月曜いいともの第2弾で、林修先生がマンガも良く読むらしいことが分かった。
のだめカンタービレはもう文学だ、という。そして50回も読んだというのが
アストロ球団。これはウチにもある。意見が一致したね。それなら披露するけど
ボクが繰り返し読むマンガは「牙拳(きばけん)」。原作:東史朗、かわぐちかいじの作品だ。
場面は横須賀あたりの海軍基地の近く。本堂タケシは黒人との混血だ。肌の色が
違うだけで、幼い頃からつまはじきにされて、場末の酒場で用心棒見習いみたいな
ことをやってケンカが絶えない。その最初のページを読んでいると、自然と頭の中に
ブルースが流れてくる。林先生はマンガは「レンジでちん」だという。簡単という意味だ。
本は「手作り料理」だそう。つまり、料理を作るのに飽きてきたら、たまにはレンジでちんも
いいですよ、ということ。その違いはマンガにはイメージがあらかじめ用意されていること。
だが先生!、バックグランドミュージックまでは用意されてないだろ、どうだい。
タケシは永遠のライバルとなる上条英雄とボクシングのプロテストの段階から
日本チャンピオンを目指して次第に頂点へと上り詰めていく。
ありがちなパターンだが、上条は長髪のキザな野郎だ。大学の片手間でボクシングを
している。一度も顔を殴られたことがないというきれいな顔だ。その額に初めて一文字に
傷を付けられて、上条はタケシを認め、俄然ライバル心を燃えあがらせる。てな物語。
5巻に二人の禅問答のような会話が出てくる。「上条さん、あんたはオレを分かってない。
いや、多分だれも分からないだろう。」「どういうことかね」「俺は今度の試合でたとえ
勝っても、負けても、ボクサーをやめてもいいと思っているんだ。」「これはまた、
きつい冗談だな。」「冗談じゃない、俺は本気さ。俺は今までただ混血であるという
ひがみだけでボクシングをやってきた・・・。やっと俺は分かったんだ。俺がどう思おうと
結局はそうならざるをえないってね。」控え室を出ながら上条は思った。「奴は変わった。
今までに私が見たこともないようなボクサーに変身している・・・奴がボクサーをやめると
言っているのに、このたとえようもない怒りはなんだ・・・!?」
マンガは現実には経験できない舞台を用意してくれる。「HEAT」はそういう物語だ。
作:武論尊、画:池上遼一。新宿の街に現れて、たった2日でホストクラブ新宿租界
の若きオーナーになった唐沢辰巳。「気に喰わねェ奴は殴る」1巻の裏表紙の文句だ。
2巻は「人間200年は生きられねェ」。あとは「男の根っこはなァ、ヤセ我慢なんだよ」
とか、印象的なテーマが次々出てくる。推察のとおりヤクザの物語だ。これが圧倒的な
現実感を伴ってせまってくるのである。絶対経験できない世界だ。
AKIRAは当然6巻まである。何度も買うもんだから重複した巻は古本バザーに寄付した。
担当が「うをっ、これはオレが欲しいくらいだ」という。
「長男の時代」も良く読んだ。長男なもんで。
あと「空手三国志」。ちょっぴりエッチな「赤い野獣」。イージス艦の装備が良く分かる
「ジパング」でしょ。「沈黙の艦隊」。まあこれらは常備品ですわ。
マンガに分類していいかどうか迷うほどの活字量のある小林よしのりの単行本でしょ。
こんなもんでどーでしょ。林先生!
なお文中の挿絵は私の尊敬する山上たつひこ大先生の短編「恥ずかし探検隊」である。
何島(ナニじま)で起こる騒動を描いているが、このナニ島のカラー巻頭挿絵はとても
写真に出来ないシロモノである。山上先生のテンポの良いギャグで淡々と進む素晴らしく
美しくエロちっくな物語である。昭和51年10月発行の、私にとってのレア本なのである。
幾度の引っ越しにも負けず、生き残った珠玉の一品です。
ps.すんません。大~事なシリーズ落としてました。
野球マンガなら「我ら九人の甲子園」でしょうよ、林先生。芥川賞作家の高橋三千綱
ですよ。アストロ球団読み始めたら、あまりに幼稚でやめましたわ。
それから主題はこれ。「少年の町ZF(ゼフ)」これを語らずして、マンガを言うなかれ
というほどの金字塔ですよ。作:小池一夫、画:平野仁。内容は言いませんが目次で
判断して下さい。①ラボック光(ライト)②囁(ささや)き子③凶兆(イルオーメン)
④墓船(ぼせん)⑤必要体(ニド)⑥慟哭(どうこく)への前徴(プロドローム)
⑦飢血体(サバト)これ、第1巻だけでこれですからね。心臓の弱い子は決して
読まないで下さい、と注釈を付けたくなるほどの、一人では眠れないおどろおどろしさ
なのでございます。これが金庫に眠ってましたわ。
なお、手塚治虫やさいとうたかをなど、ジャンルを超えて認知されているマンガは
あえて取り上げるまでもありません。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます