チャペルのウエディングって、悪くないスね。完成された「演出効果」みたいなものを感じました。
リハーサルが直前でレクチャーを受けたのですが。娘が覚える事が多く、かなり不安なようでした。ただ歩き方が良いと、カメラマンか誰かが言いました。
扉が開いた時、あっと思いました、全員がこっちに向かってカメラとケータイを構えているじゃあ、あーりませんか。席に座ってないで、みな前に来ているような圧迫感がありました。
その後は順調に進み、誓いの言葉の直前だったと思います。後ろ姿なのに、娘が突然激しく肩を震わせて泣いているようでした。神父さんが一度下がって、何か布のようなものを持って、娘に渡し、言葉を掛けました。娘は頷いて大丈夫だと伝えたようでした。
自分の役割が終わって、撮影しようとカメラに手を掛けて、それを見守っていたオレは不覚にも動揺してしまいました。
娘の気持ちがダイレクトに伝わって来て、鼓動が速くなり激しく動揺しました。
2年も待って、それでもやりたかった事の一端が見えました。
目の前にはオルガンに合わせて歌う聖歌隊。その右から2番目の女性は、歳は若くないようですが、楽譜の持ち方と声が半端ない。顔を隠すように高く掲げ、バイブレーションを効かせた歌声はひときわ高く大きく、それに耳を傾けるオレの中のダムが決壊寸前となりました。
涙が出るというよりは、鼻水が鼻の中を上下に移動し、垂れないように我慢することに必死でした。
これはダメだと思った時、ある事に気がつきました。着替えしたこの服には、ハンカチもティッシュも入ってない。しまったあ。
仕方なく妻にそっと声を掛けました。「ティッシュ、くれ」
そして不思議に思いました。
ちっとも悲しくないのに、なんでこうなるの。不覚を取ったわ~。
完~全に、オレが泣いているのがバレバレじゃないか。
娘を手放すのが悲しいんじゃないよ~。誰か、分かってくれ~。
***
あのころ(っていつだよ!)、こんなやりとりもありました(勝手に決めるな!)
「分かりますか?そんな世界で一番大切な家族をポット出のやつに奪い去られてしまった僕の気持ち。そりゃ、いつかは結婚して幸せになって欲しいと思っていた。だけど、その相手は僕以上に彼女を守れるやつでなきゃ駄目なんだ。あんたにその役が務まるのか?ロッティ!」(新郎はロッティじゃねえし!)
「私は、あなたに負けないくらい彼女を愛しています。彼女は私にとってももう家族です。たとえ槍が降ろうとも、隕石が落ちて来ようとも、私は生涯をかけて彼女を守り抜きます。(毅然)」
(「SPY×FAMILY 」の一シーン。姉の結婚を知った弟と、姉の結婚相手との会話です。早くに親を失い、弟は姉とたった二人だけで厳しい世の中を生き抜いて来ました。)
子供と戯れる姿を見ると幸せそうで、こっちもうれしくなる。
オレが心臓発作を起こして薬を飲んでいた10歳の頃から16年位、遊んでやれなかった。高校生の頃は部活もあるし、自分の部屋に閉じこもる時間が長くて、メシの時しか顔を見られない寂しい生活だった。本人にとってもつらい時期だったらしいが、相談にも乗ってやれなかった。それを乗り越え、生きているだけで親孝行。そういう気持ち。