黒鉄重工

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北米project 4 ~Is the order a warbird? その81【2016/03/04~10】

2019-03-30 23:47:14 | 海外旅行記
ノースアメリカンF-86Hセイバー(5機目・420機目)
F-86の戦闘爆撃型。胴体の形状が微妙に変わってます。
なんかパチもん臭いなぁ、と最近そう見えるようになったんですが、これで私も近所のセイバーマニアになれたかもしれないです。


LTV A-7DコルセアII(1日ぶり3機目・421機目)
アメリカ海軍が開発したA-7攻撃機の空軍版。空軍が海軍の開発した機体を使うなんてのは腹わた煮えくり案件ですが、核爆撃機ばかりにウツツを抜かして自前で近接航空支援機を開発しないでいたんで自業自得だなって。
ベトナム戦争までのアメリカ空軍の航空機が核戦争前提の機体ばかりだったのに対して海軍はまだ通常戦力も有していたので、F-4の時もそうでしたがどうにかなりましたね。


リパブリックF-84Fサンダーストリーク(1日ぶり3機目・422機目)
アメリカ空軍の戦闘爆撃機。これはサンダーバーズ塗装をしていますね。サンダーバーズの初代機がF-84でした。


BACライトニングF.53(1957年・423機目)
米ソとの軍事力の格差が広がる中で、このままではイカンでしょ、と奮い立って開発した英国面全開のジェット戦闘機です。
これを完成させるまでに各メーカーを巻き込み数多もの試作機が造られてきたんですが、それはまた別のお話。というかイギリスの博物館に大事に保管されとりますので。そのうち見に行く機会があるかもしれませんね。

で、機体の方ですが、迎撃戦闘機として優秀だぞ、という評です。ただ、外観が笑いを取りに来てるのでそっちをよくネタにされがち。
今から見ていきますけど、主な特徴は「縦に配置された双発エンジン」と「後退翼みたいな形状のデルタ翼」です。

展示機のF.53型は、イギリス仕様のF.6型のサウジアラビア向け輸出仕様です。なのにマーキングはロイヤルエアフォースなのでおやおや...という感じですが。


まず縦置きエンジン。縦に置いてあると言っても排気口が地面を向いているということではなくて、向きは普通ですが縦に2段重なって置かれているのです。後にも先にもこんな配置は無く、まさにライトニング独特といえます。

左右に配置するよりも空気抵抗が少なくなるのだとか片肺飛行になっても安定性が高いのだとか、というのが理由ですが、これに続く戦闘機が現れなかったことから、ビミョーだった模様。左右配置よりも整備性が悪いとか重心が高いとかそんな理由ですね。
そういう配置なので、横から見るとデブに見えますが上から見ると実はスマートなのです。物事は多角的に見ないとダメなんだぞということを我々に教えてくれますね。

なお縦配置の弊害としてもうひとつ、胴体を細くしたため胴体内に燃料タンクが置けなくなったというものがありにけり。あまり容量がないと航続距離が減ってしまっていけません。
次に考えられる配置先である主翼には降着装置を付けてしまったため(この配置もそもそも胴体に降着装置を付けれなかったから)、主翼にも空間がありませぬ。
そこで、胴体下面に膨らみの付いた燃料タンクを付けてどうにかしました。結構目立つタンクで、おかげで卵を蓄えた魚みたいな姿に見えます。


主翼は地面からの観察だと分かりにくいんですが、角度のキツイ後退翼になっています。一般的に一部を切り欠いたデルタ翼(クリップド・デルタ翼)ということになってますが、ちょっとムリがあろうかと。
このキツイ後退翼では、フラップはともかくエルロンを後縁に付けても舵の効きが悪いので、翼端にエルロンを付けてしまう離れ業をやってみせます。
あとは、主翼に降着装置を付けたので燃料タンクが入れられなくなったのは今書きましたが、それだけでなく増槽やミサイルも主翼下に装備することが出来なくなっています。
ミサイルは胴体に装備できましたが、増槽は主翼の上面に付けるというこれまた離れ業というか苦肉の策で乗り切りました。

余談ですが、イギリスの博物館にはライトニングを垂直にした状態で天井から吊るして「どうだ参ったか」と言わんばかりに展示しています。まるでイカの干物みたいですが、独特な主翼がよく観察できるのでよくやったもんだと思います。
やはりそのうち見に行きたいもんですね。


リパブリックF-84Cサンダージェット(1日ぶり3機目・424機目)
F-84の初期型ですね。特に書くこと無し。


コンベアF-106Aデルタダート(2日ぶり2機目・425機目)
F-102の改良型ですね。
センチュリーシリーズの中では長生きした方で1988年退役でした。F-106が優秀だったと言うよりは後継機が不在だったので使い続けざるを得なかったというところでしょうが。


ロッキードP-80Bシューティングスター(1944年・426機目)
またT-33ですかぁ、と思ったらT-33の原型になった戦闘機のP-80でした。
「アメリカ軍で初めて本格的に量産されたジェット戦闘機」という称号を持っています。「本格的に量産された」という回りくどい言い方なのは、P-80以前に量産されたジェット戦闘機P-59(生産数60機)がいるから。これが「アメリカ軍初の量産型ジェット戦闘機」の称号を持っています。ただしP-59は失敗作と言われるくらい低性能だったので次第に存在を消されてしまい、代わりに外に出しても恥ずかしくないP-80が妙な言い回しと共に表に出るようになったのです。実際の所P-80は量産型のジェット戦闘機としては2番目です(ちなみにP-80は1,700機造られた)

胴体中央にジェットエンジンを置いて機首側面から空気を取り込むという以後のジェット戦闘機の基本スタイルを確立した機体と言われていますが、この配置の元祖はP-59で間違いないので、ケリー・ジョンソンはそれをパクったんでしょう。

1944年には初飛行をしていて、WWII中のヨーロッパにも持ち込まれています。ただし実戦投入はされませんでした。日本がうっかり本土決戦をしていたら、P-80とゼロ戦の対決が繰り広げられたのかもしれませぬ。勝負にならないと思うけど・・・。


コンベアF-102デルタダガー(10分ぶり3機目・427機目)
今見たF-106の原型。
F-102は短剣(ダガー)で改良型であるF-106は投矢(ダート)と、改良したらなぜか名前が弱体化してしまったのは長年の疑問です。

前も書きましたがF-102とF-106の見分け方は空気取り入れ口。コックピットの脇まで前に突き出ているのがF-102です。


フーガCM.170マジステール(1952年・428機目)
「マジステールをマジ捨てーる」というダジャレでフランスの平均株価を急下落させたことで私に知られるジェット練習機です。
V字尾翼を採用しているのは練習機としては珍しいですね。練習機以外にも軽攻撃機になったりフランスの曲技飛行隊で使われたりで50年以上も飛び続けた長寿機なのです。
この個体はフランス空軍で使用された後、米国へ渡って個人が所有して飛行していたそうです。民間に放出されたマジステールは他にもいたみたいで、退役した練習機とはいえ結構あっさりと軍用機を渡しちゃうもんなんですね。


BACジェットプロボスト(1954年・429機目)
イギリス空軍用のジェット練習機です。全く知らなかった機体です。
並列配置のコックピットなのもあると思いますが、頭でっかちな印象があります。
これもマジステール同様、退役後に放出されたものをマニアが飛ばしたいた個体だそうです。この手のやつはジェット機としては廉価でしょうし2人乗りですから、ジェット機を飛ばしたい人たちにはちょうどよい物件なのでしょう。


マクドネルRF-101Cブードゥー(1時間ぶり3機目・430機目)
護衛戦闘機から迎撃機へ転職したと思ったら今度は偵察機に転職したやつ。機首にカメラを付けているんで機首の形状が違ってますね。
F-101自体は何度も見ていますが、RF-101はこれが初めて。
これもやたら姿かたちが変わるF-84系の偵察機RF-84Fの後継機です。センチュリーシリーズなので超音速飛行できます。なのでアメリカ初の超音速偵察機でした。キューバ危機の時にキューバ上空を偵察飛行したことが有名ですかね?


ノースアメリカンF-100Cスーパーセイバー(1日ぶり4機目・431機目)
センチュリーシリーズの一番手。こうして見るとカモノハシみたいなやつです。
エリアルールもショックコーンもない、幾分か設計の古い機体なのだよなー。


デ・ハビランドDH.100バンパイアT.35(1943年・432機目)
イギリス製のジェット戦闘機です。WWII中に設計されているので、結構初期のジェット機ということになります。イギリス製では2番めのジェット戦闘機という称号を持っています。
ジェット機なのにコックピット周辺はベニヤ板で構成されている半木製ジェット戦闘機なのです。これはモスキートで実績のあった木製戦闘機の経験を活かすものでした。
実戦配備される前に大戦が終わってしまったのですが、開発時はまだ実戦に入れる気満々だったでしょうから、資材節約を念頭に置いた設計だったのかもしれませぬ。
T.35型はオーストラリア向けの練習機です。


ロッキードT-33Aシューティングスター(4時間ぶり6機目・433機目)
航空博物館の常連、どこにでも湧いてくる、またお前か、と熱いコメントが出てくる練習機。
本当に必ずいるよね君。ちなみにピマでは2機目。


ノースロップT-38Aタロン(1日ぶり3機目・434機目)
アメリカ空軍の超音速練習機。カネのない親米国へのバラマキ用戦闘機だったF-5は基本的に採用しなかったアメリカ軍だけど、それの練習機型のT-38はたくさん導入して、半世紀経った今もバリバリ現役でいる、っていう話は前にもしたと思います。
この前ようやくT-38の後継機が決まったようで。まだ納品されるまでには数年掛かりそうな感じですが、T-38もようやく全機退役できますね。


ロッキードT-1Aシースター(1953年・435機目)
えっ、またT-33ですか・・・?と思ったらどうやら違う機体らしい。
これはT-33をアメリカ海軍用に再設計した練習機です。主に空母に離着艦できるような設計がされています。着艦フックの追加とか降着装置の強化とかね。
分かりやすい違いは、空気取り入れ口が大型化して形状が変わっていることと、キャノピーが天地方向に大きくなっていること。
初めはT2Vという型番でしたが、いつもの命名規則統一でT-1に改名しました。


ロッキードF-104Dスターファイター(2日ぶり3機目・436機目)
F-104の複座練習機型。たった21機しか造られてないそうで。しかも1958年に配備されてから1年経たずに用途廃止に追い込まれてますから、アメリカでのF-104の評価って実は低いんじゃないかって思うんですよね。
練習機ですが戦闘任務もこなせます。ただし複座にしたら機関銃を置く空間が無くなってしまったのでミサイルや爆弾だけで戦います。本当に余裕のない設計なのね。


ちなみに、この列にはセンチュリーシリーズの各機が一列に並んで会しています。番号順に並んでいないところが雑だと思うけども。
センチュリーシリーズを全部揃えて展示しているところはそうそう見られないはずです。知っているところだとアメリカ空軍博物館ですかねぇ。でもそこも一列に並べる展示はしていないはずですから、この眺めはピマだけのものだと思いますよ。

というところで今日はここまで。