秋から日活ロマンポルノのDVD復刻が始まります。はっきり言えば、男の欲望を満たすえっちな映画ですが、現在のAVと決定的に違うのは、物語性を大切にしていたことと、ちゃんと映画として映像や演出に拘りがあったということです。
それは映画館という、「早送り」の利かない環境ゆえのことです。お目当ての場面が出るまで、じっと我慢していなければならないのですから、物語がつまらなかったら、暴動か居眠りですよ。実際、寝てしまった作品もあります。
それが家庭用ビデオデッキが普及してAV時代となってからは、簡単に観たい部分だけ観られるようになったのは、ありがたい反面、一抹の寂しさを感じてしまいます。
まあAVにも物語性を大切にして作った作品も、初期にはあったんですが、飯島愛はそういう作品に出演しても台詞を覚えてこなくて、現場を困らせたらしいです。でも本人に言わせると「どうせ、早送りでしょう」と……。う~ん、真実だけにねぇ~
でも、飛ばさないでじっくり味わうと、意外なご褒美があったりするんですよ。
で、本日のBGMは――
■Abbey Road / The Beatles (Apple)
ここまで書いてくれば、もう、言わずもがなでしょう。
B面ラストにひっそりと収められた「Her Majesty」、私は不覚にも、聞き始めて2日間、この曲の存在に気がつきませんでした。つまり、せっかちな私は「The End」が終わると、すぐに針をあげて、最初に戻していたのです。ちなみに私のプレイヤーは、オートではありませんでした。
いわば、今日の隠しトラックというところですが、これは最後まできちんと聞いた人へのご褒美だったんでしょうねぇ。曲間の盤を擦る針音までも聴いて欲しいという、アナログ盤時代ならではの拘り、とまでは言いませんが……。
CD時代になって、アルバムを聴くときは、つまらない曲は簡単にスキップ出来ますし、好きな曲だけ簡単に選んで聴けるようになって、曲順は全く意味をなさなくなりました。「トータル・アルバム」なんて言葉も死語になったように思います。
「ロマンポルノ」もそうやって鑑賞されるのでしょうか……?
好きなものだけ味わっても、意味がないものが、この世にはあるはずですが……。