。家庭や職場ではヘッドホーンで堪能しましょうという、困った仕上がりですが、如何にもジャズという雰囲気は堪能出来ます。

ちなみに、このトリオは没個性の塊のような連中ですが、どんな社会でも実際の現場では突出した個性でバリバリ仕事をこなす人よりも、その場の空気に馴染んで、なおかつ、的確な仕事を積み重ねていける人が重宝されるのは、言わずもがなです。そのあたりをこのトリオも評価されているようで、現在のイタリアジャズ界では、ベテランのジャンニ・バッソー(ts) を始めとするいろいろなバンドで活躍中とか!

そのあたりの事情も含めて、気楽に聴いて楽しいのもジャズの内だと思います。

コメント
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