松美の言絵(いえ)

私は誤解されるのが好きだ。言い訳する手間が省けるから。

折渡地蔵尊の怪

2016-03-30 16:20:01 | 日記・エッセイ・コラム

 それはある地蔵様のある峠を、通った時のことでございます。

 売店はまだ閉鎖中で駐車場に車はありません。一人階段を上がって行くと、川原石を敷き詰めた、千羽鶴も鮮やかな地蔵様が祀られておりました。

 鐘楼を背にして、居並ぶ千体地蔵を撮っていた時で御座います。うしろから「がお~~ん」と鐘が鳴ったのでございます。びっっくりして振り向くと、誰も居ないはずの鐘楼で鐘が鳴り、ひもが揺れていました。

 思わず「びっくりしたー!」と声を出しました。でもあたりに人影は見えません。誰かがいたずらして、隠れたのだろうと思いました。

 耳を澄ますと「カリカリ」と機械的な音がかすかに聞こえてきます。鐘の前まで近づいた時、またも「がお~~ん」とやられました。音量が大きく、またも不意打ちを食らってしまいました。

 何のことはない、オートマチック鐘楼だったのです。ちょうど12時でしたので、その時間に鳴り響いているのでしょう。

 すっかり魂を抜かれた旅人は、小銭入れを取り出し、あらためて地蔵様を拝んで帰りましたとさ。

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