黒鉄重工

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北方project ~Welcome to Hokkaido. その15【2017/5/3~7】

2019-03-11 22:16:22 | 旅行・イベント記
2017年5月5日(金)8時50分
 北海道東川町 P-DASH
3日目です。北海道滞在の最終日です。早いもんだ。
前日泊まったゲストハウスを後にします。着いた時は真っ暗でなにも分かりませんでしたが、こんな感じの建物なのでした。


まずは準備運動とばかりに寄ったのは、旭川市の東旭川公民館にあるこの保存車両。旭川電気軌道モハ1001です。
旭川市にも1973年までは旭川電気軌道という私鉄が走っていたのですが、そこで使われていた電車です。北海道には蒸気機関車の保存車はゴロゴロいますが、電車はとても珍しいです。実は鉄道コレクションで模型化もされています。
1955年日本車輌製で1形式1両、つまり1台だけ製造された電車です。当時製造されていた日車標準車体っぽいですが、それについて言及されている資料がないので、厳密には違うのかもしれませぬ。
なお旭川電気軌道の会社そのものは名前を変えずに今も存続していて、バス事業を営んでいます。鉄道事業を辞めて数十年経っているのにまだ鉄道系の社名を使っている変わった会社です。


片側にはホームと同じ高さの土台が設置されています。車内には入れませんが土台から車内を覗くことはできます。
状態は良好でして、露天保存というハンデを感じさせません。とても大切にされているんだろうなと。旭川電気軌道の保存車はもう1台、モハ101が残っていますが、これはまた今度ということに。


簡単な路線の経歴と路線図の説明が書かれていて、イメージが湧きやすいです。

今日はとりあえず芦別を通って苫小牧まで行く、くらいの事しか決めていません。今日もそこそこ移動しますぜ。
なので通り道だしともう1箇所寄り道します。


2017年5月5日(金)10時22分
 北海道旭川市 神居古潭
国道12号線沿いにある神居古潭というところにやって来ました。カムイコタンと読みます。石狩川が織りなす絶景が名物の景勝地なんですが、イマイチ知名度がないです。私も今日来るまで知らんかったし。
山の中にあるような感じですが、意外にも路線バスが1時間に1本以上あるのでアクセスも悪くない感じ。
石狩川に架かる白い橋は神居大橋。大橋と呼んでいますが歩道橋です。あれを渡って対岸へ行きます。その先になんか建ってますね?


石狩川の急流を堪能。
すんげー濁ってますね。雪解けだけではここまではならず。実は我々が渡道する直前まで雨でしたのでこんなことに。水量もいつもより多いハズ。


対岸へ渡って階段を登っていくと・・・。おや、何かいるぞ。しかも3機も。なんかすごいところに来たのでは。


さらに歩道と隧道が。あからさまに廃線跡アピールしてますね。


目的地はここ。函館本線旧神居古潭駅です。1901(明治34)年開業、1969(昭和44)年廃業。廃止理由は、函館本線の電化と複線化による線路付け替えのためです。つまりこの一帯は函館本線の旧線の要素も持っています。あとは駅メモの聖地らしいぞ。
駅舎は1910(明治43)年の建築。数度の増改築を受けてますが廃止時まで現役で、その後も歴史的価値が認められ、廃止時の姿で保存されています。西洋風建築で萌黄色の壁が特徴的ですね。


室内は大きく手を加えられていて、休憩所みたいに改造されていました。


ホームも現存しているのが嬉しいところ。千鳥配置の2面2線で導線も一発で分かりにけり。


廃線跡活用あるあるのサイクリングロードにされているので線路はないのです。
当時は道路の修復工事中でここから旭川寄りの一部区間が通行止めになっていたので、自転車は1台もやって来ませんでした。


ホームに立っている名所案内の看板も残っているとは。


橋台も2本分残ってます。片方は現役です。


少し離れたところにも橋台跡がありましたが、なんの橋だったのか不明です。


旧線も少し歩いてみましょう。深川側のすぐに隧道があるのっていいですねぇ。
ちなみに旧線跡が自動車が出入りできる唯一の道路ですので、作業車の通行路でもあります。


隧道の銘板は見当たらず。
内壁はコンクリートで巻かれていますが、坑口の外側にも施工してあります。崩落の危険があったのかなぁと。


一面にコンクリートが巻かれているので、直径は一回り小さくなっています。ちょっと機関車が通るにはキツイといったところ。
旭川側にも隧道があるそうな。


100mあったかくらいの長さなのですぐに反対側へ出ました。あんまり奥へ行ってしまってもアレなので出たところで引き返します。
すぐ隣が石狩川なので、現役時代は絶景車窓だったのだろうなと。


反対側の坑口もコンクリートがはみ出ていました。


そして蒸気機関車ですね。最初に見たとおり、なんと1箇所に3機も縦列で保存されています。しかも3機とも一定の貴重さを持っています。贅沢なことをしましたね。

なおSLが置かれている場所は、昔線路だったところです。このレールも現役だったものがそのまま残ってるんじゃないかと。
というかこのSLたちは最初から保存されることを見込まれて、旧線が廃線になる直前に自走して(それか他の機関車に引っ張られて)ここへやってきたんじゃないかと思います。
神居古潭駅周辺は歩道橋と廃線跡の隧道しか外と繋がっていない陸の孤島なわけですが、隧道もあの大きさなので大型トレーラーとクレーン車で機関車を搬入するなんてムリなわけです。廃線前に線路上を走ってきたと見るしか無いよなぁという見解です。
さらに言えば、この3機はもう2度と旧神居古潭駅から動くことはできんのです。出来んことはないかもしれませんが(旭川側の隧道は元の内壁を工事で拡張したのか、大きめになってる)、簡単ではないと思います。
なのでここを動く時というのは、完全に解体されてしまったときくらいなものです。もっとも、解体するにしたって重機をどうやって入れるのって話ですが・・・。
そう考えると凄まじい場所に保存されてしまったなぁと。


まず先頭の9600形29638号機。大正時代の設計の古典SLということで機種自体が貴重です。
ちなみにここの3機、函館本線の線路切り替えをしてここが廃線になってから間もなく廃車にされています。


その後ろにC57形201号機。C57のラストナンバーです。それ以上に、現存する唯一のC57の4次型という点が貴重です。
4次型はC59形の設計を取り入れているので、3次型までと形状が変わっていて、C57とC59の中間みたいな感じに仕上がってます。特にデフレクターの前部上端が斜めに切り欠かれたところや船底テンダーなんかが分かりやすいそうな。
意外なものが意外なところに残っているもんです。


最後はD51形6号機。御存知デゴイチ閣下ですが、ナメクジと呼ばれる初期型である点に注目。デゴイチはごまんと保存されていますが、ナメクジは元々の製造数も少ないこともあってわずかしか現存していません。
煙突から蒸気ドームに至る機器類が流線型のカバーで覆われていて、この形状がナメクジに似てたのが由来。鉄道オタクのネーミングセンスって昔からひどいなと。
他にもボイラー前部の角が丸く整えられているので、標準型と比べて旅客型機関車のような精悍な印象があります。


といったところで撤収します。結構面白いところでした。
では次の場所へ向かいまする。